暗号資産界隈では頻繁に出ては消える、詐欺や詐欺まがいの怪しい話。当コラムではこれまでに何度も暗号資産がらみの怪しい話について取り上げてきましたが、今回は2024年10月時点で話題になっている「AZERO(アゼロ)」に関するネットワークビジネスと思われる案件について注意喚起したいと思います。
そもそも、AZEROって何?
最初にお伝えしたいのが、AZERO自体の信頼性です。AZEROという暗号資産は独自のブロックチェーンで運営されており、既存のブロックチェーンよりも高速かつ安全、そして豊富なDAppの可能性を持っているのが特徴です。
簡単に言えば、これまでの暗号資産が持っていた弱点を補った新しい暗号資産で、2023年の11月にはその価値が評価されて大きく価格が上昇した実績もあります。
これだけ将来性のあるトークンだけに、筆者もAZEROが何らかの怪しげなビジネスの標的になることは想像していました。そうすると案の定、CDPというツッコミどころ満載のプロジェクトが登場してしまいました。
AZERO自体は決して怪しいものでも詐欺まがいのものでもなく、問題はこのAZEROを使った怪しい話がうごめているいることです。
ちなみに、2024年10月時点でAZEROの価格は回復基調にあり、UST(米ドルステーブルコイン)に対して0.39UST程度の価値があります。
怪しい話の胴元、CDPとは?
さて、話をAZEROの怪しい話に進めましょう。最近問題になっているのは、CDPと呼ばれるステーキングサービスのプロジェクトです。ステーキングとは暗号資産を預けておくことで利息がもらえるサービスのことで、このCDPではAZEROを預けておくことで6%から10%程度の利息が得られるとしています。
これだけを見ると魅力的に見えるのですが、問題はこのCDPの胴元です。運営者に関する明確な情報はなく、基本的にネットワークビジネスの形態をとっています。ステーキングに参加している人が他の参加者を紹介するとマージンがもらえるという、おなじみのアレです。
しかも、このCFPはAZEROの公式運営団体とは何の関係もなく、単に「儲かる」と謳っているだけです。運営者に関する明確な情報がなく、連絡先として公開されているのがLINEの公式アカウントのみ。さすがにこれでは「安全である」とはお世辞にもいえません。
ツッコミどころ満載のCDPで出資者が続出
これだけツッコミどころ満載のCDPですが、現在出資者が続出しています。まだ被害は顕在化していませんが、今後CDPの運営者がそのままドロンしてしまう可能性は否定できず、出資者がそのまま被害者になってしまう可能性があります。
普通であればこんなに怪しい話に大切なお金を出す人がいること自体が信じられないのですが、そこには巧妙な「仕掛け」があります。
(後編に続く)