2020年秋ごろから始まったビットコインの急騰は、その後も乱高下を繰り返しながらも高値圏を維持しています。かつてあった暗号資産(仮想通貨)バブルを彷彿とさせる展開ではありますが、一度大きく値を下げたことを経験してからの再高騰なので、今回は本物ではないかと見る向きも多くなっています。
この相場展開が本物であるかどうかはまだまだこれからの値動きを検証する必要があると思いますが、これによって起きているマイニング事情の変化にも注視しておく必要があります。
マイナーの利益が3倍にまで拡大中
まず言えることは、ビットコインの高騰に伴ってビットコインのマイニングで得られる利益額が何と3倍にまで膨れ上がっている事実です。マイニングの利益が暗号資産の相場に左右されることは当然なのですが、あまりにも価値が下がりすぎるとマイニングの採算性が損なわれてしまうため、「掘れば掘るほど赤字」という事態になっている時期もありました。
このときにマイニング機器の稼働を止めてマイニングを一時休止したマイナーも多かったことと思いますが、それでもなおマイニングを続けていたマイナーには多大な利益が発生しました。何事も継続は力なり、ほかのマイナーが撤退や休止をした時期こそが「ブルーオーシャン」だったのかもしれません。
この急騰を受けてマイニングを再開した人や、新たにマイニングに関心を持つようになった人も多かったことと思いますが、そこで新たな問題が発生しています。
マイニング機器の供給不足が加速、販売価格の高騰
マイニングには高速処理を要するので、GPUなどの機器を大量に使用することになります。ビットコインの高騰を受けてマイナーの活動が活発になったことによりGPUをはじめとする機器類の在庫が一気に逼迫し、価格の高騰が起きました。大手マイニング機器メーカーの製品にいたっては、すでに2021年8月分までの販売分が完売状態になっているといいます。しかもこの機器は販売価格が2倍になっているにもかかわらず、です。もちろんこの状況はほかのメーカーでも起きており、これからマイニングに参入する人や機器を増強する人は導入コストが大きな課題になりそうです。
ならば中古機器は?
先ほどまでのお話をしたマイニング機器の高騰や供給不足については、新品についての話です。それでは中古ではどうか、というわけで中古機器市場も活況を呈しています。ただしマイニング機器の変遷はとてもスピードが速く、新品で売り出されたものであってもすぐに「過去のもの」となってしまうこともあるため、中古機器のすべてが高騰しているわけではありません。やはり高騰しているのは、とりわけビットコインのマイニングに適しているハイスペックモデルが中心です。
新品でなかなかマイニング機器をそろえることができていない方は、こうした中古市場に活路を見出すのもひとつの方法かもしれません。ただし、ビットコインのマイニングに利用できるモデルは新品と見間違うような価格になっていることもあるため、コストパフォーマンスを十分精査する必要があります。
ビットコイン価格と機器の価格は比例する
ここまで述べてきた内容により、あることにお気づきになった方も多いと思います。それは、ビットコイン価格とマイニング機器の価格における相関性です。今も昔もビットコインは暗号資産の雄であり、この地位は今後も揺らぐことはないでしょう。そんなビットコインの価格が高騰したことを受けて、イーサリアムなどほかの暗号資産にも価格高騰の波が及びました。そしてさらに、ビットコインの高騰はマイニング機器というハードウェア価格の高騰も引き起こしているのです。
今後もビットコインが暗号資産の価格を牽引していくのと同時に、マイニング機器類の価格とも比例していくことでしょう。特にGPUはパソコンのパーツとしても用いられるものなので、グラフィックボードなどGPUを使用するパーツ類の価格にも影響を及ぼします。
今回の高騰は「本物」の可能性が高い
一度大きく下落したビットコインが、コロナショックなどさまざまな局面を経験しながら再び高騰しました。このことは暗号資産の経済的な地位を確かなものにする可能性が高いと見る向きが多く、今回の高騰はビットコインをはじめとする安藤資産の地位がいよいよ本物になってきたことの証しではないでしょうか。
その根拠が、先ほどから述べてきている昨今のマイニング機器の価格高騰です。旺盛な需要を支えているのは、個人というより事業者による大量の発注です。機関投資家である彼らがマイニングに本格参入することにより、ブロックチェーンがより拡大していくと見るのが自然でしょう。
この波に乗るか、それとも傍観するか。既存のマイナーだけでなくすべての投資家が選択を迫られているのかもしれません。