IH調理器のしくみ
IHクッキングヒーターは、ガスではなく電気のみで稼働するコンロです。
電磁誘導を利用して金属製の鍋自体を発熱させるというしくみのため、火が出ず、子供からお年寄りまで安全に利用できます。
火を使わないのが大きな利点
IHとは、電磁誘導加熱(induction Heating)のこと。
IHクッキングヒーターに鉄など電気抵抗がある鍋を置くと、電流が金属の電気抵抗により熱に変換され、鍋の底が熱くなるしくみです。
燃焼ではなく鍋自体が熱を発するため、ガスコンロに比べて約二倍近い熱変換効率を誇ります。
その効率の良さにより、IHクッキングヒーターの2kWヒーターはガスコンロのハイカロリーバーナー(4200kcal/h)に相当する高火力を持ち、小さな電力を大きく利用できます。
また、安定した火力コントロールが簡単にできるため、無駄なエネルギーを使うことがないのも特長。
以前までは、電気抵抗が少ないアルミの鍋などは十分な発熱が得られないとされていましたが、最近では鍋の材質や形状、重さなどの制約が軽減し、市販の銅鍋やアルミ鍋などが使えるタイプ(オールメタル)も販売されています。
IHクッキングヒーターの選び方
IHクッキングヒーターは、キッチンの構造やよく作る料理の種類などによって選び方が変わってきます。
ご希望や環境に合わせたポイントをご紹介します。
キッチンタイプ
システムキッチンに埋め込むタイプ(ビルトイン型)、もしくはキッチンの流し台に置くタイプ(据置型)と大きく2つに分かれます。
ビルトイン型の方が種類も多く選択の幅がありますが、システムキッチンでなくてもビルトイン型に据置用枠(別売)を取り付ければ、据え置きでの設置が可能です。
他にも、カセットコンロのように使える卓上タイプもあります。
ビルトイン型 | 据置型 |
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火力の強さ
2.0kW、2.5kW、3.0kWなどの種類があり、数字が大きいほど火力は強くなります。
中華料理などで強火をよく使う場合は、2.5kW以上のものを選びましょう。
3.0kWは火力が非常に強いので、普段のお料理ではフルパワーで使うことはありませんが、湯沸かしに便利です。
一部の商品は、「ラジエントヒーター(RH)」というニクロム線を埋め込んだヒーターがあります。
これは従来の電気コンロを改良したもので、火は出ませんがヒーター部分が熱くなるので、底が平らな鍋ならほぼすべて使えます。焼き網を置いて海苔やお餅をあぶることもできます。
IHクッキングヒーターは安全性を考えて同時に使える火力に制限がありますので、最大火力(総消費電力)もチェックしましょう。
4.8kWタイプ
一般的なタイプ。3口同時に強火調理するケースはまれですので、通常はこれで十分です。
5.8kWタイプ
4.8kWでは物足りないという方におすすめ。
使える鍋(ヒーターの種類)
ヒーターの種類には、使える鍋により大きく3つのタイプがあります。
通常のIHヒーター…鉄・ステンレスなどIH対応鍋のみ
オールメタル対応…アルミや銅など、すべての金属が使える※
ラジエントヒーター…底が平らならすべて使える。焼き網や耐熱ガラス鍋も使用可能
一般的には、高機能タイプでは手前二つの両方もしくはどちらかがオールメタルで奥が通常IH、普及タイプでは手前が通常IHで奥がラジエントヒーターのものが多くなっています。
ラジエントヒーターは、熱伝導効率や安全性などIHクッキングヒーターのメリットから外れる点もあるので、オールメタルでも対応できない手持ちの鍋を使いたい方以外はあまり利点がありません。
ただ、ラジエントヒーターがあると本体価格が下がるので、割安で3口コンロを購入したい場合にはおすすめです。
操作方法
火力調整の方法には、ガスコンロと似たダイヤル式と指一本で調節できるタッチパネル式があります。
実際に触ってみて使いやすいものを選びましょう。
最近の機種は天面(カウンタートップ)に操作ボタンがついているものがほとんどなので、鍋から目を離さずに火力調節できます。
ダイヤル式 | タッチパネル式 |
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グリル機能
IHクッキングヒーターのグリルなら温度調節や焼き具合の調節も簡単で、焼き魚やグラタンなども上手に仕上がります。
オーブンや炭火焼きのように使えるタイプもありますので、使い勝手や機能をチェックしましょう。
また、以前はグリルには水を入れて使うものが主流でした。
これは、魚などから出る油が受け皿に落ちて高温発火するのを防ぐ・煙と匂いを減らすなどの目的で、油を冷やす必要があったからです。
しかし最近では、受け皿が高温にならないよう配慮したものもあります。
火を使わないIHクッキングヒーターで水が要らないタイプなら、水蒸気が発生しませんので料理がこんがりカラッと焼き上がります。
水を入れるタイプ | 使用前にグリルの受け皿に水を入れる |
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水の要らないタイプ | 事前準備や掃除の手間がかからず、料理もカラッと仕上がる |
水あり水なし両用タイプ | 食材、時間によって使い分けができる |
アルミ箔を敷くタイプ | 受け皿にアルミ箔を敷き、使用後はアルミ箔を捨てるだけ |
その他、便利な機能
メーカーごとに様々な機能があります。
ご希望に合わせてお選びください。
自動温度調整 | 揚げ物やフライパンの温度を自動でキープ。無駄な電力を抑える |
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自動湯沸かし・炊飯 | 微妙な火加減はお任せ。湯沸しや炊飯をしながら残りのコンロで調理可能 |
両面焼きロースター | 魚などをひっくり返す手間が不要 |
脱煙機能 | 煙や臭いを大幅カット。オープンキッチンに最適 |
スマホ連携 | スマートフォンでレシピを選んで調理設定、機器の操作方法も検索できる |
換気連携 | 対応する換気扇と連動し、自動的に換気扇を回す |
専用プレート | プレートを使ってパン焼きや網焼きも可能 |
電気料金表示 | 使った電気料金や累計料金を表示 |
分かりやすさ | カラー液晶や音声ガイド、音楽、ランプ点灯などで情報をお知らせ |
地震感知 | 一定以上の揺れを感知した時に自動停止 |
切り忘れ防止 | スイッチを切り忘れても一定時間が過ぎると自動的にストップ |
温度過昇防止 | 鍋底の温度が上がりすぎると自動的に通電をコントロール |
自動OFF | 鍋の空焚き、吹きこぼれ、鍋のない状態が続くなどで自動的にストップ |
小物探知機能 | スプーン、フォークなどの金属小物を置いても通電させない |
チャイルドロック | 子供やペットが誤って作動させないようにロックをかける |