地域活用要件とは何?詳細や2022年以降のFIT制度も解説

地域活用要件とは何?詳細や2022年以降のFIT制度も解説

太陽光発電を含む再生可能エネルギー関連制度は、2020年より地域活用要件という新たな要件も定められています。しかし、2021年や2022年に太陽光発電を設置しようと考えている人の多くは、地域活用要件の詳細が分からず悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、地域活用要件の詳細や対応方法、2022年の制度や自家消費ではなく全量買取を行う方法について詳しくご紹介します。再生可能エネルギー設備の設置を検討している方や地域活用要件を調べているものの分からない方は、参考にしてみてください。

地域活用要件とは

地域活用要件とは

地域活用要件は、小規模事業用の太陽光発電を対象にした新しい要件です。特に出力10kWから50kWの太陽光発電で売電を検討している方は、地域活用要件に沿って準備を進める必要があります。

それでは、地域活用要件の意味や主な特徴、いつから始まったのか確認していきます。

2020年度に定められたFIT制度の新規要件

地域活用要件とは、2020年度に定められたFIT制度の認定に関する新規要件(条件)のことです。

2020年4月から新規でFITの認定を受ける小規模事業用太陽光発電や小規模地熱・水力・バイオマス発電設備は、地域活用要件を満たした状態でFIT申請しなければ、売電できない可能性があるという内容です。

小規模事業用太陽光発電の中で地域活用要件の対象設備は、出力10kW以上50kW未満とされています。また、事業用は、売電を目的に設置された太陽光発電を指します。

出力10kW以上50kW未満は原則全量買取できない

出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電は、地域活用要件を満たし新規FIT認定を受けても原則全量買取できません。

出力10kW未満の住宅用太陽光発電と同じく、余剰買取のみ選択することが可能です。

ただし、自家消費に関して細かい要件が加えられている点は、住宅用太陽光発電と大きく異なります。

出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電で売電を行うには、発電した電気のうち自家消費分の比率を一定程度維持したり自立運転機能を組み込んだりしておく必要があります。

地域活用要件のガイドラインについては、後半で詳しく紹介します。

災害時に即活用できるようにするため

地域活用要件を定めた理由の1つは、災害対策強化を行うためです。

資源エネルギー庁では、災害時のレジリエンス(強靭性)強化という方針を掲げています。たとえば、地震や台風などで停電した際、太陽光発電で発電した電気をさまざまな機器へ送電するには、自家消費用の回路やシステムの構築も必要です。

しかし、太陽光発電の中には、蓄電池を備えていない設備や自家消費に対応していない設備などもあります。そのため、再生可能エネルギーが普及しても、災害復旧に即時活用できない状態です。

そこで政府では、太陽光発電を災害復旧に活用できるよう、自家消費や自立運転機能に関する条件を定めました。

地産地消と電源分散のため

政府が地域活用要件を定めたもう1つの主な理由は、再生可能エネルギーの地産地消と電源の分散です。

地震や台風、その他災害発生時、1か所に大規模な電力システムを集めていると大規模停電時につながってしまいます。小規模事業用太陽光発電はさまざまな場所に設置されているため、停電時の早期復旧に役立つと考えられています。

そこで政府では、地域活用要件に出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電を含め、電源の分散という災害対策を推し進めています。

さらに各地域に設置された小規模事業用太陽光発電を現地で消費されるようになれば、経済活動の活発化つながる可能性もあります。

地域活用要件のガイドライン

地域活用要件のガイドライン

地域活用要件の意義や特徴を確認したあとは、ガイドラインについて確認します。地域活用要件では、自家消費率と自立運転機能の2点を重視しています。

これから小規模事業用太陽光発電の設置運用を行う方は、ガイドラインを理解した上で準備を進めるのが大切です。

続いては、地域活用要件の細かいガイドライン・条件について紹介します。

低圧太陽光発電と水力やバイオマスを対象

地域活用要件の対象設備は、以下の通りです。

  • 出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電
  • 出力1,000kW未満の小規模水力発電
  • 出力2,000kW未満の小規模地熱発電
  • 出力10,000kW未満の小規模バイオマス発電

太陽光発電に関しては、一部低圧(10kW以上50kW)のみ地域活用要件の対象です。

出力50kW以上の太陽光発電や出力10kW未満の住宅用太陽光発電は、地域活用要件の対象から外されています。さらに出力50kW以上の太陽光発電で新規FIT認定を受ける場合は、これまで通り全量買取を選択できます。

なお、2020年4月1日以前にFIT認定を受けた出力10kW以上50kW未満の中古太陽光発電所を購入した場合は、全量買取にて売電し続けることが可能です。

弊社とくとくファームでは、低圧の中古太陽光発電所を含め、多数の太陽光発電物件を掲載しています。全量買取を希望している方や売電収入を重視している方は、ぜひ1度ご相談ください。

自家消費率30%以上を維持

出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電で新規FIT認定を受けるには、自家消費率30%を維持しておく必要があります。

具体的には太陽光発電で発電した電気のうち30%を売電せず、照明設備や各種機器へ電力供給および消費し続けるのが、自家消費要件の概要です。また、太陽光発電のFIT申請の際にどのような方法で自家消費を行うのか、自家消費計画も提出しなければいけません。

自家消費計画の作成時は、年間の見込み発電量と自家消費分の用途や見込み消費電力量、自家消費比率などを明記しておく必要があります。また、建物にあとから太陽光発電を設置する場合は、建物内の消費電力量を過去1年間分まで提出します。

FIT認定を受けたあとも自家消費率30%を維持しているか売電量などをチェックされるため、蓄電池などによる制御やモニタによる監視なども重要です。また、検針票や電気料金の請求書を保存したり発電量の記録などを写真で保存したりするのも大切です。

万が一自家消費率30%を下回ると、FIT認定を取り消される場合があります。

自立運転機能を搭載しなければいけない

太陽光発電で売電を継続するには、自立運転機能の搭載も必要です。

太陽光発電は、通常外部からの電源が使用されています。そのため、災害などで停電した場合、太陽光パネルで日光を吸収してもパワーコンディショナで交流電流へ変換したり自家消費したりできません。

一方、自立運転機能付き太陽光発電は、太陽光パネルで発電した電気をパワーコンディショナなど各種機器へ電力供給します。さらに、専用のコンセントから電気を取り出すことができます。

太陽光発電のメーカーでは、自立運転機能付きの設備や機器を製造販売しているので、多くの太陽光発電施工業者で対応してもらえます。

バイオマスなどは地域一体型

水力・地熱・バイオマス発電設備には、太陽光発電と異なり地域一体型という要件が定められています。指定の水力・地熱・バイオマス発電設備は、売電や自家消費などへ活用できます。しかし、非常時には避難所での電源として使用できるよう、準備しなければFIT認定を受けられません。

つまり、地域一体型は、自治体の防災計画と紐づけを基本方針としています。

自治体が水力・地熱・バイオマス発電設備を設置する場合は、自治体の防災計画に組み込める状態なので地域一体型の要件を満たします。

地域活用要件を受けながら全量買取を行うには?

地域活用要件を受けながら全量買取を行うには?

地域活用要件の対象設備を設置する場合は、原則全量買取を選択できません。しかし、ソーラーシェアリングや中古太陽光発電所であれば、全量買取を検討することが可能です。

そこでここでは、出力10kW以上50kWの小規模事業用太陽光発電で全量買取を適用される方法について確認します。

営農型太陽光発電を検討

出力10kW以上50kW未満のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を設置した場合は、自家消費率30%という要件を免除してもらえます。

つまり、発電した電気を全て売電することが可能です。

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、農地に太陽光発電設備を設置し、農業と太陽光発電事業を両立している運用方式を指します。農地転用による太陽光発電設置とは異なるので、混同しないよう注意が必要です。

また、自立運転機能という要件は免除されていませんので、同要件も忘れないよう気を付けてください。

特に農業を行っている方は、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を検討してみてはいかがでしょうか。

一時転用期間は10年間

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を始めるには、農地に太陽光発電を設置するための許可「一時転用」を受ける必要があります。

農地の一時転用手続きによって転用許可を受けた場合は、3年間もしくは10年間太陽光発電事業を行うことが可能です。

一時転用期間10年間の条件を満たすには、認定農業者などが荒廃農地の活用もしくは第2種や第3種農地を活用する必要があります。

なお、一時転用期間3年・10年間を過ぎた場合は、更新など認められていません。

営農型太陽光発電の費用

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、一般的な土地付き太陽光発電や住宅用太陽光発電と異なる部材を使用して、太陽光パネルを設置したりケーブルを固定したりします。

また、設置方法なども異なるため、専門の施工業者へ依頼する必要があります。

そのため、設置費用は一般的な太陽光発電と比較して数10%程度割高な傾向です。たとえば、出力50kWのソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)では、設置費用1,500万円前後かかります。

中古太陽光発電所を検討

農地を所有していない場合は、中古太陽光発電所を検討してみるのもおすすめです。

前半でも少し触れましたが中古太陽光発電所の中には、2020年4月1日以前にFIT認定を受けた設備も存在します。地域活用要件実施前に認定を受けた出力10kW以上50kW未満の中古太陽光発電所を購入した場合は、全量買取を選択できます。

さらに中古太陽光発電所は、2012年や2013年など固定買取価格の高い時期にFIT認定を受けたケースもあります。売電収入を伸ばしやすいのがメリットの1つです。

弊社とくとくファームでは、高い固定買取価格でFIT認定を受けた中古太陽光発電所を多数掲載・紹介しています。会員向けには、非公開物件の情報も優先的にお知らせしますので、ぜひメルマガ会員も検討してみてください。

2022年の再生可能エネルギー関連制度はどうなる?

2022年の再生可能エネルギー関連制度はどうなる?

最後に、2022年以降の再生可能エネルギー関連制度や地域活用要件について確認します。

地域活用要件は引き続き継続

地域活用要件については、2022年も引き続き維持されます。

対象出力は、これまで通り出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電です。(売電を行う太陽光発電)さらに以下2点を厳守としている点も変わりません。

  • 自家消費率30%以上
  • 自立運転機能

出力10kW以上50kW未満以外の太陽光発電は、地域活用要件に含まれません。しかし、今後対象設備が拡大される可能性もあるので、定期的に資源エネルギー庁サイトや太陽光発電施工業者から最新情報を確認してみるのが大切です。

2022年4月にFIP制度が開始

地域活用要件とは異なる制度ですが、太陽光発電投資家に大きくかかわる「FIP制度」についても要注目です。

2022年4月に始まるFIP制度は、市場価格に連動した売電単価に補助収入を上乗せした独自の単価で売電を行う買取制度です。出力1,000W以上の太陽光発電は、FIP制度へ移行される予定です。

また、2022年4月以降に出力50kW以上1,000kW未満の太陽光発電で新規認定を受ける時は、FIT制度とFIP制度を選択できます。

地域活用要件と共に新制度のFIP制度についても理解を深めておくのが、太陽光発電投資を恵贈していく上で重要なポイントです。

2022年以降も地域活用要件を頭に入れて計画を立てること!

2022年以降も地域活用要件を頭に入れて計画を立てること!

地域活用要件は、出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電や一部水力・地熱・バイオマス発電を対象にしたFIT認定に関する要件です。

出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電で新規FIT認定を受けるには、自家消費率30%を維持しながら運転、自立運転機能の搭載などといった要件を満たした上で申請します。

FIT認定を受けたあとは、自家消費分を除く電力のみ売電を始められます。ただし、出力10kW以上50kW未満のソーラーシェアリングで発電した電気は、全て売電することが可能です。

さらに2020年4月以前にFIT認定を受けた出力10kW以上50kW未満の中古太陽光発電所は、引き続き全量買取にて売電を行えます。

地域活用要件は、2022年も引き続き適用されます。

今後出力10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電で売電を行いたい方は、地域活用要件に沿って準備を進めてみてはいかがでしょうか。

弊社とくとくファームでは、地域活用要件の実施以前に新規FIT認定を受けた出力10kW以上50kW未満の中古対象工発電所も多数紹介しております。さらに購入時の契約手続きを始め、税務処理、所有権移転登記手続きといった複雑な手続きも一括対応いたします。

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