暗号資産(仮想通貨)が出始めた当初は、それ自体が投資対象として取引され、少し時間が経てば投資方法がマイニングへ移行しました。
そして現在、あれだけ勢いのあったマイニング市場において、「暗号資産の墓場」という言葉が登場しました。
登場した当初から市場の流れが早い暗号資産ですが、墓場という言葉が登場するまでにはなるとは、マイニング市場に一体何が起こっているのでしょうか?
マイニング市場の現状と、今後の新たな可能性について解説していきます。
暗号資産の価格下落により増えている「暗号資産の墓場」
暗号資産の価格が高騰している全盛期などは多くのマイニングプールが誕生し、膨大なマイニングマシンを稼働させるマイニングファームも誕生したことで、市場の競争は日を追うごとに激しさを増していきました。
しかし今、このマイニング市場に変化が起こり始めています。
皆さんの記憶に新しいビットコインの暴落を皮切りに暗号資産の全盛期は終焉を迎え、暗号資産の通貨価格が大幅に下落したことにより、稼働停止状態に陥るマイニングファームが増加しています。
この稼働停止状態のマイニングファームは、暗号資産の墓場と呼ばれているようです。
では、なぜこのような暗号資産の墓場が増える事態となってしまったのでしょうか?
暗号資産の墓場が増加した原因
マイニングには、高性能のマイニングマシンが欠かせません。
膨大な量の計算をより速く処理したマイナーに利益が入るため、マイニングマシンの性能が向上するとともに、倉庫の様に巨大なスペースに大量のマイニングマシンを設置し、そこで昼夜を問わずフル稼働でマイニングをするマイナーも増えていきました。
このようなマイニングファームは、相当な量の装置の稼働や冷却が365日24時間続くため膨大な電気代が必要でしたが、当時の暗号資産の価値を考えれば十分に利益を得ることが可能でした。
しかし、ビットコインなどの暗号資産の価値が下落することで事態は一変し、マイニングファームの稼働と利益の採算が合わなくなってしまいました。
これにより、多くのマイニングファームが稼働停止状態に陥ることとなり、マイニング市場に参入していた企業も大きな痛手を負うこととなりました。
例えば、GMOインターネットはマイニング関連で約355億の損失を被っており、DMM.comはマイニング市場からの撤退を余儀なくされました。
マイナーを悩ませる墓場と化したマイニングマシンの扱い
マイナーが撤退することにより稼働を停止したマイニングマシンは、GPUやメモリーなどは再利用できることから、中古として売却されるのが一般的です。
しかし、マイニングマシンの導入に掛けた費用をまだ回収できておらず、マイニングのために契約した電力供給や場所の賃貸も契約期間が満了していないことから、簡単に撤退することができないという事情を抱えたマイナーが多くいます。
このような問題を抱えている場合、マイニングしてもしなくても赤字となるのならマイニングした方がマシだという考えで、マシンを稼働させているケースも少なくありません。
マイニング市場に参入した頃は利益を見込むことができても、それが続く保証はないという暗号資産のリスクが浮き彫りになる形となったともいえます。
ピンチの中で見えてきたマイニングマシンの新たな可能性
膨大な量のマイニングマシンの停止と処理が問題視されていますが、この問題に対して全く違った視点で対処しようとする動きも出始めています。
ドローンなどを開発しているスタートアップ企業のA.L.I.Technologiesは、稼働を停止しているマイニング装置の高性能な演算能力をいかして、クラウド経由で演算能力を貸し出す「パワープール事業」を始めるとしています。
大量のマイニングマシンを利用するということは、画像処理半導体であるGPUを大量に束ねることになります。
そのため、自動車設計やその他の分野のレンダリングやディープランニングなど、膨大な演算能力を必要としている企業に需要があると見込まれており、同社は売り込みに意欲を見せています。
サービスの内容は、借りる側は高価で高性能なマシンを比較的安い価格で使うことができ、貸し出す方はマイニングを継続するよりも採算が合うようにしてあるようで、現在はすでに複数の事業者と交渉中のようです。
暗号資産の新たな成長とサービス誕生の兆し
マイニングマシンをマイニングに利用するだけでなく、パワープール事業として演算能力自体を貸し出すという動きは、ただ単にマイニングや暗号資産ブームが終わるということではありません。
パワープール事業が成功し、このようなサービスが拡大していけば、高価なレンダリングマシンの費用が下がる可能性や、価格の問題で手が出せなかった事業や、実現が困難になっていたサービスにもチャンスが訪れるかもしれません。
これはつまり、マイニングマシンの新たな可能性が生まれることで、他分野の成長や、新しいサービス誕生の兆しがあると考えられるということです。
また、巨大マイニングファームのGPUが他事業やサービスに使われ始めてようとしている一方で、暗号資産の規制強化によって市場の公平さが増すことにより、個人マイナーのチャンスが増える可能性があるなど、マイニング業界にも変化の波が着々と押し寄せてきています。
今後、マイニングやマイニングマシンを利用した何らかのサービスの運用を考えた時に、和上サイクルは太陽光発電を利用していることから環境配慮のアピールにもなります。
マイナーや事業運営者は、今後ますます環境への配慮を厳しく監視されると予想できるため、和上サイクルの利用は有効な選択の1つだと考えられます。