2021年6月に中国当局が発して中国国内でのマイニング禁止令の影響は、全世界のマイニング事情に多大な影響を及ぼしています。それまで世界の中でもダントツのシェアを誇っていた中国のマイニングシェアが、この禁止令によって状況が一変。早くも国外に移転したマイニング業者も続出するなど、その影響はまだまだ拡大するでしょう。
中国国内の業者にとっては災難でしかないこの禁止令ですが、それ以外の国でマイニングを手がける事業者や個人にとっては、これは朗報ともいえます。
ビットマイニング社のカザフスタン移転を筆頭に中国脱出が加速
中国からのマイニング業者脱出の流れを象徴するのが、中国マイニング大手であるビットマイニング社の国外移転でしょう。それまで中国四川省でマイニング事業を手掛けていた同社は中央アジアのカザフスタンにマイニングマシン320台を発送したと発表し、これは実質的にマイニング事業のカザフスタン移転です。
これと同様の動きが、中国国内のいたるところで見られます。中国でのIT規制はビットコインのマイニングにとどまらず、遂にはゲームの規制まで囁かれています。このままだと暗号資産の「主役」から転落することは確実でしょうし、成長著しいIT企業の成長を阻み、遂にはゲーム業界も廃れてしまうかもしれません。
マイニングの難易度が劇的に低下している
話を本題に戻しましょう。この中国国内のマイニングが壊滅状態になっていくのに合わせて、ビットコインのマイニング事情には大きな変化が生まれています。それは、マイニング難易度の低下です。
ビットコインの価格上昇に伴って、暗号資産の中でもとりわけビットコインのマイニングは難易度が上昇する一方でした。世界的なスピード競争の様相を呈し、豊富な水力発電による安価な電力に恵まれた中国が独り勝ちのようになっていたのですが、その中国が自ら王座を降りたのですから、マイニングの競争相手が急に少なくなったのです。
すでにマイニング事業を手掛けている業者の中には、これまでと同じことしかやっていないのにマイニング収入が5割以上も増えた、という話も聞かれます。
ビットコインのマイニング難易度は28%も低下
このことは、データにもはっきりと表れています。BTC.comが発表しているデータによると、2021年6月までと比べて7月のビットコインのマイニング難易度は28%も低下しています。マイニングの難易度が低下することにより、これまで通りマイニングマシンを稼働している人のもとには「中国撤退分」の報酬が発生しているという構図です。
これは明らかに、今からマイニングに参戦する人にとってのチャンスでもあります。難易度が低下しているということは、これまでのように高価な機器を揃えなくても収益を生み出す可能性が高く個人マイナーにとっては、やはり朗報だといえるでしょう。