系統用蓄電池のビジネスモデルや役割についてわかりやすく解説

系統用蓄電池のビジネスモデルや役割についてわかりやすく解説

政府は、系統用蓄電池の導入拡大を図るため、さまざまな制度の導入を検討しています。系統蓄電池の導入や新たな売電ビジネスを検討している企業にとって、その動向やビジネスモデルは気になる情報です。

今回の記事は、系統用蓄電池の仕組みやビジネスモデルについて詳しくご紹介します。系統用蓄電池について詳しく知りたい方や蓄電池を活用した事業を検討している方などは参考にしてみてください。

系統用蓄電池とは

系統用蓄電池とは、電力系統に直接接続される蓄電池のことです。電力系統とは、発電所や変電所、送電線、配電設備などシステムのことです。

系統用蓄電池に貯められた電気は、電力系統の安定化のために活用されます。そのため、需要家側に設置される家庭用蓄電池・産業用蓄電池などとは、役割や目的、規模に大きな違いがあります。

系統用蓄電池は蓄電池なので当然「発電」はできませんが、法的に扱いを明確にするため、現在は1万kW以上の系統用蓄電池から「放電」を行う事業は「発電事業」の一種であると位置づけられています。

系統用蓄電池のビジネスモデル

続いては、系統用蓄電池のビジネスモデルをわかりやすく解説します。

系統用蓄電池ビジネスの登場人物

系統用蓄電池の事業は、電力市場と系統用蓄電池事業者とアグリゲーターがかかわっています。

  1. 電力市場:電力を必要とする人たち、発電して電力を売る人たちなどで電力を取引する市場(卸電力市場・需給調整市場・容量市場)
  2. 系統用蓄電池事業者:設備を持っている事業者(発電事業家)
  3. アグリゲーター:さまざまな系統用蓄電池の電力売買、電力需給のバランスをとるための管理などを行う業者

系統用蓄電池ビジネスを導入しようとしている企業や個人投資家は②に該当します。②の事業者たちにとって、①の電力市場は仕入れ先でもあり、売り先でもあります。

しかし発電事業家たちは、電力市場に対して勝手に電力の売り買いをすることはできません。ここで登場するのが③のアグリゲーターです。アグリゲーターは電力市場の需給を調整し、事業家たちの蓄電池を代行して運用することで電力の売買を行います。

こうして事業者は、アグリゲーターの運用手数料を差し引いた売電収益を得ることができるのです。

電力単価の価格差で利益を得る

系統用蓄電池事業では、電力単価の価格差で利益を獲得します。

国内の電気は、日本卸電力取引所(JEPX)で取引されています。たとえば新電力などの電力会社は、日本卸電力取引所で電気を購入し、電力供給を実施しています。

電力市場での電力単価は、電気の需要と供給に応じて常に変化しています。つまり、電力需要の少ない時間帯は単価が安く、需要の多い時間帯は単価も高くなる傾向です。

そこで系統用蓄電池事業では、電力需要の少ない時間帯に電気を購入し、単価の上がる場面で売却を行うことで利益を得ます。基本的なビジネスモデルは、安く購入し高く売るというシンプルな仕組みです。

系統用蓄電池の主な役割

続いては、系統用蓄電池の主な役割を詳しく解説します。

電力供給の安定化

系統用蓄電池は、電力供給の安定化につながる設備として期待されています。

私たちが普段利用している電気は、電力系統から供給されています。電力の安定した供給のためには、電力系統設備の管理側(一般送配電事業者)で需要と供給を常に一致(同時同量)させなければなりません。電力は、大量かつ長期的な保存が困難なエネルギーだからです。

需要が足りなくなれば、大規模停電を引き起こす恐れもあります。一方で近年導入量の増えている再生可能エネルギーは、天候などの影響で電力供給量の変動が大きい発電設備です。供給量が過剰になれば出力制御を行い、全体の電力需給バランスを安定させる必要があります。その間、発電できた電力は無駄になってしまいます。(出力制御:電力の需給を安定させるため、一時的に発電量を抑制させる措置)

系統用蓄電池の導入が進めば、再生可能エネルギー等や電力市場の余剰電力を貯め、電力需要の多い場面に放電し活用するなどして、需給バランスの安定化を図れます。また余剰電力を有効活用できるため、発電事業者にとってもメリットがあり、注目されているのです。

利益を得るための設備

系統用蓄電池は、太陽光発電や風力発電などと同じく、収益を得る手段の一つとして注目されています。

2022年、電気事業法が改正されたことで、蓄電池の電力を市場取引に活用できるようになりました。そのため多くの事業者は、系統用蓄電池ビジネスに参入できます。出力制御等で売電ができない状況が続いたこともあり、リスクヘッジとしても注目が集まっています。

政府が検討する系統用蓄電池関連の制度や取り決め

ここからは、政府で検討されている系統用蓄電池に関連する制度案や取り決めをわかりやすく解説します。

発電設備への系統充電が可能に

政府では2024年度以降新たにFIP制度の認定を受けた、再生可能エネルギー発電設備に併設される蓄電池について、系統からの充電を可能としました。

FIP制度は、再生可能エネルギー向けの制度で、卸電力市場の価格に補助単価を上乗せして売電を行えます。そのため卸電力市場の価格が高い時間帯(つまり需要が高い時間)に売電すれば、利益を伸ばしやすいという仕組みになっています。

現在、すでにFIP制度の認定を受けた再生可能エネルギー発電設備併設の蓄電池は、電力系統からの充電が認められていません。発電設備から供給された電力のみ、充電することが可能です。

しかし2023年後以前に認定を受けたFIP型再生可能エネルギー発電設備についても、併設する蓄電池を系統用蓄電池として活用できるよう検討されています。早ければ2025年4月に施行する案も出ています。

FIP移行時の買取価格優遇措置案

政府は、系統用蓄電池の導入促進案として、FIP案件の買取価格に関する優遇措置を検討しています。

2021年度以前のルールでは、FIP認定を受けてから蓄電池を設置すると、買取価格が変更されてしまいました。たとえば、2020年に太陽光発電でFIP認定を受けたあと、2025年に系統用蓄電池を導入した場合、2025年度の買取価格が適用されてしまうという仕組みです。

価格変更によって買取単価が下がってしまうため、系統用蓄電池の導入拡大における課題となっていました。そこで政府は、事後的に蓄電池を設置した場合でも、単価が下がらない計算方法になるよう、検討を進めています。

系統用蓄電池向けの補助金制度

系統用蓄電池に関する補助金事業は2021年度から実施されており、現在27件もの支援実績があります。

2024年度からは、GX経済移行債(脱炭素成長型経済構造移行債)を活用した、400億円もの補助事業や東京都独自の関連補助事業など、さらに補助金制度が拡大されていく動きも見られます。

これから系統用蓄電池の導入を検討するなら、施工販売業者に相談する際、補助金事業の状況についても確認し、合わせてサポートしてもらいましょう。

和上ホールディングスでは、系統用蓄電池事業の収支シミュレーションや補助金制度の確認サポート、導入支援まで一括サポートしております。少しでも気になっている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

長期脱炭素電源オークションで系統用蓄電池が支援対象

系統用蓄電池が、長期脱炭素電源オークションの支援対象とされ、2023年1月のオークションで落札されました。

長期脱炭素電源オークションとは、脱炭素電源の容量(電力の供給力)に関する市場取引のことです。すなわち、未来に必要になる予定の電力量に対して、供給量を補うため、供給できる発電所を作ることを約束させるオークションです。同オークションは太陽光発電や風力発電などといった、CO2を排出しない・排出量が少ない脱炭素電源の導入促進が目的で、落札されれば発電所の建設や維持管理に関する費用を20年間カバーしてもらえます。

系統用蓄電池のビジネスモデル例

オリックス株式会社は、滋賀県米原市に最大548MWhの電力を貯められる大規模な系統用蓄電池「米原湖東蓄電所」を建設しています。

敷地面積は2.6haで、コンテナに140台ものリチウムイオン電池が格納されています。またすべての設備が電力系統と接続されており、必要に応じて電力を特定地域へ供給可能です長期脱炭素電源オークションで落札されたため、固定費を大幅に削減して導入できています。

系統用蓄電池を導入する際のポイント

続いては、系統用蓄電池を導入する際に押さえておくべきポイントを解説します。

蓄電池本体の性能を比較する

系統用蓄電池として長く使用していきたい場合は、蓄電池本体の性能に注目して比較する必要があります。

まず蓄電池の容量や定格出力を確認しましょう。日本卸電力取引所で電力の取引を行うためには、出力50kW以上でなければなりません。

またサイクル数を含めた製品寿命にかかわる情報や、耐火性能など安全性にかかわる性能も事前に確認しておく必要があります。

BMSについて確認する

BMS(Battery Management System:バッテリーマネジメントシステム)は、蓄電池の充放電に関する制御全般を担う機能で、蓄電池の性能を大きく左右する部分でもあります。優れたBMSが搭載された蓄電池であれば、効率的に充放電を繰り返し、消耗を抑え、より長く使用することが可能です。

実績のある施工販売業者を選ぶ

施工販売業者を選ぶ際は、実績豊富かつ系統用蓄電池のノウハウが豊富かどうかという点を重視しましょう。

系統用蓄電池事業は、一般的な蓄電池と異なり、大規模な設備です。また電力系統への接続など、さまざまな専門知識や技術が求められます。そのため系統用蓄電池の施工・販売実績があるかどうかは、スムーズな運用のためにも重要です。

提案から設計、収支のシミュレーション、製品の調達、土地の造成工事、施工、設置後の保守管理までサポートしてくれるかどうか確認しましょう。

また系統用蓄電池は充放電を繰り返すため、消耗が激しい設備です。定期点検・メンテナンスサポートの有無も重視したいポイントです。

異なるメーカーの機器と接続できるか確認する

系統用蓄電池を既存の太陽光発電設備などと接続したい、将来的に設備を拡張したいといった場合は、異なるメーカーの機器と接続可能かどうかも調べておきましょう。

特定のメーカーや型番でなければ対応しない蓄電池もあります。あとから設備の拡張や連携を行えなくなってしまうと、事業の拡大に大きな課題が生じてしまいます。

施工販売業者へ相談する際は、あらかじめどのような設備と接続したいのか、将来的に設備の拡張を検討しているかどうか、といった点も含めて伝えましょう。

系統用蓄電池のビジネスモデルを理解した上で導入検討を!

系統用蓄電池は、電力系統に直接接続された蓄電池のことです。基本的なビジネスモデルは、単価の安い時間帯に電力を仕入れて、高い時間帯に売電を実施するというシンプルな仕組みです。電力の取引は、日本卸電力取引所で行われています。

系統用蓄電池のビジネスモデルに魅力を感じた方や、系統用蓄電池事業への参入を考えている方は、今回の記事を参考にしながら和上ホールディングスの系統用蓄電池サービスを検討してみてはいかがでしょうか。

和上ホールディングスでは、太陽光発電所だけでなく系統用蓄電池の導入へ向けた支援にも対応している専門サービスです。

ご相談を受けたあとは、事業に必要な容量や土地の面積などの調査に加えて、収支のシミュレーションもご提案します。内容にご納得いたければ契約手続きを交わし、系統用蓄電池の調達や土地の造成工事、施工から保守管理まで一括サポートいたします。少しでも気になった方は、お電話やメールからお気軽にご相談ください。

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