仮想通貨は登場してから現在までユーザー数が増え続け、投資対象としてだけでなく、決済手段などにも利用される機会が増えてきました。
このように私達の生活に普及し始めている仮想通貨に対して、G20も相応の対応をすることを意識し始めており、各国での対応が求められるようになってきています。
このようなG20の動きは仮想通貨市場にどのような影響を与えるのか、仮想通貨関連の技術発展を促すのか、それとも足枷になるのか、順を追って紐解いていきたいと思います。
G20が意識する仮想通貨
G20(Group of Twenty)は、アメリカや日本、イギリスや中国などのほかに、メキシコやサウジアラビアなど20の様々な国で構成されており、これらの国が1年に2回から4回ほど集まってサミットを開催し、世界経済や観光、環境やエネルギーなど幅広い議題が扱われています。
この議題の中に仮想通貨も含まれており、仮想通貨を扱う際の法整備について積極的に話し合われています。
仮想通貨は技術発展が著しく、金融システムや世界経済に利益をもたらすなど多くの可能性を秘めている一方で、マネーロンダリングや賄賂などといった犯罪行為に悪用されるリスクもあるため、G20にとっても無視できない存在になっているのです。
G20は目標の1つとして、仮想通貨に対する国際的な制度の設立を掲げており、2020年までに最終報告書を提出することを目指しています。
G20が仮想通貨市場に与える影響はプラスかマイナスか
G20が仮想通貨市場に与える影響は大きいと予想できます。
2018年にブエノスアイレスで開催されたサミットでは、仮想通貨に対する規制を国際的に明確にすることが話し合われた一方で、参加国の多くがブロックチェーン技術に対して前向きであったようです。
そして、G20が行われた後にはビットコインの価格が高騰し、90万円近くまでになりました。
このようにG20の動きは仮想通貨に対して大きな影響を与えるため、マイナーなど仮想通貨関連で利益を得ている人の中には、今後開催されるサミットで仮想通貨の新規制が合意されたらマイニングや投資活動などが規制され、仮想通貨市場ががんじがらめになってしまうのではないかと心配する人もいるようです。
しかし、マネーロンダリングやテロ資金供与、賄賂などの不正といった不透明性が整備されるのは、仮想通貨市場の健全な成長のためには必要なことであり、長い目で見たら良いことと思います。
仮想通貨が抱えるリスクが警戒されている一方で、私達の生活をより良くしていく可能性が評価されていることも事実なので、仮想通貨市場の健全な成長を促すことが期待できるといえます。
デジタル課税制度も議題にあがる見込み
デジタル課税制度とは、グーグルやアマゾンなどを指すGAFAを含めた国際的な大手IT企業向けに導入が検討されている課税制度であり、課税逃れの防止を目的としています。
IT系以外の一般的な企業は工場や事務所などを拠点としていることがほとんどで、これらの企業は拠点を置いている現地で課される法人税を納めています。
しかし、IT系の海外企業などは税率の低い国や地域に利益を移すことで、納税額を減らすなどの課税逃れをしている可能性が指摘されています。
それに加えて仮想通貨が脱税に悪用されていることも懸念されているため、G20参加国間でデジタル課税関連の問題を2019年中に検討し、2020年までに具体的な内容をまとめる予定としています。
ちなみに、フランスではすでにデジタル課税法案が下院を通過しており、イギリスでは2020年4月からデジタル課税を導入することを明らかにしています。
また、金融安定理事会という国際金融に関する規制や監視などを行っている組織も、仮想通貨の規制が重要であると考えているため、銀行や規制当局と話し合いながら仮想通貨を安全に運用できる環境の構築を目指しています。
変化し続ける仮想通貨の規制から目を離さない
ここまで述べた通り、仮想通貨は世界各国にとって見逃せない存在となっており、金融安定理事会からの規制の重要性が言及され、仮想通貨関連の規制内容が積極的に話し合われるようになっています。
仮想通貨は技術の進化が目覚ましいことから各国の規制も変わり、なかなか一枚岩にはならないものの、G20による話し合いと金融安定理事会による仮想通貨の運用規制に関する構造の見直しは、仮想通貨市場に大きな影響を与えると推測できます。
この影響はマイニング市場にも少なからず影響を与えると考えられるので、マイナーはG20など今後の国際的な動きには特に注意を払う必要があると思います。
また、今後強くなると予想される規制や監視に備えて、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用したマイニングへの切り替えや、電気使用量がより節約できるプランへの変更、節電や環境に配慮した設備への投資など、現段階でできる対策を行うことを検討する必要があるといえます。
今後推し進められる仮想通貨に関する規制が技術革新の芽を摘むことがないことと、仮想通貨の不透明性の改善がマイニング利益の偏りをなくすなどといった、仮想通貨市場全体の健全化につながることを希望しています。