北朝鮮による仮想通貨への大規模なハッキングの報道が世界を駆け巡りましたが、元から北朝鮮は仮想通貨との関わりが意外に深く、これまでもさまざまな角度から「資金源になっている」「国家レベルでハッキングをしている」といった情報が流れていました。
実際のところはどうなのか?特に仮想通貨のマイニングをしている方々にとっての関わりについても改めて検証してみたいと思います。
すべての人に平等なマイニングのチャンスは北朝鮮も同様
マイニングによって仮想通貨を獲得できるということは、そのチャンスは北朝鮮にもあるということです。北朝鮮といえどもインターネットに接続はされているわけですし、そもそも寒い国でもあるのでマイニングファームを設置して取り組む条件はある程度整っています。
問題は電力の安定供給で、日常的に停電が発生しているような国なのでそのあたりはマイニングにも影響を及ぼしそうですが、国家ぐるみで外貨獲得のためにやるのであれば、電力を優先的に回すことも十分考えられます。ただし、そのせいで市民生活に停電の影響がより大きく出るのは避けられないと思いますが。
モネロ(XMR)が北朝鮮によってマイニングされ、送金されていた
仮想通貨のモネルといえば、Coinhiveの件でも有名になった仮想通貨です。日本国内でも売買可能ですが、Coinhiveが終了するということもあって今後影響力が下がっていくと見られている仮想通貨のひとつです。
このモネロが、2015年頃に北朝鮮国内で活発にマイニングされていたことをご存じでしょうか。この頃は西側諸国による経済制裁が厳しくなっていたこともあって、北朝鮮が外貨獲得のために仮想通貨マイニングに注目したとしてもそれは全く不思議なことではないでしょう。しかもモネロは匿名性が高いことが売りの仮想通貨ですから、北朝鮮が経済制裁をかいくぐってモネロを獲得しようと取り組んでいました。
今ではこの動きが発覚したこともあって北朝鮮への送金はおろか、モネロ自体の市場価値が低くなっています。
モネロだけでなくビットコイン(BTC)のマイニングも行っていた可能性
モネロはアルトコインのひとつなのでそれほど気にならない方も多いとは思いますが、北朝鮮はどうやらビットコインのマイニングも行っていたかも知れないという情報があります。行っていた、というより行おうとしたというのが正確かも知れませんが。
情報ソースは韓国の国営銀行で、その研究チームが調べたところによると2017年頃にビットコインのマイニングに取り組んでいたといいます。2017年頃というとビットコインがイケイケの価格上昇をしていた頃なので、やる価値は大いにあったことでしょう。
マイニングだけならまだしも、ハッキングは脅威
さて、ここまでは北朝鮮によるマイニングの話をしてきました。勝手にマイニングの設備を作って採掘をしている分には他のユーザーにとって機会が少なくなるという程度の損失でしかなく、それなら世界各国で繰り広げられているマイニング競争の一環です。
問題は北朝鮮が仮想通貨に注目しているのはマイニングだけでなく、盗み出すという方法でも高い関心を持っていることです。つい最近報道された大規模なハッキングでも相当な「成果」をあげたようですし、これに味を占めてまたハッキングに及ぶ可能性は十分に考えられます。何せ、お金がなくて大変なのですから。
北朝鮮だけではない、仮想通貨持ち去りのリスク
その意味では仮想通貨のウォレット保管や取引所での管理など、お手持ちの仮想通貨の取り扱いをより厳重にしておく必要が高まっていると言えるでしょう。特にマイニングで獲得した仮想通貨をお持ちの方は、せっかくマイニングで稼いだ仮想通貨をごっそり持ち去られてしまった、なんてことになっては目も当てられません。
世界には、北朝鮮だけでなくサイバー攻撃によって利益を上げようとする国はたくさんあります。その国が経済的に困窮していればそのモチベーションはより高くなると思われるので、グローバルの存在である仮想通貨がそのリスクに晒されていることを改めて認識していく必要があるでしょう。