ビットコインをはじめとする多くの暗号資産は、マイニングによって収益を狙うことができます。そのためには高速GPUを多数搭載したマシンや、ASICと呼ばれるマイニングに特化したマシンを使って高速処理環境を構築し、報酬を狙うのがセオリーです。
なぜなら、ブロックチェーンに取引台帳を記録した人に発生する報酬は早い者勝ちで、最初に記録をした人のところに報酬が発生するからです。これは特に、価格が高騰している暗号資産ほどスピード競争もし烈になるわけですが、そんな流れに敢えて逆行する面白いチャレンジャーが現れました。
■任天堂ゲームボーイでビットコインのマイニング
その面白いチャレンジャーとは、stacksmashingというID名のユーチューバーです。この人はなんと、任天堂の伝説的ゲーム機であるゲームボーイをビットコインのマイニングに「参戦」させたのです。ゲームボーイにはさまざまなバージョンがありますが、その中でも彼がマイニングに使用したのは初代ゲームボーイです。
初代ゲームボーイというと、白黒の画面が印象的で、ゲーム機というジャンルの中で見てもすでに過去のものになっていることは言うまでもありません。彼曰く、ゲームボーイなら乾電池4本で、なおかつ持ち運びながらマイニングできるのが長所だそうです。中古市場ではおそらく、初代ゲームボーイはほとんど無価値でしょう。そんなタダ同然のゲーム機と乾電池4本でビットコインのマイニングができるとしたら、それは「超オトク」です。
■気になるマイニングのスピードは?
このチャレンジにおいて、初代ゲームボーイのハッシュレートが明らかになりました。ハッシュレートとはマイニングにおける採掘速度のことですが、気になるハッシュレートは1秒があたり約0.8ハッシュだったとのことです。これがどの程度の数値なのか、すでにマイニングに参戦しているマイナーであればピンとくるかもしれませんが、それ以外の方にはあまりなじみがないかもしれません。
参考までに最新型のマイニングマシンのハッシュレートをご紹介すると、1秒あたり100テラハッシュ程度です。その差、なんと125兆倍!当然ながら使い物にはならないわけですが、初代ゲームボーイというすでに無価値になっているゲーム機であってもコンピューター端末であることに変わりはなく、マイニングに用いることができることが証明されました。
■続いて、レジェンドパソコンでもビットコインのマイニング
こうした変わった機材を使ったマイニングへのチャレンジは、これだけではありません。これに続いて、さらに古いパソコンを使ったマイニングのチャレンジャーが現れました。ここで用いられたのは、アメリカのコモドール64というとても古いパソコンです。パソコンと呼ぶにも抵抗があるほど、今となっては低スペックマシンです。しかし、当時はとても高価な「最新マシン」でした。
まさにレジェンドとなったコモドール64をビットコインマイニングに参戦させたのは、レトロパソコンの動画を配信しているYoutubeチャンネルです。この動画によると、古いパソコンは現在のパソコン規格と接続端子なども大きく異なるため、マイニング環境に適合させるだけでも一苦労だったようです。かくしてマイニングに参戦したところ、コモドール64のハッシュレートは1秒あたり0.3ハッシュという結果に。先ほどのゲームボーイよりも半分以下なので、最新のマイニングマシンと比較すると300兆倍ほどの差があることになります。
これを計算すると、ブロックチェーンを1ブロック解析するのに337年を要し、1ビットコインをマイニングするには50兆年かかるそうです。
■マイニングの可能性を示す面白い試みは今後も続く
こうした、さまざまなコンピューター端末を使ったマイニングの試みはとても面白いと思います。どんなに古いマシンであってもコンピューターであることに変わりはないということを教えてくれますし、それと同時にこの数十年間のコンピューターの進化がいかに凄まじいものであるかも実感させられます。