自宅や会社でのマイニングで気になることといえば、電気料金でしょう。日本は電気料金が高いのでマイニングをやっても利益を乗せるのが難しいということが、マイニングのリスクとしてしばしば語られています。
しかし、筆者に言わせると「それで済めばまだまだ低リスク」となります。なぜなら、マイニングにはそれ以外にもとんでもないリスクが潜んでいるからです。そのとんでもないリスクとは、火災です。
利益を出すために自宅でマイニングを始めて、それが火災を引き起こしてすべてを失ってしまった・・・というのは笑えない話です。なぜマイニングが火災のリスクをはらんでいるのでしょうか?その理由と対策を解説します。
熱が積もり積もると発火する
発火するための条件とは、酸素があること、可燃物があること、そして発火点と呼ばれる温度まで上昇することの3つです。この条件が整えば、どんなところでも火の手が上がります。
自宅でマイニングリグ(マイニング専用マシン)を運営している場合、この3つの条件が揃う可能性はとても高くなります。一般的な自作マイニングリグはマザーボードにGPUボードを8枚装着したものを、「ほぼ裸」で設置します。通常であればDOS/Vケースと呼ばれるパソコンケースに入れて製作するのですが、それだとケースの中に熱がこもってしまうため、多くのマイニングリグは熱を排出しやすいように「ほぼ裸」の状態で設置します。
これにより熱がこもってしまうことによる発火はないように思うのですが、ここにひとつの盲点があります。
無かったはずの可燃物が空中からやってくる
多くの場合、マイニングリグを組むためのラックが使用されます。金属製のラックが多いのですが、中には木製やプラスチック製のものもあります。ここでお気づきかと思いますが、木製やプラスチック製のラックは可燃物なのでマイニングリグ本体からの熱によって発火する可能性があり、危険です。
それを防ぐために金属製やセラミック製のラックを使っていれば安心・・・のはずなのですが、意外な難敵が空中からやってきます。それは、ホコリです。
自宅にマイニングリグを置いている場合、自宅で人が生活をすることによってどうしてもホコリが発生します。窓を開けることも多いと思いますが、窓を開けることによって外から大量のホコリが室内に入ってきます。それらが冷却ファンに吸い込まれてCPUやGPUなどに吹き付けられることになるのです。それが蓄積してくると、このホコリが「燃料」となって発火してしまう恐れがあるわけです。
事実、自宅に設置されたマイニングリグからの発火による火災事故は世界中で数え切れないほど発生しています。「まさか」と思われた方は、検索してみてください。おびただしい数の事例や動画などがヒットすると思います。
発火する条件を整えさせないことが重要
こうした事態を防ぐには、マイニングリグを金属製やセラミック製のラックに組み、さらにホコリが入り込まないようにする工夫が必要です。ファンにフィルターを取り付ける、マイニングリグの下に防火シートを敷くといった対策をすることにより、発火を防ぎつつ万が一発火したとしても延焼を防ぐことができます。その場合、マイニングリグは死亡確実ですが、被害がそれで食い止められれば十分マシな事態と言えるでしょう。
自作パソコンでも熱対策は重要ですが、マイニングリグはGPUボードを8枚も装着するのですから、次元が違うということですね。
お金儲けのために始めたマイニングで火災を出してしまっては巨額の損失となってしまいます。やはり本格的なマイニングをするとなると、火災対策も取られている専門のマイニングファームが最も安全だということになりそうです。