暗号資産の代表格として絶大な人気を誇るビットコインですが、そのビットコインに対して中国の規制が強まっています。これまでにも中国当局はビットコインをはじめとする暗号資産に対して否定的で、何度も規制をかける、規制を強化する、とアナウンスしてきました。
2021年6月は、数えるとビットコインへの規制を発表するのは3回目となります。しかし「三度目の正直」と言わんばかりに、今回の規制はインパクトが絶大でした。中国の国内でビットコインのマイニングを禁止するというのですから、これまでマイニングで莫大な利益を上げてきた業者たちは軒並み廃業を強いられるかもしれません。
中国国内では暗号資産の話題も禁止に
西側の自由主義国と違って、中国は共産党独裁による全体主義国です。政府=共産党がダメだと言ったものは全面的にダメになり、それが末端にまで行きわたる国です。すでにビットコインや暗号資産に関する話題をSNSでつぶやいたりリンクをシェアしようとすると代表的なSNSである「ウェイボー」では規則違反になるという警告のみが表示されるそうです。もちろん、すでに暗号資産関連のアカウントはすべて停止済みです。この事実ひとつを見ても、中国が本気でビットコインを規制しようとしていることが窺えます。
中国の規制を受けてビットコインは急落
もちろん、この中国の規制に関するニュースが流れるやビットコイン相場は激しく反応しました。10%程度の下落が起きたことは暗号資産市場ではそれほど珍しいことではありませんが、その理由が中国の規制強化ということで悲観的なムードが流れました。
元より暗号資産のマイニングで消費される莫大な電力に対する懸念は世界各国にあったので、中国のマイニング規制についても「さもありなん」といった受け止め方をした向きも多かったのではないでしょうか。
ボラティリティの高さが暗号資産の魅力ですが、今後出てくるファンダメンタルズ要因にネガティヴなものが多いことを考えると、中長期的なビットコイン相場に弱気になる投資家が増えてくのも無理はありません。
暗号資産禁止のはずの中国で成長してきたマイニング産業
中国ではもとより暗号資産に対しては何度も規制がかけられ、形骸化しているもののすでに原則禁止です。しかし、そんな中国では特に内陸部でビットコインのマイニング事業が急成長を続けてきました。中国の内陸部では豊富な水力資源があるため、水力発電所の近くに大規模なマイニング施設を作ってマイニング報酬をあげるビジネスモデルが確立、四川省や青海省などには多くのマイニング拠点があったといいます。そのシェア、なんと世界の約半分です。
この約半分となる巨大な産業に対して「中国国内でのマイニングは全面禁止」とのお達しが出たのですから、そのインパクトは計り知れません。
中国のマイニング規制で今後考えられること
半分を占める巨大なマイニングのシェアがもしかすると、今後なくなるかもしれない状況を、ただ見ているわけではない人たちもいます。それなら自分たちがシェアを握ってやろうと画策するマイニング事業者です。電力が安い地域や寒冷地で冷却コストが低い地域などでマイニング事業を拡大し、中国の分を食ってやろうとしているわけです。
結局はビットコイン全体で見るとどこでマイニングをしているかの違いだけで、利用者にとっては外見上何も変わらないという展開も十分考えられます。ただし、ブロックがどんどん長くなることでマイニングの処理が複雑化していることを考えると、日本国内からこうしたマイニングの世界競争に参戦するのはますます難しくなるかもしれません。