全量自家消費型太陽光発電を検討している企業の中には、自家消費ユニットの選び方について悩んでいる企業も多いのではないでしょうか?自家消費で電気料金を削減するには、発電量と買電量のバランスをリアルタイムで制御できる自家消費システムが必要です。中でもオムロンの自家消費システムは、コンパクトかつさまざまな出力に対応可能で多くの企業にとって導入しやすい仕様といえます。
そこで今回は、オムロンの自家消費システムについて詳しくご紹介します。自家消費型太陽光発電で電気料金の削減を目指している方や産業向けの自家消費システムを調べている方は、参考にしてみてください。
オムロンについておさらい!
オムロン株式会社は、1933年創業の老舗電機メーカーで、生産設備の制御機器をはじめ、家電や電子機器に用いられる電子部品の開発製造、社会インフラシステムの研究開発や製造販売を行っています。
同社で手がけている事業にはエネルギー関係も含まれていて、再生可能エネルギーに関する設備の設計開発や製造、運用サポートなども展開しています。
オムロンの自家消費向けパワーコンディショナ
オムロンは、電子部品だけでなくさまざまなシステムや機器の研究開発や製造、運用を行っています。エネルギー部門では、太陽光発電に関する制御機器類も設計開発・製造販売している点に注目です。
それでは、オムロンの自家消費太陽光発電向けパワーコンディショナについて確認していきます。
完全自家消費が可能なシステム
オムロンから製造販売されている「KPWーAー2」、「KPWーAー2ーM」は、完全自家消費型太陽光発電向けのパワーコンディショナです。
パワーコンディショナは、太陽光発電で発電された直流の電気を交流へ変換したり、電力の需給状況に合わせた制御管理など、複数の役割を担っています。
中でもオムロンの「KPWーAー2」、「KPWーAー2ーM」は、完全自家消費型太陽光発電に対応した小型の自家消費向けパワーコンディショナです。
直流から交流へ変換するための機能はもちろん、消費電力に合わせた発電と電力制御を実現しています。また、高速で電力の制御を行うため、逆潮流防止機能の作動による発電停止リスクをより抑えることが可能です。
消費電力を超える発電量を記録してしまうと、電力が余ってしまい電力会社の送配電網へ一部流れてしまう場合もあります。逆潮流防止機能は、電力会社への送電を防ぐための機能で、装置の実行と同時に発電も停止させてしまいます。
オムロンの自家消費向けパワーコンディショナは、逆潮流防止機能(RPR機能)を作動させないようにしながら、高速で消費電力量に合わせた発電制御しているため、効率よく自家消費することが可能です。
特許取得の独自技術で発電量を24時間常にコントロール
オムロンの「KPWーAー2」、「KPWーAー2ーM」シリーズは、特許取得済みの独自技術で構成されているのも大きな特長です。
オムロンの特許技術「高速・高精度負荷追従技術」は、消費電力量に合わせて発電量および送電量を調整します。また、約99%の追従性能があり、急激に消費電力量が増大・減少しても発電ロスを最小限にしてもらえますし、RPR(逆潮流防止機能)の作動を防げます。
完全自家消費型太陽光発電で電気代削減効果を狙うには、単に発電量を増やせばいい訳ではありません。自社の消費電力量に合わせて、発電量を制御できる設備を持っているかどうかが重要です。
RPR機能など各種周辺機器は特許取得の独自技術で1つに集約
複数の機能を搭載したユニットで構成されているのが、オムロンの自家消費システムの強みです。
一般的な自家消費ユニットは、パワーコンディショナと消費電力量の測定や制御に必要なユニット、RPRユニット(逆潮流防止機能)、バックアップ用の電源装置など、複数の機器で構成されています。
一方、オムロンの「KPWーAー2」、「KPWーAー2ーM」シリーズの完全自家消費用専用保護継電器「KP-PRRV-CPC」は、外形寸法450×484×232mmの小型ユニットに各ユニットの機能が全て搭載されています。そのため、設置に必要なスペースは、小型の専用保護継電器1台分と非常にコンパクトです。
さらに従来の設備では、高圧や低圧など、電圧に応じて専用ユニットを準備しなければいけませんでした。一方、「KP-PRRV-CPC」は、1つのユニットで幅広い電圧に対応しています。
設置方法は表面取り付けなので、簡単かつ短期間で設置工事を進められるのも嬉しいポイントです。簡単施工、ユニット1つで制御装置のセッティング完了という画期的な商品が、オムロンの完全自家消費用専用保護継電器「KP-PRRV-CPC」です。
塩害対応型のシステムも販売
企業によっては、沿岸部に事務所や工場を構えていたり太陽光発電所を設置したりしているのではないでしょうか。
オムロンでは、塩害を想定した塩害対応型の「KPWーAー2」、「KPWーAー2ーM」シリーズも販売しています。
塩害とは、潮風による金属などの腐食を含む被害のことです。特に沿岸部に建てられている建物や設備は、塩害対策を施しておく必要があります。
「KPW-A55-2SPJ4」、「KPW-A55-2SJ4」、「KPW-A55-2SPJ4-M」、「KPW-A55-2SJ4-M」は、重塩害および屋外設置でも稼働可能なパワーコンディショナです。
オムロンの自家消費システムを導入するメリット
ここからは、オムロンの自家消費システムを導入するメリットについて紹介します。
コンパクトで設置しやすい
オムロンの「KPWーAー2」、「KPWーAー2ーM」シリーズは、パワーコンディショナを含め、数個の小型ユニットで構成されています。一般的な自家消費システムと比較した場合、非常にコンパクトな設計です。
一般的な自家消費システムは、バックアップ電源とRPRユニット、計測器、コントローラなどが個別に設置されていました。このようなタイプは設置スペースが必要ですし、設置工事の時間もかかります。
オムロンの「KPWーAー2」、「KPWーAー2ーM」シリーズは、通信ユニットとパワーコンディショナとしてのコントローラユニット、バックアップ電源を含むその他周辺機器を搭載した完全自家消費用専用保護継電器、異常検知などのシステムを搭載した自家消費用ゲートウェイ「KPーGWSC」など数種類で構成されていて、コンパクトなシステムです。
これから太陽光発電の設置を検討する方はもちろん、設置スペースの関係で完全自家消費型太陽光発電の設置をあきらめていた方は、オムロンの自家消費システムで再度設置を検討してみてはいかがでしょうか?
負荷追従率99%程度で損失を抑えられる
パワーコンディショナの負荷追従率約99%という点は、太陽光発電を運用する企業にとって大きなメリットです。
前半で触れたように完全自家消費型太陽光発電で効率よく自家消費するには、消費電力量に合わせた発電が必要です。(消費電力に合わせた制御:追従性能)
しかし、消費電力を超える発電量は、RPR茶道による一時的な発電停止につながります。反対に消費電力量に対して少ない発電量では、発電停止しないものの電気代削減効果を伸ばせません。
オムロンの自家消費システムは、消費電力量を高速で計測し、消費電力量と同程度の発電量を常に維持できます。そのため、発電停止や発電量のロスといったリスクは、軽減することが可能です。
保守運用がシンプルで扱いやすい
オムロンの自家消費システムは誰でも保守運用しやすい設計なので、初めて自家消費システムを導入する方にとっても活用しやすい設備です。
自家消費システムはインターネット接続しているため、異常検知や稼働状況などを随時メールで通知してくれます。そのため、遠隔で太陽光発電所の管理運用を継続できます。
オムロンの自家消費システムは、自動で消費電力量に追従した発電・制御を実行してくれます。担当者は、わざわざ手動で制御設定を変更しなくて済みます。
太陽光発電所の保守運用にかかる手間や負担を少しでも軽減できるのは、どの発電事業者にとっても嬉しいポイントです。
Jクレジットの活用可能
オムロンの「KPWーAー2」、「KPWーAー2ーM」シリーズを導入して自家消費太陽光発電を行った場合、Jクレジット制度へ参加および活用することが可能です。
Jクレジットは、CO2削減量や吸収量を環境価値として販売・購入できるようにしたもので、国の認証制度です。
オムロンの公式サイトではJクレジットへの活用について明記しているので、自家消費による電気代削減効果に加え、環境価値の販売による収益と企業価値アップなども期待できます。
オムロンの自家消費システムを導入するデメリット
続いては、オムロンの自家消費システム導入に関するデメリットを確認していきます。
価格が明記されていない
オムロンの自家消費システムは、見積もりを取らなければ設置工事を含む費用を確認できません。すぐに価格を知りたい方にとっては、少しデメリットと感じる可能性があります。
ただ、オムロンの自家消費システムにかぎらず太陽光パネルやパワーコンディショナなどの価格を確認するには、販売店や施工業者へ見積もりを依頼しなければいけません。また、メーカーサイトから本体価格を確認できたとしても、設置工事費用は分かりません。
太陽光発電の導入を検討している方は、まず販売店や販売業務も行っている施工業者へ見積もりをとってみるのが大切です。
売電型へ切り替えることはできない
オムロンの自家消費システムを導入した場合、売電型太陽光発電として運用することはできません。売電型へ切り替えられると勘違いしないよう注意が必要です。
オムロンの自家消費システムは、文字通り自家消費のために設計された設備です。売電が行われないような回路も搭載されているため、売電型太陽光発電へ切り替える機能はありません。
自家消費と売電どちらの運用方式にするか悩んでいる時は、まず運用方式を決めてから設備を選ぶのが基本です。
売電型太陽光発電で収益を得たい時は、中古太陽光発電がおすすめです。
FIT制度の固定買取価格は、制度発足以降下落傾向です。また、2022年以前にFIT認定を受けた中古太陽光発電を購入した場合は、認定年の固定買取価格で売電できます。そのため、新規設置より高い売電収入を得ることが可能です。
簡単ではあるが使い方を覚えなければいけない
オムロンの自家消費システムは、一般的な自家消費システムと比較して保守運用の簡単な仕様ですが、それでもいくつか使い方を覚えておかなければ、運転状態や自立運転への切り替えなどができません。
たとえば、設備担当者は、システムの運転ランプや異常検知ランプの場所と色、運転スイッチの入れ方(5秒以上の長押しなど)、停電時に自立運転へ切り替える方法、通電後に連係運転へ切り替える方法、ゲートウェイとWi-Fiルーターの接続方法などを取扱説明書で確認しておく必要があります。
太陽光発電や自家消費システムの使い方については、施工業者へ聞いたりメーカーサイトから取扱説明書を取り寄せたりするのが大切です。また、販売店によっては設置後のサポート対応も行っている場合があります。
オムロンの自家消費システムはコンパクトで高効率!
オムロンの自家消費システムは、バックアップ電源やRPRなどの周辺設備をいくつかのユニットにまとめられていて、なおかつコンパクトサイズです。また、消費電力量に合わせて高速で発電量を調整できるため、発電ロスの低減や逆潮流防止機能の作動防止といったメリットも得られます。
完全自家消費型太陽光発電を検討している方や自家消費太陽光発電に必要な機器を調べている方は、今回の記事を参考にしながら自家消費システムを比較検討してみてはいかがでしょうか?
なお、太陽光発電の売電にも関心を持っている方は、弊社とくとくファームへぜひ1度ご相談ください。無料の個人セミナーはオンライン対応で、太陽光発電投資の基礎からその場で質問いただけます。また、太陽光発電専門の担当者が、ちょっとした疑問も含め全てお答えします。