エコキュートのメンテナンスの一環として「水抜き」が必要であることをご存知ですか?定期的に水抜きをしないと故障や、異物混入の原因になることがあるため、これまで水抜きのメンテナンスをしてこなかった方はこの機会に当記事の情報を参考に水抜きをしてみてください。
定期的に水抜きをすることによりエコキュートは故障しにくくなり、衛生的にもなります。
それでは、エコキュートの水抜きについて詳しく解説していきましょう。
エコキュートの水抜きが重要な理由
エコキュートの水抜きについて初めて知った方にとって、「なぜ水抜きが必要?」という疑問があるかもしれません。なぜエコキュートの水抜きが必要なのか、最初に概要も含めて解説します。
エコキュートは定期的に水抜きをしましょう
エコキュートの内部にはタンクがあり、そのタンクには水が溜められています。その水は生活に使うお湯になるため、衛生的であることはとても重要です。同じ水を溜め続けていると不衛生な状況になる可能性もありますし、長期間に不在にすると内部の水がよどんだ状態になってしまうでしょう。
水抜きは、こうした問題を避けるために定期的に行うことが推奨されています。魚を飼っている人が定期的に水替えをするのと感覚は似ていますが、エコキュートの水抜きにはそれ以外の目的もあります。
それらの目的については後述していきます。
水抜きの頻度は年に2、3回を目安に
ちなみに、エコキュートの水抜きは1年に2回もしくは3回程度行うのが理想的です。手間でなければそれよりも多くの回数の水抜きをしても問題はありませんが、その場合は夏季に多め、冬季は少なめの回数で良いでしょう。
水抜きが手間に感じるということであれば、半年に1回でも問題ありません。
ちなみにこの水抜き作業は1分から2分程度の排水をするだけなので、すべての手順を含めても作業は10分程度で終わります。
水抜きが重要な理由① タンク内の不純物が不衛生
エコキュートの水抜きをせずに放置していると、タンク内に不純物が溜まりやすくなります。目に見えるような大きさのゴミについてはエコキュートに引き込む際のフィルターがありますし、そもそも水道水にゴミが入っていることはほとんどないので、あまり心配する必要はありません。
しかしながら、水道水には微量のカルシウムやナトリウムが含まれています。いわゆるミネラル分で、これらが少しずつタンク内に蓄積すると、やがて水垢や水質悪化の原因になってしまいます。
悪臭が出ることもありますが、臭いが出ずに水質の悪化が進むのは良くないので、水抜きによってこうした問題を解消しておきましょう。
水抜きが重要な理由② 浴槽に不純物が流れ出る恐れがある
エコキュート内のタンクに溜められている水は、生活用水です。その一部はお湯となって浴槽に送られるわけですが、タンク内が汚れていると不純物がそのまま浴槽に入ってきてしまうことがあります。
キッチンで使用するお湯だとこうした不純物が混じっていても気づきにくいですが、浴槽に何か浮いていると気持ち悪いものです。しかも、こうした不純物を放置していると浴槽の内側に付着して浴槽汚れの原因にもなります。
身体を清潔に保つための入浴だけに、こうした不衛生な状態を放置しておくのは好ましくありません。
水抜きが重要な理由③ 浴槽や配管のフィルター劣化を早める
エコキュートを含む給湯設備には、フィルターが設置されています。このフィルターがあるおかげで不純物が流れ込むのを防いだり、生活用水に不純物が流れ出ないようにもなっています。
しかしエコキュート内の水抜きをせずに長らく同じ水が滞留すると、水垢やぬめりなどがフィルターに付着し、流れを悪くしてしまう可能性があります。
流れが悪くなるとポンプの劣化を早めますし、エコキュート自体の負担も増えるため劣化や故障の原因になります。
水抜きが重要な理由④ エコキュートそのものの劣化を早める
フィルターの目詰まりがエコキュートに負担をかけることについては先ほど述べたとおりですが、それ以外にも水垢などの不純物がエコキュート内部で水に触れる部分を腐食させたり、機器の効率を下げてしまう恐れがあります。
こうした状態が続くとエコキュートの劣化が進み、本来使用できる寿命だけ長持ちしなくなることもあります。エコキュートは決して安い機器ではないので、少しでも長持ちさせるためにも水抜きをしておきたいところです。
水抜きが重要な理由⑤ 凍結防止になる
寒冷地では凍結防止の観点からもエコキュートの水抜きが推奨されています。というのも、水は凍結すると体積が1割ほど増えるため、タンク内や配管内の水が凍結することで機器を破損させてしまう恐れがあります。
寒冷地では水道の蛇口を少しひねってわずかに水を出したままにしておくことが推奨されていますが、これも凍結によって配管が破損することを防ぐためです。流水は凍りにくいですが、滞留している水は凍りやすいからです。
そのため、旅行などでしばらく家に誰もいない状態になる場合は、エコキュートの水抜きをして凍結による破損から守るようにするのが理想的です。
メーカー別 エコキュートの水抜き手順
それでは、実際にエコキュートの水抜きをするための手順について解説します。メーカーごとに手順が異なる部分と、各メーカー共通の部分があります。
(各社共通)水抜きの前に用意したいもの
水抜き作業をする際には、軍手とドライバーを用意しましょう。軍手は作業をする際に手を守るためです。後述しますがエコキュートの水抜きをする際には熱湯が出てくることもあるため、いわゆる布製の軍手ではなく耐熱性に優れた軍手を使用することをおすすめします。
ドライバーについては、開栓部分がカバーで覆われている機種で、それを開けるのにドライバーが必要になった場合に備えるために用意します。ほとんどの場合はプラスドライバーがあれば問題ないでしょう。
(各社共通)水抜きの基本的な流れ
おおむねエコキュートの水抜きは、各社共通で以下のような流れになります。手順①から③までは事前の準備、手順④で水抜き、そして手順⑤以降は元の状態に戻すための作業です。
- 手順① 漏電遮断器をオフにする
- 手順② 給水止水栓を閉じる
- 手順③ 逃し弁を開栓
- 手順④ 排水栓を開栓して水抜きをする
- 手順⑤ 水が出きったら排水栓を閉める
- 手順⑥ 給水止水栓を開いて水を入れる
- 手順⑦ 逃し弁を元に戻す
- 手順⑧ 漏電遮断器をオンに戻す
- 手順⑨ 水とお湯が出るか確認して終了
パナソニックのエコキュート水抜き手順
パナソニックのエコキュートで水抜きをする手順は、以下のとおりです。
- 手順① タンク残量が満タンでないかどうかチェック
- 手順② 漏電遮断器をオフにする
- 手順③ 給水元栓を閉める
- 手順④ 逃し弁レバーを上げる(開く)
- 手順⑤ 排水選を開き、1~2分程度排水する
- 手順⑥ 水抜きが終わったら排水元栓を閉める
- 手順⑦ 給水元栓を開けてエコキュート内のタンクを満タンにする
- 手順⑧ 逃し弁レバーを下げて元に戻す
- 手順⑨ 漏電遮断器をオンにする
ダイキンのエコキュート水抜き手順手順①
ダイキンのエコキュートで水抜きをする手順は、以下のとおりです。
- 手順① 漏電遮断器をオフにする
- 手順② 給水止水栓を閉める(給水配管の途中にある)
- 手順③ 逃し弁レバーを上げる(開く)
- 手順④ 排水栓を「排水」に合わせ、1~2分程度排水する
- 手順⑤ 排水栓を「通常」に戻す
- 手順⑥ 給水止水栓を開ける
- 手順⑦ 排水ホースからお湯もしくは水が出るまで待ち、空気が混じっていないかを確認)
- 手順⑧ 逃し弁レバーを下げて元に戻す
- 手順⑨ 漏電遮断器をオンにする
三菱電機のエコキュート水抜き手順
三菱電機のエコキュートで水抜きをする手順は、以下のとおりです。
- 手順① 給水専用止水栓を閉める
- 手順② 逃し弁レバーを手前にする
- 手順③ 排水栓を1~2分程度開いて水抜きをする
- 手順④ 給水配管専用止水栓を開く
- 手順⑤ 排水口から水が出たのを確認して逃し弁レバーを元に戻す
日立のエコキュート水抜き手順
日立のエコキュートで水抜きをする手順は以下のとおりです。
- 手順① 湯沸かし中ではないことを確認の上、漏電遮断器をオフにする
- 手順② タンク専用止水栓を閉める
- 手順③ 逃し弁レバーを上げる(開く)
- 手順④ タンク排水栓のハンドルを「排水」に合わせ、1~2分程度排水する
- 手順⑤ 排水後、タンク排水栓のハンドルを「通常」に合わせる
- 手順⑥ タンク排水管からお湯が出ていないことを確認する
- 手順⑦ タンク専用止水栓を開ける
- 手順⑧ タンク排水管からお湯が出たら逃し弁のレバーを元に戻す
- 手順⑨ 漏電遮断器をオンにする
コロナのエコキュート水抜き手順
コロナのエコキュートで水抜きをする手順は以下のとおりです。
- 手順① 漏電遮断器をオフにする
- 手順② 給水専用止水栓を閉める
- 手順③ 逃し弁レバーを上げる(開く)
- 手順④ 排水栓を開けて1~2分程度排水する
- 手順⑤ 給水専用止水栓を開けて満水まで貯水する
- 手順⑥ 排水口から水が出たことを確認の上、逃し弁レバーを元に戻す
- 手順⑦ 逃し弁の操作カバーを元に戻す
- 手順⑧ 漏電遮断器をオンにする
エコキュートの水抜きをする際の注意点
エコキュートの水抜きをする際に知っておくべき注意点をまとめました。水抜きをする前にこれらの点をしっかりマスターしておきましょう。
オール電化であってもエコキュートの水抜きは必要
噂レベルの話ではありますが、オール電化にしている場合はエコキュートの水抜きは不要とする「説」があります。オール電化にした場合の給湯器としてエコキュートが採用されることは多いですが、オール電化だからといってエコキュートの仕様が変わるわけではなく、水抜きが必要である特性も変わりません。
オール電化だからエコキュートの水抜きは不要、ということはないので注意してください。
熱湯が出ることがある
当記事ではエコキュートの「水抜き」と表記していますが、タンク内の水はお湯である可能性も十分あるため、熱湯で火傷をしないように注意してください。冒頭では断熱性のある軍手を使うことを推奨しましたが、それはタンク内から熱湯が出る可能性があるからです。
お湯を沸かしたあとは保温をして使用時に備えるようにできているため、エコキュート内にあるお湯は触るだけで火傷をしてしまう水温になっていることが多く、水抜きをする際には注意してください。
この点に不安がある場合は、自分で触らず施工店に相談するのもひとつの方法です。
気温が氷点下の時は水抜きをしない
先ほど、寒冷地の凍結に注意を喚起する解説をしました。寒冷地で気温が氷点下の時は水抜きをしないことをおすすめします。というのも、外気温が氷点下だと水分が凍ってしまうため、エコキュートから排水をしている途中で一部の水分が凍ってしまう可能性があるからです。
配管内に残っていた水が凍ってしまうと体積が膨張し、配管を破損してしまう恐れもあります。
エコキュートに給湯を依存している場合、冬季に故障してしまっては生活に重大な支障をきたすことも考えられます。冬季に水抜きをする際には気温に注意するか、冬になる前に水抜きを含むメンテナンスをしておくのもひとつの手です。
栓が劣化している場合は不用意に手を出さない
これまでエコキュートの水抜きをやったことがない場合、はじめて各種栓を操作することも多いでしょう。長年操作していない排水栓や止水栓などは固まってしまい、そのまま劣化していることも考えられます。
これらのパーツは密閉性がとても重要で、無理に回したり動かしたりすると破損して水漏れを起こしてしまうリスクがあります。「水が出ない」という状況もかなり不便ですが、それよりも厄介なのは「水が止まらない」という状況です。
水が止まらなくなると早急に水道工事業者を呼ぶ必要があるため、想定外の費用も発生してしまいます。
各種栓の状態を見て手に負えないと感じたら、無理に自分でやろうとはせず施工店などに相談しましょう。
まとめ
今回は、エコキュートの水抜きについてその必要性や具体的な手順、注意点になどを順次解説しました。エコキュートは適切にメンテナンスをしておくと長もちしますし、逆にメンテナンスを怠ると寿命が半分以下になってしまうこともあります。
高価な機器だけに、長もちさせることはコストパフォーマンスを考える上でとても重要です。水抜き作業は一度やってみると簡単であることを実感できると思うので、面倒がらずに年に2、3回は行っておきたいところです。