OVGRとは?太陽光発電での役割やPRPについても解説

OVGRとは?太陽光発電での役割やPRPについても解説

再生可能エネルギーの普及に伴い、周辺機器であるOVGRが注目されています。そもそもOVGRとは何でしょうか?一般的にはまだ認知度の高くないOVGRですが、太陽光発電においてどんな役割をしているのか解説していきます。

また、自家消費型発電設備に必要なPRPについてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

OVGRの役割

OVGRとは、”Over Voltage Ground Replay “の略で、太陽光発電に設置される継電器です。日本語では「地絡過電圧継電器」と称されます。電力系統に異常が発生した際に、電路の地絡電圧を検出し、回路を保護する役割の「保護継電器」です。

「地絡」とは、地面に電気ケーブルなどが接触して電気が流れてしまうことで、太陽光発電などの電力設備で起こるトラブルのひとつです。

本記事では、OVGRの役割についてより深く掘り下げていきます。OVGRが地絡事故時の回路保護にどのように役立っているのか、需要家としての必要性、太陽光発電所における重要性、OVGRがない場合のリスクなどについて解説していきます。

地絡事故での回路保護

OVGRは、電気設備の中でも「太陽光発電」専用の保護継電器です。太陽光発電の設置にはさまざまな決まりがあり、そのなかでも、地絡過電圧継電器(OVGR)は高圧配線電線に連携する場合に設置が必要と、省庁などの刊行物に記載されています。

参照:経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」資源エネルギー庁「電力品質確保に係る系統連携技術要件ガイドライン」日本電気技術企画委員会「系統連係規程」

OVGRの作動により、太陽光発電での地絡事故を防止するための回路保護を行ないます。仕組みとしては、電力線の接地接続部の電圧の監視中に地絡が発生すると、その電圧スパイクを検出して回路ブレーカーに信号を送って回路を開き、過負荷を防止します。これにより、偶発的な地絡や短絡からの回路保護を行ない、大規模な停電や感電事故、電気設備の故障や火災を回避することが可能となるのです。

低圧需要家は基本的には不要

一般家庭で太陽光発電を設置していて、契約電力が50kw未満の低圧需要家にとって、OVGRは必要ありません。基本的に地絡継電器は、高圧受電している需要家の設備に対して設置を求めています。高圧需要家とは、契約電力が50kw以上2000kw未満の商業施設や工場、オフィスビルなどを指します。また、契約電力が2000kw以上の「特別高圧需要家」もOVGRは必要です。

太陽光発電所には必須!

近年では、太陽光発電所でのOVGR設置の重要性が高まっています。太陽光発電システムは、複数の部品が複雑に配線されていることが多く、適切に保護されていないと経年劣化で破損する可能性があるからです。地絡や電力の過負荷が発生した場合に、システムを検知して保護するのに役立ちます。OVGR設置によって、システム、システムを構成する部品、近くにいる人の安全を確保できます。

バックアップ電源も必要

OVGRには保護継電器用のバックアップ電源が欠かせないため、多くのメーカーで標準搭載しています。バックアップ電源とは、停電や予期せぬ回路系統のトラブルに備えて内部にバッテリーを持つ装置のことです。OVGRは停電などのトラブル時に作動する必要があるため、内部バッテリーが必須となります。

また、日本電気技術規格委員会の承認規格である「系統連系規程」では、保護継電器の電源が交流電源(AC)だった場合、バックアップ電源の装備を義務付けています。

※UPS(無停電電源装置)やポータブルバッテリーでも可能。

OVGRがない場合のリスク

OVGRがない太陽光発電のリスクを考察していきましょう。結論から言うと、大規模な停電や電力火災、最悪の場合地絡による感電などのリスクが挙げられます。また、発電所管轄地域での電力障害につながることもあるでしょう。

高電圧の太陽光発電では、OVGRを設置しない場合はシステムが損傷を受けやすくなります。地絡や電力サージが発生すると、大きな損傷もあり得るでしょう。

【太陽光発電】OVGRと一緒に設置する機器

地絡過電圧継電器は、太陽光発電に欠かせない保護継電器です。しかしOVGR単独で使用することはありません。必ず以下のふたつの機器をパートナーとして一緒に設置します。

  • 【GDR】地絡方向継電器
  • 【PCS】パワーコンディショナー

次に上記2つの特徴を解説していきます。

【GDR】地絡方向継電器

地絡方向継電器は、OVGRと併用される機器のひとつです。主な役割は「過電圧によるもらい事故」を防ぐこと。名前のとおり、地絡事故が発生した方向を特定して検出することが可能です。

地絡事故の特徴は、事故が発生した回線では電流が「電源側」から「負荷部分」へ流れていることです。その他の回線では、「負荷側」から「電源側」へ電流が流れていきます。地絡事故は電流の大きさだけで判断するため、OVGRのみの場合では事故が起きていない回線の電流を検出してしまうおそれがあります。

地絡方向継電器を設置すれば、地絡事故が起こった回線の方向を検出し、一定の方向を定めて回線をシャットダウンできます。そのため地絡方向継電器とセットで設置することで、誤作動をなくし、回線を守ることができます。

【PCS】パワーコンディショナー

パワーコンディショナーは、地絡方向継電器と同じく太陽光発電にはなくてはならないパートナーです。直流電気を交流電気に変換し、太陽光発電で生産された電気を家庭でも使えるようにしてくれる頼もしい存在です。別名PVインバータやパワコンなどとも呼ばれています。

また、パワーコンディショナーは系統連系保護機能の役割も担っています。系統連系とは、電力会社の送電網や配電網(系統)と、一般家庭や様々な施設の自家用発電機(太陽光発電など)を繋げることを言います。電力会社の送電網と自家用発電機の間で漏電や回路トラブルが発生した際、パワーコンディショナーがそれを検出し、電流を遮断します。

自家消費型に設置義務のある「RPR」

一般家庭などに設置されている太陽光発電のうち、電力を自分で使用することを「自家消費型」と言います。自家消費型の太陽光発電を導入するにあたり、「RPR」の設置が義務づけられています。RPRは「逆電力継電器」と呼ばれ、太陽光発電には欠かせません。名前のとおり逆の方向へ流れる電流を検知し、電力を遮断する機能を備えています。

ここではRPRの重要性について深掘りしていきます。

RPRの目的は逆潮流防止

一般的に、電力の流れには「順潮流」と「逆潮流」のふたつが存在します。「順調流」とは、電力会社などの発電施設から企業や一般家庭へ電気を送電する流れのことです。「逆潮流」とは、企業や一般家庭などのいわゆる「需要家」から電力会社の送電網(系統側)へ電気を流すことを指します。

順潮流は一般的な電気の供給を、逆潮流は企業や家庭から「売電」という形で利用されています。自家用太陽光発電では、売電を目的にしていない場合は自家消費型で利用されます。しかし発電した電力を使い切れない場合に、電力会社の送電網へ電気が送られてしまう「逆潮流」が発生することがあります。

さらに、余った電力が過剰に変電所まで流れてしまうとパンク状態となり、配電線の劣化などのトラブルにつながります。このような事態が起こった場合、電力供給が足りなくなり、電力会社の管轄地域などで停電などのトラブルにつながります。

RPRは、この余剰電力による逆潮流を防止できるため、自家消費型の発電機において設置が義務となっているのです。

RPRが必要なパターン

前項までで、RPRが必要なのは一般家庭で利用される「自家消費型の太陽光発電」と申し上げました。しかし、一般のご家庭・住宅以外でも自家消費型の太陽光発電は設置されています。具体的には、太陽光発電で電力を賄うオフィスビルや工場、商業施設などです。

オフィスビルや工場、商業ビルは1年を通して稼働しているイメージがあります。しかし、年末年始などの休日が続く場合には、施設内の稼働も少なくなるため電力消費も減少します。すると自家発電で蓄えられた電力が消費されず、逆潮流が発生する可能性があります。

施設が大きいほど逆潮流によるトラブル発生時にかかるコストが比例するため、RPRの必要性はより高くなります。

RPRはなるべく作動しないほうが良い

RPRが発動した場合、パワーコンディショナーが停止します。このような状態になると自家消費型の発電は停止状態となり、電気を購入する必要が出てくるため、再開まで電気料金がかかることになります。なるべくなら、RPRは作動しないに越したことはありません。大切なのは、自家消費型の電力を使い続ける対策をしておくことです。具体的な対策として以下の2つが挙げられます。

  • 出力制御機能付きパワーコンディショナーの設置
  • 負荷追従制御オプションの利用

出力制御機能付きパワーコンディショナーとは、発電した電力を自家消費できる出力に変換するパワーコンディショナーの機能を活用したものです。特徴は、系統連系時に自動で発電量が調整できることです。そのため、自家消費の電力が過剰に蓄えられることもなく、RPRが作動する可能性も低くなります。

一方の「負荷追従制御オプション」は、電力会社からの供給電力(受電電力)を随時計測し、自家発電の量をコントロールすることができる方法です。パワーコンディショナーには、メーカーごとで安定して出力ができる電力量(定格出力)が設定されています。負荷追従制御オプションでは、パワーコンディショナーの定格出力と受電電力をリアルタイムで比較していくことで、パワーコンディショナーを停止することができます。

そのため、自家消費型発電での逆潮流を防ぎ、設備故障や発電の損失を回避できるでしょう。

OVGR・PRP導入なら専門業者へ依頼しよう!

OVGRは、「地絡過電圧継電器」とも呼ばれる太陽光発電の継電器で、主に地絡事故での回路保護を目的とした「保護継電器」のひとつです。OVGRは太陽光発電だけに設置される唯一無二の存在。太陽光発電を安全に運用していくために必要不可欠です。

またOVGRとならび、一般家庭などの「自家消費型発電」にはRPRが必要です。OVGRとRPRは太陽光発電設備を最大限に活用するためのシステムと言えます。設置には専門業者が必要です。とくとくフォームでは、太陽光発電に関する個別相談会を実施しており、最適な自家消費型太陽光発電を構築できるよう専門家がサポートしています。お気軽にお問い合わせください。

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