こんにちは、石橋です。
今回は、今や全人類が避けて通れないと言って過言ではないほど大きな課題だと感じる、生成AIの環境問題についてです。

生成AIは、今や機械的な作業に留まらず、画像や動画、文章などを要望に応じて作ってくれるとあって、仕事のあり方そのものが大きく変わるかもしれないと言われるほどの大変革を起こしています。
もちろん、生成AIはネット上の情報から新たな創作をしているため、いわゆる「ゼロイチ」の発想を生み出すことはありませんが、それでも仕事のあり方が大きく変わるのは間違いないでしょう。
さて、私が注目しているのは生成AIに出来ることではなく、生成AIが仕事をするために必要なエネルギーについてです。
AIは、とんでもないレベルの大食いです。複雑で膨大な計算をこなす必要があるため、それは仕方ないことでしょう。高性能のコンピューターを大量に稼働させてAIとしてのサービスを維持しています。そのためのデータセンター需要が急増していますし、データセンターは膨大な電力を消費します。
こうした話、私はちょっと懐かしいと感じてしまいました。それは、ビットコインのマイニングで同様のことが言われていたからです。もちろん今でもビットコインのマイニングでは大量の電力が消費されることは変わっていないわけですが、ビットコインをはじめとする暗号資産のマイニングについては、太陽光発電など再生可能エネルギーの有効活用が進んでいるおかげで以前ほど悪者でもなくなっています。
では、生成AIはどうなのでしょうか。AIについては諸刃の剣と思える部分があります。というのも、AIはエネルギーの利用効率を高めるためにも広く利用されており、AIが電力消費量の削減に貢献している事実があります。私の事業に近いところで言えば、クラウド蓄電池がその典型例でしょう。クラウド蓄電池は蓄電池の「賢い版」で、AIが電力使用状況に応じて最適な充放電をすることができます。クラウド蓄電池以外にもAIが環境負荷を下げてくれている分野は多々あります。
しかし、その一方でAIはそのサービスを維持するために莫大な電力を消費します。このバランスがいつかは保たれる時が来るとは思うのですが、今は先に電力消費が増えていくフェイズです。すでに株式投資家の間では有望株として電力会社やエネルギー関連が物色されていると聞きます。それは、今のままではAI時代の電力需要に追い付かないことがほぼ確定していて、エネルギー関連の企業に投資が入ることが確実視されているからです。「マーケットは何でも知っている」という言葉の通りになるのであれば、電力需要のひっ迫が起きるほどAIが電力を消費する=環境負荷を高めてしまうことは間違いなさそうです。
仕事のあり方を変えると言われている生成AIが、実は環境問題やエネルギー問題の本質をも変えようとしています。この問題と無関係でいられる人がほとんどいない以上、誰もが身近な問題として関心を持つことが重要でしょう。