マイニングは電気代やマシンリソースと引き換えに報酬を得るビジネスといってよいでしょう。そのため、利益を最大化するには電気代やマシンリソースをいかに抑えるかがポイントになります。
他人の電気代やマシンリソースを使ってマイニングができて、その報酬は自分のものになったら理想的・・・と思ったことがある人は多いと思います。
実際にそれを実現できる方法もあるわけですが、他人のリソースを使った安易なマイニングにはリスクもあります。
クリプトジャッキングが世界を席巻
Webサーバーにマイニングのためのコードを埋め込み、そのWebサーバーが公開しているサイトを閲覧すると、閲覧者が知らない間にマイニングが行わることを、クリプトジャッキングといいます。
クリプトジャッキングの代表例は、CoinHiveでしょう。CoinHiveのコードが埋め込まれたサイトを閲覧するだけで暗号資産モネロのマイニングが行われる仕組みです。かなり問題になったこともあってすでにCoinHive自体は終了していますが、同様の手口は他にもあります。
サービスが終了したのはモネロの価格暴落が直接の原因だとされていますが、このCoinHiveを使ってマイニングをしたとして21人もの逮捕者も出ました。ただし、この事件についてはその後最高裁判所まで争われ、無罪判決が確定しています。法的な解釈が曖昧で法整備が追いついていないことが浮き彫りになった事件でした。
無罪判決=やりたい放題ではない
CoinHive事件については最終的に無罪判決となりましたが、一度は逮捕された事実がありますし、今後も同様のことが起きる可能性は大いにあります。それだけ暗号資産やマイニングについての法整備が追い付いておらず、どこかの都道府県警が「クロだ」と判断すれば逮捕される可能性はあります。
世界では続々と新たな手口が誕生
クリプトジャッキングは仕掛ける側にとってはお金儲けの手段としてとても有効性が高いため、次々と新たな手口が考案され、そのためのコードが開発されています。
CoinHiveはサイト運営者自らがマイニングのためのコードを埋め込んでいたわけですが、今やサイト運営者が知らない間にWebサーバーにコードを勝手に埋め込まれ、マイニングに使用される事例まであります。
最も有名なのは、イーロン・マスク氏が率いるテスラのクラウドサーバーがハッキングされ、そこにクリプトジャッキングのコードが埋め込まれた事例です。大企業だけにサーバーのリソースが大きく、セキュリティを強化するまで発覚せずにまんまとマイニング報酬が流れていたそうです。
こうしたニュースを見聞きすると、「自分もできるのでは?」と思う人が出てくるかもしれませんが、先ほど述べたように法整備が追いついておらず取り締まりをする側の法解釈も一定ではありません。
安易に他人のふんどしでお金儲けを企むのはおすすめしません。