節税目的の不動産投資案件の危険性と、正しい節税法 後編

節税目的の不動産投資案件の危険性と、正しい節税法 後編

ワンルームマンション投資や海外不動産投資による節税スキームの危険な落とし穴についての、後編です。前編ではこうした節税スキームの概要とワンルームマンション投資の危険性について述べていますが、まずは前編からお読みいただくことをおすすめします。

海外不動産投資の大きな落とし穴

海外不動産投資の落とし穴については、前編でご紹介した2つのスキームついて個別に解説しましょう。まずは、一番危険なハワイなどリゾート地のコンドミニアム投資です。

節税目的でハワイのコンドミニアムを買った人の多くは、「小金持ち」です。本当のお金持ちはあまり興味を示さない案件なので、すでにリスクが高い人たちであることがポイントです。しかしハワイは日本人などアジア人から人気のリゾート地なので客付けに困ることはあまりなく、綱渡りではあるものの投資環境はそれほど悪くはありませんでした。

そんな時に起きたのが、コロナ禍によるロックダウンです。ハワイも例外なく感染者が急増し、アメリカ本土はおろかアジア圏からの観光客もほとんど来なくなりました。観光が最大の産業であったハワイ経済はほとんど機能停止をした結果、ローンを抱えてコンドミニアムを買った人たちの収支が悪化します。全く収入が入らないコンドミニアムを抱えてローンを返済するのは大変なことですが、それでもお金持ちであれば節税効果を最大化できます。しかしこれらの物件を買った人の大半が綱渡りの不動産経営をしていたので、ひとたびそのバランスが崩れると大変な事態になってしまうわけです。その先に何が待っているかは、もう言うまでもないでしょう。

次にもうひとつのスキーム、アメリカの築古住宅投資です。アメリカでは築古住宅にも十分価値があると見なされているので、日本ではすでに法定耐用年数を過ぎている、築22年以上の物件であっても普通に流通しています。そして築古であっても入居者に困ることはないので、家賃収入を狙いながら減価償却による節税も可能です。

これなら問題ないのでは?と思いたいところですが、すでに2019年の税制改正で2021年以降の確定申告における海外不動産の赤字を損益通算できなくなってしまったのです。家賃収入を見込むことはできるでしょうが、このスキームで築古住宅を買う人の目的は節税であることがほとんどなので、この税制改正によって魅力は終了したと考えて良いでしょう。

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顧客を必要としない節税スキームの優位性

ワンルームマンション投資も海外不動産も危険だらけとなると、資産収入と節税を両立できるビジネスモデルはないのかというと、そんなことはありません。ここでおすすめしたいのが、太陽光発電投資です。太陽光発電投資とは、太陽光発電所を購入もしくは新設して発電による収益を得ながら減価償却による節税を両立するというものです。

これなら不動産投資と変わらないのでは?と思われるかもしれませんが、太陽光発電投資が不動産投資と決定的に違うのは、顧客の有無です。不動産を経営するには入居者以内と収入が発生しませんが、太陽光発電は電力を使う人いる限り収入が発生し続けます。

なお、太陽光発電設備の減価償却は17年なので、新設であれば17年間、既存の発電所をセカンダリー市場で購入した場合は新設からの期間を差し引いた残存期間に減価償却を適用できます。

従来の太陽光発電投資は売電収入が唯一の収入源でしたが、それだけだとFITの終了や出力抑制によって売電がストップしてしまうなどの不確定要素があります。その場合は自家消費モデルによって電力を消費する「顧客」に自らなることで、光熱費の削減を実質的な収益にすることができます。

環境ビジネスの成長性は大きく、今後脱炭素社会へのシフトやSDGs、ESG投資の広がりなどを通じて優位性が増していくことは確実なので、リスクが高すぎる不動産投資を始めるのであれば、顧客を必要としない成長分野への投資をおすすめします。

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