暗号資産は価格の乱高下や、利益や損失に目が行きやすいためにギャンブルのように考えている人も多くいらっしゃる印象がありますが、名前にある通り資産を運用しているのであり、ギャンブルとは異なります。
また、日銀の金融リテラシー調査によると、FXや株式などと同様に暗号資産は理解度の差が運用実績に大きく影響していることも分かりました。
このことを踏まえて、暗号資産保有者の運用実績の実態をもう少し詳しく掘り下げるとともに、そこからマイナーが稼げる可能性について考えていきたいと思います。
暗号資産の理解度の差が運用実績を左右する
日銀が行った、全国の18歳から79歳の個人2万5000人を対象とした金融リテラシー調査によると、ビットコインなどの暗号資産を保有したことがある人は全体の7.8%であり、その中で暗号資産の運用によって利益が出たと答えた人は18%であるのに対して、損失が出たと答えた人は31%でした。
この調査結果から、暗号資産によって利益を得られた人がいる一方で、損失を被った人が多くいるということが分かりました。
興味深いのが、この運用実績の差は暗号資産に対する理解度の差にも結び付いていたことです。
どういうことかというと、「暗号資産について人に教えられるレベルの理解度」で暗号資産に投資した人は17%で、この層の40%は利益が出たと回答しており、損失を被ったと回答した21%を上回る結果となっています。
暗号資産に対する理解度が低い層で利益が出た人が14%だったことと比較すると、かなりの差があることが分かります。
暗号資産保有=金融リテラシーが高いわけではない
金融リテラシー調査によると、暗号資産を保有したことがある人は保有したことがない人よりも投資意欲が高く、投資リスクに対しても比較的認識がある結果となっています。
それは、「投資や預金をする時には、金銭的に損をする可能性があっても仕方ないと思う」という投資リスクへの認識に関する質問に対して、暗号資産保有経験者の45%がYESと答えたことに対して、暗号資産を保有したことが無い人の28%がYESと答えるという結果が出たことからも伺えます。
投資はリスクを含めてリターンを得るものであり、それを承知しているか否かでも運用実績は違ったものになる可能性が高いため、投資リスクに対する認識があることは良いことだといえます。
ただし、暗号資産保有経験者は投資リスクへの認識が高い傾向がある一方で、金融リテラシーが特別高いわけではないという結果も出ています。
金融リテラシーとは資産形成や金融取引、金利やローンに対する知識など、お金とうまく付き合うために必要とされる知識や判断力のことです。
暗号資産の保有経験者は、この金融リテラシーが高いと思いきや、金融知識や判断力に関わる問題の正答率は、むしろ平均をやや下回るという結果になっています。
つまり暗号資産の保有経験者は、自身が本来持っている金融リテラシーレベルに対して、自己評価が高いというギャップがある実態が伺えます。
マイナーが稼げる可能性
日銀が行った金融リテラシーの結果から考えられることは、暗号資産を保有したことがある人達の実態と、マイナーの実態はほぼ同じであるといえる可能性があることです。
全国の18歳から79歳の幅広い年齢層における2万5000人を対象に行った調査で、全体のたった7.8%が暗号資産を保有したことがあると答えたということは、暗号資産を保有していない人は全体の90%以上に及ぶということです。
それはつまり、暗号資産を扱っているマイナー達はそれだけおいしい立場にあるといえます。
しかしマイナー達の中にも、暗号資産をマイニングすれば儲けられそうだという可能性に飛びついただけのタイプと、暗号資産やマイニングについて人に教えられるくらいに知識を持っているタイプと分けることができるはずです。
そして、この2つのタイプではマイニングによる利益率に差が生じている可能性があると考えられます。
さらに、マイニングを行っていることで、実は暗号資産を扱っていない人達と金融リテラシーに大差がないにも関わらず、マイニングや暗号資産の保有をしていない人達に比べて自分が人よりも一歩先に言っている錯覚陥っている方もいらっしゃると思います。
暗号資産はその名前が表している通り資産であるため、可能な限りリスクを軽減しながら利益を増やすためには暗号資産やマイニングの知識の他に、お金とうまく付き合う知識である金融リテラシーも重要となります。
このことを理解して金融リテラシーを身に付けているマイナーとそうではないマイナーでは、やはり利益率に差が生じている可能性があります。
以上のことからいえることは、暗号資産を持っているだけでは利益をあげられる可能性は低い一方で、暗号資産やマイニングに関する知識を人に教えられるくらいに高める努力ができる人は、そうでない人よりも利益を上げられる可能性が高くなるといえます。
そこからもう一歩踏み込んで、経済の仕組みやお金に対する理解を深めて金融リテラシーを高めれば、マイナーとして稼げる可能性はさらに広がると考えられます。