こんにちは、石橋です。
最近何かとお騒がせのあの人物、そうですアメリカのトランプ大統領について感じたことを話したいと思います。トランプ大統領についてはパリ協定からの離脱など環境政策の観点から言及したことはありますが、今回は全く別の角度からのお話です。

先日行われた、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談。会談が始まるまでは和やかなムード、会談が始まってもしばらくは和やかなムードでしたが、途中から空気が一変。バンス副大統領の挑発的な質問に対する回答から雲行きが怪しくなり、ついには口論に。こんなこと、前代未聞です。大国の大統領、戦時下の大統領の両者が口喧嘩をするとは、少なくとも私は見たことがありません。アラブ諸国の話し合いでは案外ののしり合いはあるんですが、あれはひとつの文化のようなものですし。
結果、話し合いは物別れに。今日のニュース速報では、早速アメリカが軍事支援を一時停止したそうです。何でもディール(取引)で決めるトランプ大統領のことなので、これもひとつのカマかけなのでしょう。「アメリカは本気だ、あなたも譲歩しろ」というわけです。このディールにウクライナ側が応じるかどうかは不透明ですが、私が感じている限り、このままでは物別れのままでしょう。
さて、問題はこれで世界に何が起きるかです。私自身、先日の石破総理との会談と比べると別世界だと思いましたが、それは両国間に目立った懸案がないからです。株主総会でいう「シャンシャン総会」だっただけなので、両首脳は事務方が用意したペーパーを読んで握手するだけでOKでした。日本側にとっては「トランプに会う」ことが重要で、アメリカ側にとっては中国に取り込まれないように日本の機嫌を取っておけばOKだったわけです。両者の思惑が一致しているので、もめごとは起こりません。これも外交だとは思いますが、先日のトランプvsゼレンスキーの口喧嘩は、ガチの外交だと思います。両首脳ともにガチンコでぶつかって、その結果があれだったわけです。
これ以外にも、アメリカは南北の隣国に対して25%の関税を発動すると言っています。予定通りなら、今晩からでしょう。そして、EUに対しても25%の関税。中国に追加関税というのは仮想敵国なので分かるんですが、同盟国に対しても容赦のない関税を発動するというのは、かつてアメリカが歩んできたモンロー主義の再来に見えます。
モンロー主義とは、アメリカがヨーロッパに干渉しない、逆も然りというアメリカの政策です。かつての大統領、ジェームズ・モンローが掲げた政策なのでこう呼ばれています。当時のヨーロッパは戦争が頻発し、まさに火薬庫のようでした。しかし、アメリカは特に誰とも争っておらず、経済発展を謳歌していました。そんなアメリカが特定の国に肩入れをしてリスクを冒すよりも、ヨーロッパから孤立して発展したほうがメリットがあるというので、モンロー主義が採用されていました。それがうまくいった成功体験があるので、アメリカの本音は孤立主義的だと言われています。
ひるがえって、令和のモンスターことトランプ大統領。この人が言ってることって、まさにモンロー主義そのものです。もともとアメリカは関税を財源としてきた歴史があるので、トランプだけが始めた風習ではありません。国内に増税をすると票を減らしてしまうので、外国に負担させているように見せかけて実は自国民が関税の上乗せ分を負担するという、実にうまいトリックです。あちこちに高い関税をかけてアメリカを孤立させ、イエスマンの国だけを近くに置く。上等じゃないですか、これだけアメリカの本音を政策に反映している大統領っていないと思います。きれいごとや建前抜きで、本音丸出し。
ウクライナは当面数か月は、アメリカの支援がなくても戦争を継続できるといいます。しかもヨーロッパが結束して支援しようとしているので、さらに延命するでしょう。そうなると戦争は終わらず、苦しむのはウクライナの市民や兵隊、そしてロシアと北朝鮮の兵隊…といったところでしょうか。
日本も全然他人事ではないので、「アメリカがいない日本」を少しだけでも想定して、日本だけで国を守れるようにしておくことが重要だと改めて感じたのでした。