2022.10.26
電気代が高い理由と原因別解決方法、究極の「電気代ゼロ」を目指す方法
電気代の上昇が止まりません。原因はさまざまですが、一時的な要因ばかりではないので今後も電気代が上昇することはあっても大きく引き下げられることは考えにくいでしょう。
ヨーロッパでは毎月の電気代が10万円を超えるような事例もあるそうですが、日本もそうならないとも限りません。
そこで当記事では電気代が高いとお感じの方に向けて、その解決方法をさまざまな角度から解説したいと思います。
目次
電気代が高いと感じる時に考えられる理由
なぜ、こんなに電気代が高いのか?その理由を考えたことはあるでしょうか?戦争やインフレなど外的要因ももちろん深く関わっていますが、実はそれ以外にも電気代が高くなる理由があります。
エネルギー価格の高騰
電気代が高い理由として誰もが真っ先に思いつくのが、ウクライナ戦争や欧米各国で進行するインフレなどでしょう。これらは外的要因であって個人ではどうしようもないことで、しかもテレビなどでことさら強調されるので、電気代を高くしている悪者というイメージがすっかり定着しています。
戦争と直接の関係がなくても、エネルギー輸出国であるロシアが嫌がらせで天然ガスなどの供給を止めたことで世界的にエネルギーの需給がひっ迫していることも、電気代を高くする原因になり得ます。
これらの原因は、その原因が解消されない限りは収束しないでしょう。
脱炭素シフトによるコスト増
戦争によって不安定化する前までは、主要先進国は脱炭素に向けて大きくシフトしていました。炭素、つまり二酸化炭素を多く排出するとして槍玉に上がっているのが、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料です。これらのエネルギーは産業革命以降、世界経済を支えてきました。
しかし今、それを使ってはならぬという価値観が台頭したため、新たに油田やガス田などを開発する事業者に資金が回りにくくなりました。ヨーロッパではエシカルバンクといって、こうした化石燃料関連への融資を禁じる動きも見られます。
今後新たな油田やガス田を開発しても利益に乗らないのであれば、開発意欲が減衰するのは当然です。しかし世界はまだ再生可能エネルギーへのシフトを完了していません。再生可能エネルギーが未熟な状態でありながら、従来のエネルギーは止める流れになっているのですから、エネルギー価格が高くなるのは当然です。この構造的なエネルギー高が、電気代を高くする要因となっています。
再エネ賦課金の負担増
再生可能エネルギーを普及させるために、私たちは電気代に「再エネ賦課金」という上乗せ金額を支払っています。再生可能エネルギーはコストが高く、今もなお高単価です。その一方で従来型の電力は安価なので勝負にならず、その差を埋めるために徴収しているのが再エネ賦課金です。
こちらは、再エネ賦課金の推移です。
出典:北海道電力
ご覧のように、再エネ賦課金が上昇することはあっても下落することはありません。今後も再エネ賦課金が高くなっていくと、それが電気代を高くすることになります。
この再エネ賦課金の負担を解決したいと思うのであれば、「払う側」から「受け取る側」に回るしかありません。その方法については、後述します。
電気の使い方に無駄がある
ここまでは外的要因による電気代の高騰についての解説をしましたが、電気の使い方に潜んでいる無駄が電気代を高くしている側面もあります。実はこれが最大の原因であることが多く、「電気代が高騰しているのだから仕方ない」とあきらめてしまうのは早計です。
自らの電気の使い方を工夫することで、電気代を削減できる余地は意外に多くあります。この方法については、次章より項目ごとに解説していきます。
電気代を節約する方法 家電選び編
家電の選び方を工夫することで、電気代の節約が可能です。特に古い家電を多く使用している方は参考にしてください。
電力消費量の多い家電トップ4
家庭内にはたくさんの家電があることと思いますが、まずはこの家電たちの電力消費がどんな構造になっているのかを知ることから始めましょう。多くの電力を消費する家電のトップ4は、以下のとおりです。
- エアコン
- 洗濯機
- 食洗器
- 冷蔵庫
いかがでしょうか?トップのエアコンはダントツなので想像どおりという方が多いかもしれませんが、それ以外の家電については少々意外なランキングだったのではないでしょうか。
電力消費が多いということは、これらの家電の商品選びや使い方を工夫することで節電効果は大きくなり、電気代を引き下げることができます。
古い家電を新しいものに買い替える
日本の家電は節電性能に優れており、新しい家電ほどその性能は優れています。10年以上前の古い家電を使用している場合は、それを新しいものに買い替えるだけでも電力消費を大きく引き下げることができます。特に先ほど紹介した電力消費の多い家電を新しいものに買い替えると、その効果はより大きくなるでしょう。
この4つには含まれていませんが、照明も多くの電力を消費するので、電球や蛍光灯からLEDに買い替えるだけでも節約効果が期待できます。
電気代を節約する方法 電気の使い方編
前章では家電そのものの刷新を推奨しました。次は日々の生活で家電の使い方を工夫することで節電が実現する方法について解説します。これらの方法は使い手の心構えが重要なので、理解した上で意識するようにしましょう。
深夜電力の活用
ご存じの方も多いと思いますが、昼と夜とでは電気料金が異なります。昼間は電力消費量が多くなるため発電能力を高める必要があり、電気料金も高めに設定されています。その一方で電力消費量が低くなる夜間は供給力に余裕ができるため電気料金も安くなります。
この料金差を利用して、夜にできることは夜にやるようにすると、同じことをしているのであっても電気代を引き下げることができます。先ほど紹介した電力消費量の多い家電には洗濯機と食洗器が含まれています。これらをできるだけ夜間に使用することで、電気代の引き下げが可能です。
サーキュレーターの活用
サーキュレーターとは、室内の空気をかき回すことで気温を安定化させる家電です。扇風機でも代用できるので、自宅にある扇風機を使っても構いません。サーキュレーターで室内の空気をうまく循環させれば、エアコンの設定温度を緩めにしても十分な空調効果が得られます。夏は冷房の設定温度を28度、冬は暖房の設定温度を20度にするのが節電に有効とされていますが、これだとエアコン単体では力不足です。そこでサーキュレーターで空気を循環させることでエアコンの効果を高めれば、低出力で室内環境を快適に保つことができます。
家電をお手入れして節電
適切なお手入れをすることで、エアコンが十分な性能を発揮できるようにしておきましょう。エアコンのフィルターが詰まっていたり、室外機の周りにものが置かれていると性能が落ちてしまいます。すると同じ効果を発揮するために高い出力が必要になるため、電気代が高くなります。
エアコンは電力消費量トップの家電だけに、常に性能を発揮しやすくしておくことが節電の基本です。
エアコンは基本的に自動運転で
今どきのエアコンには自動運転機能がついています。自動運転ではエアコン自身が最も効率のよい運転方法を自動選択しているので、これが省エネにつながります。
自分でこまめにON、OFFを操作する人がいますが、これはエアコンにとっての負担が大きく、実は節電には逆効果です。
電気代の節約につながる冷蔵庫の使い方
冷蔵庫も電力消費量の多い家電のひとつです。常に庫内を冷やしていくことが最大の任務なので、扉を頻繁に開閉すると庫内温度が上昇するため、それを冷やそうとして出力を上げます。
また、庫内に食べ物を詰め込み過ぎると、しっかり冷やそうとして出力を高くすることになります。
こうした使い方をすると冷蔵庫の電力消費量が増大するので、扉の開閉を最低限の回数にする、詰め込み過ぎず庫内の空気が循環しやすいようにしておくなどの工夫をしましょう。
待機電力も節約しよう
家電の電源は切っているものの、それが電源コンセントにつながれていると待機電力といってわずかな電力を消費し続けます。使わない家電はこまめに電源を抜いておくか、ONとOFFの切り替えができる電源タップを使用して使わない家電の電源を切っておきましょう。待機電力は消費する時間が長いので、高い節電効果が期待できます。
電気代を節約する方法 契約見直し編
電気代は、電力会社に支払うものです。電力会社選びや、電力会社との契約プラン見直しをすることによって、電気代の単価を引き下げられるかもしれません。以前から使用しているからという漫然とした理由だけで電気を使用するのではなく、契約の見直しで安くできる可能性を模索してみましょう。
新電力に乗り換える
東京電力や関西電力といった従来からの電力会社に加えて、電力自由化によって新電力と呼ばれる電力会社が続々と誕生しました。それぞれの新電力には特徴があるので、生活様式に合わせて最適な新電力を選ぶと、電気代を削減できる可能性があります。
新電力に乗り換えただけで劇的に電気代が安くなることはありませんが、たとえば他に使用しているサービスと同じグループの新電力に乗り換えることでポイントが貯まったりといった優遇を受けられることがあります。
今ではガス会社が新電力に参入しているので、ガスと電気を一本化することで割引やポイント特典が得られますし、その他にも携帯キャリア系列の新電力と契約することで高い還元率でポイントを貯めることができます。
現在の生活様式に照らしてみて、それに最適な新電力はないか、まずは検討してみてください。
支払方法を工夫する
電気代の支払い方法も、さまざまです。銀行引き落としやクレジットカード払いなどがありますが、銀行引き落としで特にメリットがないのであればクレジットカード払いに変更するべきでしょう。
理由は、クレジットカードで決済することで付与されるポイントです。クレジットカードの多くは電気代など定期的に決済が発生する支払いについては特典を設けていることが多いので、こうしたメリットは大いにいかしましょう。
例えば電気代の支払いに5%のポイントが付くとしたら、電気代が1万円だと毎月500円分です。1年だと6,000分にもなります。こう考えると、支払い方法を工夫するだけでも意外に大きな差がつくことがお分かりいただけると思います。
契約アンペア数を見直す
電気料金には契約アンペア数による違いがあります。アンペア数は電流量なので、多くの電気を消費すると見込まれる場合は契約アンペア数を大きくする必要があります。しかし、契約アンペア数が大きくなるほど電気代の単価が高くなるため、それほど使わないのに無駄な契約アンペア数になっていると高い電力を買わされていることになります。
電気代の請求書や明細書に記載されている消費量と契約アンペア数をチェックして、無駄に大きな契約アンペア数になっているのであれば契約を見直して電気代の単価を引き下げましょう。
電気代を節約する方法 自家発電編
最後に、電気代が高いのであれば自分でまかなって「電力を買う量を減らす」という視点で電気代を安くする方法について解説します。そのポイントになるのは、太陽光発電です。
太陽光発電で自宅を発電所にする
太陽光は無料かつ無尽蔵のエネルギーです。自宅の屋根や壁に当たる太陽光は何もしなければただの光ですが、そこに太陽光パネルを設置すると自宅が発電所になります。
十分な日照量がある昼間であれば、家庭内で消費する電力をすべて太陽光発電でまかなうことも可能です。昼間は電気代の単価が高い時間帯なので、その時間帯に電力会社から電気を買わないようにするだけでも大幅な電気代の引き下げが実現します。
蓄電池を併用するとさらに節約効果アップ
しかしながら、太陽光が降り注ぐのは天気のよい昼間だけです。悪天候の日や夜間は太陽光がないため、太陽光パネルが発電をすることはありません。その時間帯は電力会社からの供給を受けるしかなかったのですが、今では家庭用の蓄電池があります。昼間に余った電力を蓄電池に貯めておいて、それを太陽光発電が稼働しない日や時間帯に使用すれば、電力会社からの買電量はさらに少なくなります。
この仕組みによって家庭内の全電力を自宅の太陽光発電+蓄電池でまかなうことができれば、「電気代ゼロ」という究極の節約も可能になります。
まとめ
外的要因、内的要因のそれぞれについて電気代が高い理由を解説しました。この理由や構図を理解した上で適切な工夫をすることで、電気代は間違いなくこれまでよりも安くなります。しかしそれにも限度はあるので、究極の電気代節約である「電気代ゼロ」を含めた大幅な電気代削減を目指すのであれば、太陽光発電+蓄電池の自家消費モデルが有効です。
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