前編と中編では、金融システムの解説からDeFiについての解説を進めてきました。今回はいよいよ、DeFiによる暗号資産レンディングの代表格であるCompoundについての解説です。
レンディングって何?DeFiって何?という方は、前編と中編から順にお読みください。
DeFi型レンディングの代表格、Compound
Compoundを一言で言ってしまうと、暗号資産の貸し手と借り手を結びつけるマッチングサービスです。それがすべて自動処理によって行われており、中央集権的な運営主体がなくてもイーサリアムのスマートコントラクト(自動的に契約を成立させる機能)によって成り立っています。
自動処理なのでとても低コストで、Compoundで募集されている貸し出し案件は総じて高利回りです。全体的にイーサリアムなど有名な暗号資産については利回りが低めで、それと比べるとマイナーな暗号資産になると利回りが高くなる傾向があります。先進国への投資は低利回りで新興国は高利回りという構図に似ています。
マイナーな暗号資産の利回りが高いのは暗号資産自体の流動性が低いことや値下がりのリスクが高いからです。市場の需給によって金利も自動的に決まる仕組みになっています。
Compoundの収益システム
Compoundは暗号資産レンディングのプラットフォームです。以下が公式サイトです。
ここでは暗号資産を貸したい人と借りたい人のそれぞれ集まってきているので、暗号資産を貸し出したい人は貸し手となり、借り手からの利息収入が得られます。貸し手には利息としてcTokenというCompoundの独自トークンが支払われます。このcTokenはイーサリアムのブロックチェーンと互換性があるトークンなので、イーサリアムを基盤としているDeFiでは基軸通貨として利用可能です。
さらに、Compoundの利用者にはCOMPというトークンも付与されます。このCOMPは暗号資産取引所で売買が可能で、イーサリアムはもちろん、ビットコインなど他の暗号資産に交換することもできます。暗号資産だけでなく日本円にも両替することができるので、COMPが値上がりするとレンディングの利息以外の収入も期待できます。
Compoundの成長とともにCOMPの価格も上昇が期待できるので、インカムゲインだけでなくキャピタルゲインも期待できるのはCompoundの大きな投資メリットです。
Compoundの始め方
Compoundで利益を得るための方法は、とても簡単です。以下の3つのステップを踏めばレンディングを始めることができます。
①国内の暗号資産取引所に口座を開設してイーサリアムを購入する
②Compoundで利用するためのウォレットを用意する
③Compoundで暗号資産を貸し出す
①についてはすでにコインチェックやGMOコインなどに口座を持っている人は不要です。口座がまだない方は、主要な暗号資産取引所の口座を開設してください。そして口座を用意したら、貸し出すためのイーサリアムを資金に応じて購入します。
②はCompoundで利用するための財布準備です。Compoundにはウォレット機能がないので、別途用意する必要があります。これはDeFiに共通することなので、今後何かDeFi系のサービスを利用するのに備えて準備しておくとよいでしょう。
筆者は最もメジャーなウォレットであるMetamaskをおすすめします。無料ですし、日本語にも対応しています。Metamaskをダウンロードして、パソコンならChromeの拡張機能として、スマホならアプリとしてインストールします。
Metamaskの準備が出来たら、そこに暗号資産取引所で購入したイーサリアムを送金します。これで、Metamask側の準備は完了です。
③はCompoundの公式サイトにアクセスをして、左半分にある「Supply Markets」の中から貸し出したい案件を選びます。APYと書かれている欄が利回りなので、利回りの高さで選んでも良いですし、リスクが気になるなら安定感のある暗号資産を選んでも良いです。
貸し出したい案件を選んだらそれをクリックして画面の指示に従い、どれだけ貸し出すのかを入力して「ENABLE」ボタンをクリックして貸し出し完了です。
貸し出しを終了する時は同じ画面から遷移して、今度は「WITHDRAW」と表示されているボタンをクリックします。