マイニングはコンピューターを稼働させておくだけのビジネスなので、最初にシステムを構築してしまえば不労所得に近い収入が得られるメリットがあります。しかし、そこでネックになるのが電気代です。常時ハイスペックなコンピューターを稼働し続ける必要があるため、それが1か月分となると電気代も相当なものになります。
しかしその問題さえクリアできれば、マイニングの報酬を丸ごと自分のものにできるわけで・・・。今回はそんなことを本当に実践してしまった人の事件簿を紹介します。
米国マサチューセッツ州の高校で発覚した違法なマイニング
米国マサチューセッツ州の、とある高校で違法なマイニングビジネスをしていたとして、ある男が訴追されました。罪名は、器物損壊容疑です。器物損壊というと何かを壊したのかというと、そうではありません。訴追された直接の理由は、マイニングです。
もちろん、マイニング自体は違法ではありません。ただしそれは、自分が専有できる土地や建物の中であり、自分で電気代を支払っている場合です。この男は「電気さえ他人のものを使うことができれば、マイニング報酬を丸々自分のものにできる」と考えたのでしょう。多くのマイナーが一度は考えることです。ほとんどの人は考えるだけですが、この男は実践してしまいました。
マイニング施設は高校の配管スペースにあった
今回摘発された内容によると、この男は高校の配管スペース内にマイニングマシンを設置し、そこで暗号資産のマイニングをしていたそうです。配管スペースなので水道管やケーブル類などのパイプが設置されているだけのスペースなので、そこなら勝手にコンピューターを置いて電源を使ってもバレないと考えたのでしょう。
実際に8か月かんバレなかったようなので、この男の思惑はある意味、当たっています。
しかし、ある日学校の用務員が配管スペースを巡回したところ、配管スペース内の「高いところ」に不審な設備を発見しました。配管スペースがあるだけなのに電線がたくさん張り巡らされていて、排熱のためのダクト、コンピューターが設置されていたのだとか。配管スペースには場違いであることから不審に思い、警察に通報したことで事件が発覚しました。
警察が調べたところ、6台のマイニング装置があったそうです。かなり規模感のあるマイニングビジネスを「展開」していたと想像できます。
8か月間の電位代200万円を「丸儲け」
すでに発覚したので装置は撤去されたそうですが、発覚までの8か月間、約1万7,000ドルもの電気代を消費していました。日本円にすると200万円近くになります。本来であれば自分で支払うべきものなので、これを丸儲けできたということは、さぞや儲かったことでしょう。
この犯人はNahasという人物だそうですが、本人は関与を否定しているそうです。しかし領収書やSNS上での言及などいくつかの状況証拠が上がっているそうなので、有罪であることは間違いないでしょう。場合によっては電気代の賠償を求められるかもしれません。
誰もが考える「電気代のタダ乗り」によるマイニングですが、本当にやってしまうとどんな結末を迎えるのかを示す典型例です。