2022.10.12
【2022年度】東京都の太陽光発電関連の補助金制度と申請時の注意点
小池都知事が打ち出した「東京都の住宅には太陽光発電の設置後義務づけ」という方針には世の中が驚かされました。さすがに反対意見も多いことから実現への道のりは決して平坦ではありませんが、東京都が太陽光発電や蓄電池などエコ性能を備えた住宅へのシフトに本腰を入れているのは今に始まったことではなく、補助金制度を充実させるなどの形で推進してきた経緯があります。
もちろんこの制度は2022年度の予算にも盛り込まれており、東京都に在住している方で太陽光発電システムを設置する場合には条件によって補助金を利用できる可能性があります。
そこで当記事では東京都の2022年度の太陽光発電関連の補助金について、申請時の注意点を交えつつ解説します。
目次
2022年度、東京都の太陽光発電関連の補助金制度
東京都が設けている太陽光発電関連の補助金制度は、3つあります。1つは太陽光発電システムおよび太陽光発電とセットで設置されることが多い蓄電池に対する補助金、もう1つはV2HといってEV(電気自動車)を蓄電池のように利用する太陽光発電システムに対する補助金です。
それぞれ別の補助金制度として運用されているので、1つずつ解説します。
太陽光発電および太陽光発電向け蓄電池の補助金
2022年度に東京都が実施している補助金は、前年までとは名称が変わりました。2022年度の補助金は「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」という名称で、前年までは自家消費モデルの太陽光発電に対する補助金との意味合いが強かったのですが、2022年度の補助金は環境性能やエネルギー問題の解決だけでなく、災害対策にも重点が置かれていることがうかがえます。
蓄電池は太陽光のない夜間や悪天候の日にも電力を太陽光発電由来の電力を利用できるため、特に家庭用の自家消費モデルには必須の設備です。そこで東京都は蓄電池の普及を目指して、補助金制度を設けているわけです。
具体的な補助金制度の概要は、以下のとおりです。
補助金の条件 | 補助金額 | 最大額 |
---|---|---|
蓄電池単体で設置の場合 | 10万円/kWh | 1戸あたり 80万円 |
太陽光発電と蓄電池と 同時設置の場合 |
蓄電池:10万円/kWh 太陽光発電:20万円/kW 上記いずれかの小さい額 |
1戸あたり 1,000万円 |
太陽光発電設備を設置 |
新築:12万円/kW(3kW未満) または10万円/kW(3kW以上) 既築:15万円/kW(3kW未満) または12万円/kW(3kW以上) | >
新築:500万円 既築:600万円 |
知事自身が太陽光発電の設置を義務化したいと発言するだけあって、東京都の太陽光発電関連の補助金は充実しているといってよいでしょう。東京都内で該当する設備を導入する方は、ぜひ活用してください。
V2H向けの補助金
V2Hは太陽光発電とEVを組み合わせたシステムのことです。東京都のV2H向け補助金は、EVもしくはPHV(プラグインハイブリッド車)と太陽光発電システムが揃った場合に適用されるもので、最大100万円の補助を受けることができます。
まだ適用されるケースは少ないと思いますが、今後EVが普及していくごとに存在感を増していく補助金となるでしょう。
2022年度補助金の特徴
東京都の2022年度補助金には、いくつかの特徴があります。最も大きな特徴は、太陽光発電と蓄電池の併用設置に上乗せの補助があることです。すでに補助金の概要については一覧表で解説しているのでそちらを参照いただくとして、この補助金は新たに太陽光発電を導入する家庭に向けて蓄電池も併用することで自家消費モデルの普及を促進したいとの思惑が見えます。
また、2022年の9月からはさらに補助金制度が拡充され、すでに蓄電池やV2Hが設置されている家庭で太陽光発電を導入するケースにも補助金が適用されるようになりました。
これらの特徴を見ると、東京都は本気で太陽光発電の普及を進めたいと考えていることが分かるので、現在導入を考えている方にとってはチャンスと見るべきでしょう。
申請時の注意点
利用価値が高い東京都の補助金制度ですが、申請に不備があると補助金を受けられない事態も考えられます。相手は役所なのであまり融通を利かせてもらえることは期待できないことを踏まえると、事前にしっかりと注意点を理解しておくことが重要です。
ここでは、東京都の補助金を申請する際の注意点について解説します。
上乗せ補助の場合は同時申請が必須
2022年の補助金では太陽光発電設備の上乗せ補助を受けることができるようになりました。このメリットをいかすためには、同時申請をしなければなりません。
例えば、補助金の対象となる蓄電池などを導入して申請をしたあとで、太陽光発電設備を追加で導入し、追加で申請をしたとしてもそれは上乗せ補助の対象にはなりません。
太陽光発電+蓄電池の組み合わせで補助金の申請をお考えの方にとっては最も注意するべき点なので、しっかり押さえておいてください。
補助金の申請は設置前に
東京都の補助金に限った話ではありませんが、国や自治体などが設けている補助金制度に共通する注意点として「設置前に申請」という大原則があります。要綱発電以外の、例えば会社設立時に申請できるような補助金であっても設立後だと間に合わないケースが多く、あらゆる補助金では「先に申請する」ことをしっかり覚えておいてください。
東京都の補助金も設置前に申請をするのが基本なので、このあたりは販売施工業者ともしっかり相談をしておくのがよいでしょう。
販売施工店に代行してもらおう
申請に必要な書類の準備や手順、申請のタイミングなど、補助金の申請を滞りなく済ませるにはそのためのノウハウが必要になります。当然ながら家庭向けの太陽光発電や蓄電池を導入する方のほとんどは補助金の申請に関してプロではないはずなので、補助金に関連する業務も販売施工店に代行してもらうのが無難です。
最初から補助金の活用を前提に検討しているのであれば、問い合わせや見積もりの段階でそのことを販売店に伝えておくと確実です。
太陽光発電関連の補助金について最新事情
ここまでは東京都の太陽光発電に関連する補助金制度について解説してきましたが、ここからは視点を変えて東京都以外の補助金事情についても解説したいと思います。
国が太陽光発電普及のために続けてきた補助金についての最新事情や、その他の自治体の事情なども併せて読み進んでいただければと思います。
国の補助金はどうなった?
かつて、太陽光発電を普及させるために国の補助金制度がありました。2022年現在はすでにその制度の役割を終えたということで、国による太陽光発電補助金の制度はありません。
そのため、当記事では紹介している東京都の補助金制度は意義が大きく、該当する地域にお住まいの方はぜひとも活用したいところです。
ただし、太陽光発電そのものではなく省エネ設備やZEH(エネルギー収支が実質ゼロ以下の家)などについての補助金制度はあります。太陽光発電単体での普及はある程度達成したということで、今後はこのように発展型の補助金制度にシフトしていくものと思われます。
地方自治体の補助金について
日本全国の都道府県や市町村には、今もなお太陽光発電に補助金を出しているところがあります。これについてはそれぞれの自治体によって考え方や財政事情が異なるため、お住まいの自治体に補助金があるかどうかはネットなどを活用して調べてみてください。
東京都のように手厚い補助金を出しているところは少ないため、仮に市町村の補助金制度があったとしても予算が限られている現実があります。そのため、適用範囲や補助金額についてはそこまで期待しないほうがよいかもしれません。
基本的に補助金は先着順
東京都の補助金も含めて、全国各地で実施されている補助金制度は原則として先着順です。要件を満たしている申請が予算額に到達した時点で新規の申請はできなくなるため、補助金の利用を前提に太陽光発電や蓄電池などの導入をお考えの方は、なるべく早く申請をすることをおすすめします。
東京都の場合は十分な予算があるといえますが、それでも2021年度の自家消費モデルへの補助金はわずか数週間で予算額に到達してしまった事実があります。2022年度の補助金についても明確に予算が倍増したというわけではないので、同様の傾向を考えると期間内に予算到達してしまう可能性は大いにあります。
施工販売店に見積もりを依頼する際には、補助金がまだ受けられるかどうかの確認も忘れないようにしてください。
まとめ
東京都の太陽光発電向け補助金についての解説をしました。要件に該当する方にとってはかなり魅力的な内容なので、ぜひ活用していただきたいと思います。しかしながら、相手は役所です。書類の不備などによって受けられるはずの補助金が受けられないような事態も考えられるので、そこは施工販売店にしっかりと確認をして可能な限り手続きを代行してもらうのが無難です。
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