JWサイクル【国内運営】暗号資産採掘

暗号資産マイニングコラム

一国の政府が立ち上げても暗号資産がコケる時はコケる

ベネズエラ政府が肝いりで創設して運用してきた「ペトロ」という暗号資産があります。独裁的な政治体制によって米国から経済制裁を食らっている同国ですが、その制裁逃れのために国が作ったともいわれる暗号資産です。
産油国である強みをいかして石油担保型という珍しい暗号資産だったのですが、そのペトロがあえなく2024年1月15日運用停止となります。つまり、大コケしたわけです。
このペトロとはどんな通貨で、なぜ大コケしてしまったのでしょうか。

ベネズエラの暗号資産、ペトロとは

ベネズエラには、ボリバルという法定通貨があります。しかしベネズエラは強権的なマドゥロ大統領の政権が米国と対立、経済制裁の対象になっています。そのせいもあってベネズエラ経済はハイパーインフレに陥り、ボリバルは紙切れ同然の状態です。道端にボリバルの札束が落ちていても誰も拾わないとまでいわれる有様です。
そんなベネズエラが目を付けたのが、暗号資産です。ビットコインでもそうですが、暗号資産には一定の匿名性がありますし、そもそもボリバルとは異なる通貨なので、暗号資産であれば制裁逃れができるのではないかと考えたわけです。そうして生まれたのが、ペトロです。
ベネズエラ政府が作った暗号資産で、産油国であることをいかしてペトロは石油担保型といって石油の価値が裏付けとなっています。「ペトロ」という名称も、石油に由来しています。

あるかどうか分からない油田が裏付けに?

ベネズエラには多くの油田があることは分かっているのですが、それを採掘する技術は同国にはありません。そこで西側先進国の技術や設備を使って採掘した石油を輸出することで外貨を稼いでいます。つまり、ベネズエラの石油はほとんどが地中に埋まったままであり、いつでも採掘ができる産油国とは少々事情が異なります。
さて、ベネズエラ政府によって創設されたペトロですが、この石油担保型暗号資産の裏付けとなる石油は、同国中部のサバンナ地帯であるアタピリレの地下にあるとされています。しかしここに油田があるかどうかはベネズエラが主張しているだけで、明確な証拠があるわけではありません。
しかし、現地では油田開発をしている気配が全くなく、そもそもペトロという暗号資産があること、自分たちが住む町の地中深くに膨大な石油があることすら知られていないそうです。

ペトロはほとんど取引に利用されず、運用停止に

裏付けとなる石油があるのかどうか分からない、そして制裁逃れという裏目的がある暗号資産というだけで、ペトロは「草コイン」のような地位から脱することはできませんでした。そもそもボリバルがハイパーインフレになっているベネズエラが作ったペトロが、再び発行しすぎてインフレになることも容易に想像がつきます。
かくして、ペトロはほとんど国際取引に使用されることはなく、ベネズエラとしても制裁逃れの指摘をかわすために法定通貨としての地位を与えることはできず。
アタピリレで産出される石油1バレルとペトロを裏付けるということで、かつての米国の金兌換のような通貨を創りだしたわけですが、その思惑が実を結ぶことはありませんでした。
そしてペトロはひっそりと、2024年1月15日に運用停止となったのでした。

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