暗号資産(仮想通貨)のマイニングには、専用の高速マシンが用いられているのが一般的な形です。強力なGPUが搭載されたグラフィックボードを何枚も装着したマイニングマシンが稼働している様子を想像する人は多いと思います。
ビットコインなど主要なコインの高騰によってマイニング市場も活況を呈しているわけですが、ここに来て中国で全面禁止となった動きにも象徴されるように、マイニングがただただ拡大の一途をたどるというわけでもないニュースが散見されるようになりました。
その流れで目を引いたのが、ウクライナのマイニングファーム摘発事件です。事件の概要について整理すると、以下のようになります。
- ウクライナのマイニング施設が電気窃盗で摘発された
- マイニング施設では大量のマシンとともに3,800台のPS4も押収された
- 押収現場の写真だけを見るとPS4ばかりが並んでいるようにも見える
ここで注目したいのが、PS4の存在です。PS4といえばゲーム機のプレイステーション4のことで、日本だけでなく全世界で大ヒットしたマシンです。事件自体は大規模な電気窃盗で逮捕者も出たようですが、筆者はそこではなくPS4に注目してしまいました。
果たして、PS4はそんなにマイニングに適したマシンなのか?そんな疑問が湧いたのです。何せ3,800台ものPS4が置かれていたのですから、マイニングをビジネスにしていたこのグループにとってPS4はとてもコストパフォーマンスに優れたマシンということなのでしょう。
マイニングに適したGPUとしてAMDの「Radeon」は有名です。PS4はゲーム機なので3Dグラフィックなど画像の処理機能は優れており、PS4はAMDの「Radeon RX 580」に相当するスペックを有しているといいます。
もちろん、PS4はそもそもゲーム機なのでそのままではマイニングに使用することはできません。何らかの改造をしているでしょうし、マイニングをするためのソフトを開発して走らせていたのでしょう。そういった開発力さえあれば、PS4はコストパフォーマンスの高いマイニングマシンになり得ることが図らずも証明された事件として、興味深いと思います。