こんにちは、石橋です。
最近ますます熱を帯びてきている系統用蓄電池について、私が代表を務める和上ホールディングスへのお問い合わせやご相談も多くなっています。
今回はそんな系統用蓄電池について、再生可能エネルギーとの関わりについてお話しをしたいと思います。和上ホールディングスは再生可能エネルギーのメインプレイヤーである太陽光発電企業でもあるため、この両者の関わりについては最前線の立ち位置にいます。その立場から言えるのは、再生可能エネルギーが普及すればするほど系統用蓄電池の役割が増し、投資案件としての魅力も増すという事実です。
それはどういうことなのか、解説していきましょう。
系統用蓄電池は、系統つまり電力網に接続をして充電と放電を繰り返すことができる機器です。当コラムでも何度か取り上げてきているテーマなので、基礎知識については過去の記事をお読みいただけると幸いです。

それでは、ここからが本題です。
再生可能エネルギーは自然由来のエネルギーなので、発電量や気候や自然のコンディション、季節などによる影響を強く受けます。代表的な再生可能エネルギーである太陽光発電の場合、晴れた日の日中は使いきれずに余るほど発電をしますが、逆に雨の日や夜間は発電ができないため、発電量にムラがあります。このことは長らく、太陽光発電の弱点として横たわってきました。近年では家庭用蓄電池の普及により、日中に余った電力を貯めておいて発電ができない時間帯に蓄電池を利用するといった完全自立型の太陽光発電システムやそれを実装した住宅も一般的になりました。こうした自家消費型のモデルは蓄電池があるからこそ成り立つもので、それまでは売電をしてその収入で夜間などの電力をまかなうという、実質的な自立型モデルが一般的でした。
系統用蓄電池は、この巨大版だと考えると分かりやすいと思います。系統に接続されている蓄電池なので、同じく系統に接続されている太陽光発電所からの余剰電力を貯めておくこともできます。電力が余っている時は系統用蓄電池に貯めておいて、逆に太陽光発電所からの供給がない時は蓄電池からの供給をすることによって、電力供給の安定化が実現します。
実はこれ、系統用蓄電池に期待されているメリットの1つです。
このメリットを確立するために設立されたのが、需要調整市場です。この需要調整市場は2021年に発足した枠組みで、分かりやすく言うとたくさんの電力事業者が1つの市場に集まって、電力の「調整力」を取引します。この調整力には一次、二次、三次のカテゴリー分けがあって、そのうち三次調整力は再生可能エネルギーの需給バランスを調整するためのものです。ちょっと分かりにくいですね、もうちょっと平たい言い方にしましょう。
家庭用の太陽光発電に蓄電池をセットで導入している場合、昼と夜の需給ギャップは蓄電池が補ってくれます。しかしそれだけだと、悪天候の日が続いた場合など自然の機嫌次第では蓄電量が底をついてしまい、電力会社に頼らなければならないことも多くなるでしょう。
そこでもっと範囲を広げて、広いエリアで同じことをしたらどうでしょうか。それなら天候の悪いところばかりではなく、あるエリアでは悪天候が続いていても別のエリアでは十分な発電ができているかもしれません。そして十分な発電ができているエリアからの供給で余った分を蓄電池に貯めておけば、異なるエリア同士で電力の融通が可能になりますし、その橋渡しや調整に蓄電池が役立ちます。
この橋渡しを担っているのが需要調整市場であり、実際に電力を貯めておいて必要に応じて供給することができるのが、系統用蓄電池というわけです。
なるほど、それなら元々不安定な再生可能エネルギーを有効活用できるな・・・と感じられたかと思います。私が素晴らしいと思うのは、その先です。
太陽光発電の場合、系統用蓄電池の導入が増えると無駄になる電力が少なくなるため、より投資案件として太陽光発電所を運用する価値が高くなります。そしてもう一方の系統用蓄電池を設置する側にとっても、需要調整市場を介して調整力をマネタイズできるため、系統用蓄電池を設置することによる投資の魅力も増します。
私は普段から、環境ビジネスは投資家にとって魅力的なものでなければならないと考えています。そうでなければ投資を呼び込むことは難しいからです。「地球に優しい」というキャッチコピーだけでお金を出してくれるのはすでに昔話で、今や環境ビジネスは投資家にとって魅力があるからこそ参入するものであり、それが結果として地球環境保護やエネルギーの有効利用につながります。もちろん、私たち和上ホールディングスもその世界でビジネスを展開しています。
電力を生み出す側と、貯める側、そして使う側にもメリットがあるというWIN-WIN-WINが成り立つからこそ、系統用蓄電池は注目され、殺到しすぎとの指摘があるほどの人気になっているのです。

