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暗号資産マイニングコラム

リブラは金融システムへの脅威となるのか?

フェイスブックが発行する予定である暗号資産「リブラ」について、アメリカ議会の公聴会や主要7ヶ国参加の中央銀行総裁会議などで、熱い議論が交わされました。
中央銀行総裁会議では議長総括によって「リブラには最高水準の規制が必要である」という意見で締めくくられており、トランプ大統領やパウエル議長など、アメリカ政府高官もリブラに対しては否定的な態度をとっているようです。
ここから見えてくることは、リブラと既存権力が対立しているという構図であり、リブラは既存の金融システムに対する脅威になり得るという懸念です。
しかし、リブラは本当に金融システムへの脅威となる可能性があるのでしょうか?
今回は、このことについて考察していきます。

リブラの発行目的は社会貢献

リブラの発行目的は、世界の金融インフラを整えることだとされています。
日本では資産を預けるために銀行口座が当たり前のように利用されていますが、世界では銀行口座を持っていない人が多く、その数は約17億ともいわれています。
また、出稼ぎに出ている人達は毎月のように自国の家族に送金していますが、送金のための申請手続きは手間が多く、送金手数料も平均で約7%と結構な割合を占めており、これでは出稼ぎの負担が大きくなってしまいます。
リブラはこれらの問題を解決するために、暗号資産の技術によってシンプルかつ低コストである金融インフラを作ることで、社会に貢献することを目標に掲げているのです。
ただ、これは表向きの目的であるという見方もあり、マネーロンダリングや個人情報の保護などの問題を考慮すると、金融機関として機能した経験が一度もない一企業の壮大かつ社会貢献に基づいた主張を、どこまで信じることができるのかと考えてしまいます。
トランプ大統領を始めとするアメリカ政府高官や、G7の要人達がリブラに対して否定的な態度をとっているのは、先に述べた問題を懸念していることが1つの理由であるといえます。

規制の方向性の問題

先にも述べた通り、リブラは暗号資産が持つ匿名性の高さゆえのマネーロンダリングや利用者保護の問題、金融システムへの打撃や様々な重要データの取り扱いなど、多くのリスクが言及されています。
特に、マネーロンダリングや利用者保護に関しては以前から国際会議でも議論が交わされており、規制を整えるための国際的な動きが進んでいます。
リブラは世界共通の通貨になることを目指していることから、国際的に合意が得られる規制が必要となるため、発行のGOサインが出る環境が整うのはまだまだ先のことではないかと推測できます。

リブラは既存の金融システムの脅威となるのか

ここまでに述べたことから、リブラが発行に至るまでには乗り越えなければならない問題が山積みであると同時に、既存の金融システムに対して脅威を与えるのではないかというネガティブイメージを払拭する必要があることが分かります。
ここで考える必要があるのが、リブラが他の暗号資産と違って価格変動しにくいとされる仕組みです。
ビットコインやイーサリアムは発行の際に裏付けとなる法定通貨がないため、需給に応じて価格が大きく変動します。
一方でリブラは法定通貨の裏付けのもとに発行されるので、安定した価格での流通が可能になります。
つまり、リブラは既存の金融システムから完全に開放されるというわけではありません。
しかも、法定通貨の信頼のもとにリブラの価値が担保されるということは、リブラは日銀ネットやFedwireなどの中銀決済システムに依存するかたちとなるため、発行するためには規制当局の承認を得なければならないということになります。
以上のことから、リブラの発行には規制当局の意志に沿う必要があるため、既存の金融システムの大きな脅威になるかというと、そうとは言い切れないと考えることができます。

資本流出の懸念

リブラの対するもう1つの懸念として、資本の流出が挙げられています。
どういうことかというと、リブラによって新興国の自国通貨が駆逐されて、その国の金融政策が無効となってしまうという懸念です。
しかし、これはリブラ特有のリスクというわけではなく、政策当局が脆弱でインフレしやすい国では、以前からリブラに限らず資本流出の懸念は指摘されていました。
また、リブラが自国通貨と置き換えられてしまうなら、それはその国の政策当局が物価の安定に失敗したからであり、リブラでなくても他の通貨に置き換えられる可能性は十分あったということになります。

リブラが指摘されている脅威の実態

リブラは世界共通の通貨になるという目的から多くの注目が集まり、様々な懸念がされています。
しかし、指摘されている懸念の中にはリブラ特有のものではないことがあることや、リブラの仕組み自体が既存の金融システムから完全に独立するものではないことから、既存の金融システムを崩壊させるほどの破壊力があるかというと、それについては疑問に感じます。
ただ、リブラは暗号資産の1種で新しい技術や概念があるために不透明なことが多く、本当に発行して良いのかどうか不安要素が多いことは確かです。
以上のことから、リブラのプロジェクトは騒ぎ立ててどうにかなるものではないし、無視するべきものでもないように思うので、静観することが得策であるといえます。

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