資金調達というと昔は親族や知人に協力をお願いしたり、銀行に融資してもらうなど、かなりの労力と手間がかかる調達方法がありましたが、ネットの普及によってクラウドファンディングなどの方法が登場しました。
そこにさらに仮想通貨が加わることで、ICOプロジェクトを行うケースが増えています。
ビットコインを始めとする仮想通貨市場が資金源になりうるという評価をされたことと、銀行から融資をしてもらう時のような労力と手間が省けるため、今までに何百何千ものICOプロジェクトが行われてきています。
では、この流れに乗れば自分も大儲けのチャンスを掴むことができるのかというと、それは早計だと思います。
何故かというと、ICOは金融バブルの一種であるという見方もあり、近々崩壊してしまう可能性があるからです。
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは
ICOの金融バブルについて触れる前に、そもそもICOとは何なのかを軽くおさらいしたいと思います。
ICOの主な目的は、企業がプロジェクトを遂行するために必要な資金を仮想通貨で調達することです。つまり、事業を立ち上げるためのお金を仮想通貨で集めるために、企業がトークンと呼ばれる仮想通貨を発行し、そのトークンを購入してもらうという仕組みになります。
ネットを利用して資金を集める方法というとクラウドファンディングが有名であり、ICOと何が違うのかよく分からない方もいらっしゃるかもしれません。
クラウドファンディングでは、出資者へのリターンは主催者側が自由に決定することができますが、出資に対するリターンはたったの1回であることがほとんどであり、そのリターンも資産になるようなものではないケースもあります。
しかしICOでは仮想通貨で出資することで売買できる仮想通貨となるトークンを保有することになるので、継続的に利益を受けることができます。
以上のように、仮想通貨を使って大きな労力をかけずに資金を調達することが可能なところが魅力のICOですが、実際のところは上手くいくことばかりではないようです。
1年から2年で崩壊する可能性があるICO金融バブル
Bitmain社はマイニング専用の集積回路の製造や仮想通貨マイニング、マイニングプールやクラウドマイニングなど、マイニング事業に特化した企業として世界有数の仮想通貨関連企業の1つです。
Bitmain社はビットコインのマイニング量が世界最大であり、AntpoolとBTC.comの2つの子会社でのマイニングはビットコインマイニング市場の40%以上のシェアとなります。
マイニング市場においてこれほどまでに大きなシェアを占めているBitmain社のCEOであるジハン・ウー氏が、ICOは金融バブルの状態であり、1年から2年で崩壊する可能性があるという意見を述べたことは、非常に注目すべきことであると思います。
ジハン・ウー氏は、現在のICOモデルは投資家が株式でいうところの証券にあたるトークンを購入したところで、一部を除く配当や投票権を得ることはできない上に、得られる利益は投機的な高まりによる売却益のみのため、消滅していくのではないかという見解を持っているようです。
さらに、既存の株式や債券などといった金融資産がトークン化されたプラットフォームになっていくのではないかという考えも述べています。
以上のことはICOで資金を集めようと考えている方にとっては見逃せないことであり、大儲けのチャンスに陰りがあることを示唆するものであるとも考えられます。
マイニングにおいても、ICOのようなバブル的な願望を持つことは危険
ICOは金融バブルを起こしている状態で、企業の格付けサービスを行っているICOレーティングによると、2018年度に行われた400以上のICOプロジェクトのうち、200ものプロジェクトが1,000万円以上の資金調達を行うことができているようです。
しかし一方で、失敗に終わったICOプロジェクトはすでに1000件を超えており、これらのプロジェクトの失敗はなんと1,100億円相当に及んでいるようです。
このことから、大儲けのチャンスがありそうに見えるICOは失敗に終わる可能性が大きく、労力を賭けずにお金儲けできるといったような安易な気持ちで手を出すことはお勧めできないといえます。
マイニングについても、同様のことがいえます。
今まではビットコインを始めとする仮想通貨は高騰傾向にあり、マイニング市場に参入することで多くの利益を得ることが見込めました。
しかし、ここ最近ビットコインキャッシュを主とした仮想通貨の価格が下落傾向にあり、以前ほど大儲けのチャンスがあるとはいえない状態になってきていると考えられます。
場合によっては、マイニングによる利益よりもマイニングのための出費の方が上回ってしまうというケースもあります。
以上のことからマイニングの現状は、マイニングそのもので利益を得ること以外に課税所得の削減効果が期待できるマイニングマシンを導入するなどの税金対策もしっかり行ったうえで、着実に利益を確保していくことができるものだと思います。
従って、マイニングビジネスそのものに大儲けのチャンスがあるかもしれないというバブル的な願望を持ち込むことは、利益を得るどころか失敗に繋がる可能性があることを心に留めておいて欲しいと思います。