2019年9月にビットコインが急落したことを皮切りに暗号資産市場全体が落ち込み、イーサリアムとリップルを含めた3つの主要な暗号資産が急落することとなりました。
この動向を受けて、ビットコインはさらに下落していくといった見解から無価値になるのではないかと心配する声まで上がり、イーサリアムについても需要の減少を指摘する意見や、無価値になる可能性を示唆する意見も上がりました。
リップルについても、同様のことをいうことができます。
しかしそういった状況の中でもテクニカル分析によって、相場が急落してもパニックになる必要はないという意見もあります。
なぜそのような見方ができるのか、暗号資産別に解説していきます。
■ビットコインの急落に対するテクニカル分析の見解
ビットコインは狭いレンジ内で動いた後に、上昇か下落のどちらかに大きく抜けることが予測されていましたが、9月24日頃に下落の方に抜ける形となりました。
そうしてビットコインが下落トレンドとなった後、今後もさらに大きく下落していくだろうといった推測や、このまま価値が無くなるのではないかという極端な意見も出ました。
しかし、テクニカル分析の視点から見ると、強気派が7,451ドルあたりへの下落を阻止することができれば、上昇の動きとなる可能性はあるため、パニックになるべきではないという見解を示していました。
ただし、弱気派がビットコインの価格を約7,337ドルより下抜けさせた場合は、市場の感情はさらに弱気傾向となり、ビットコインの価格を迅速に回復させることは難しくなるだろうとも予測していました。
以上のことを考慮しながらテクニカル分析を注意深く進めると、相対力指数(RSI)という指数は売られ過ぎの領域に入っていることを示しており、これによってビットコイン市場が上昇の余地があることを示していたようです。
実際に、現在は反発の動きを見せて80万円台前半まで落ち込んだビットコインの価格が、10月下旬になってから100万円台付近まで持ち直しています。
ただ、これは一時的な反発だという見方もでき、これから上昇トレンドに転向していくという保障があるわけではないため、今後も動向を注意深く見守る必要があります。
■イーサリアムの急落に対するテクニカル分析の見解
イーサリアムはビットコインの急落に巻き込まれる形となったのか、ビットコインと同様に9月24日に急落し、トレードのストップロスである160ドルにまで落ち込む事態となりました。
その後も価格の低迷は続いており、強気派が150ドルあたりのサポートを守っている状況のようですが、このサポートを下抜けてしまったら122ドルあたりまで下落するかもしれないという予測があります。
以上のことから、イーサリアムは強気派よりも弱気派の方が優位である見方がありますが、反発の動きが強まり、上昇していく余地はあると考えることもできます。
また、イーサリアムに関しては新しい買い場が形成されるのを待つという見解も示されています。
■リップルの急落に対するテクニカル分析の見解
リップルの相場の動向をテクニカル分析の視点から解説すると、9月23日に移動平均線を下抜けし、24日にはビットコインやイーサリアムと同様に急落し、年間最安値を更新するまでになってしまいました。
この下落によって0.45ドル以上あったリップルは、トレードのストップロスである0.24ドルあたりまでに達してしまいましたが、強気派が価格を押し上げようとしている動きも見られるようです。
ただ、強気派が頑張っても価格が0.24508ドルを超えることが出来ない場合は、リップルは再び下降トレンドとなってしまうだろうという意見があります。
以上のことから、リップルは強気派よりも弱気派の陽が優勢であると考えることができますが、できることなら上昇傾向に転向して欲しいところです。
また、イーサリアムと同様に、新しい買い場が形成されるのを待つ方が良いという意見もあります。
■主要暗号資産の今後の相場動向
ここまでに3つの主要な暗号資産それぞれに対して、テクニカル分析による見解を解説してきましたが、いずれもまだはっきりした上昇傾向に転じているとは考えにくく、油断することができない状況だといえます。
ただ、テクニカル分析以外の視点からも、それぞれの暗号資産を扱っている人はパニックになる必要はないと考えることができます。
ビットコインの場合は、上場投資信託であるETFが実現する可能性や、2020年5月頃に半減期を迎える予定であるなど、ビットコイン界隈のイベントは今後も続く状態であり、このことからも価格が上昇する余地はあると推測できます。
また、ドイツにあるバイエルン州立銀行の調査報告によると、ビットコインの価格は2020年の春頃に約970万円に達するという予測が公表されており、ビットコインは金よりも価値を持つ存在になる可能性があると公表されたと考えることもできます。
つまり、今回の急落は投資目的の人からすればかなり不安であるかもしれませんが、資産としての市民権を獲得しつつあるビットコインの将来性に注目してみると、長い目でみればまだ伸びしろはあるといえます。
また、イーサリアムやリップルは投機目的よりも、金融機関や実店舗での利用など、実世界での利用目的の方が強いように感じられるため、投機的目線で焦ることや、短期目線で価値を判断してしまうのは短絡的だともいえます
また気を付けたいのは、その場の価格変動だけを見て騒ぐ情報には惑わされないことです。