太陽光発電所のセカンダリー市場が「追い風」を受けて拡大中
日本国内の太陽光発電所セカンダリー市場は2017年時点で300MW規模でした。それが毎年のように拡大を続け、2020年には970MW、そして2021年終了時点では1,210MW規模になるとの予測を、シンクタンク大手の矢野経済研究所が発表しています。
しかもこの市場規模の拡大で象徴的なのは、売り手による供給よりも買い手の需要が上回っていることです。新規に太陽光発電所を設置して太陽光発電ビジネスに参入するよりも既存の発電所を購入した方が確実性が高く、また新規設置を取り巻く不確実性の影響を受けにくいということも人気を後押ししています。
太陽光発電所の新規設置における不確実性とは、環境問題や周辺とのトラブルなどのことです。大規模な太陽光発電所(メガソーラー)を設置する際に山林を伐採することをNOとする動きが見られているのは周知のとおりで、「環境に優しい」といわれる太陽光発電であっても設置の方法や場所によってその地域の環境を破壊してしまう恐れがあることは、これからの環境ビジネスを考えるうえで知っておく必要があるでしょう。
セカンダリー市場ではすでに稼働している発電所が売買されているため、新規設置時に起きる可能性がある不確実性のリスクはありません。しかも少なくとも数年以上稼働しているのであれば、その発電所が環境負荷をかけていないこと、周辺とのトラブルを起こしていないことを確認したうえで購入できるため、とても低リスクです。こうしたポイントは、セカンダリー市場にとって「追い風」となっています。
また、ESG投資に対する世界的な流れも見逃せません。ESG投資とは環境、社会、そして企業統治に考慮したビジネス、企業を投資対象とする考え方で、これからの世界経済において常識となりうる概念です。このESG投資にマッチした企業活動をするために太陽光発電所運営に乗り出す企業は多いのですが、そのために環境破壊を起こしてしまったり、周辺とのトラブルを起こしてしまっては本末転倒です。太陽光発電所を設置するために環境を破壊することは「E(環境)」を満たさないことになり、さらに周辺とのトラブルを引き起こすことは「S(社会)」との兼ね合いがうまくいっていない企業ということになってしまいます。
では、すでに太陽光発電所を所有している投資家は、現在の動きをどう考えるべきでしょうか。売り手市場になっているうちに売却してしまうのも、ひとつの選択肢です。特にFIT価格が高い頃に稼働を開始した発電所をお持ちの方には、高値で買いたいというオファーがすでに来ているかもしれません。FITは20年で終わってしまうので、残存期間の収益力と売却価格を天秤にかけて売却価格のほうが高いと判断できるのであれば、今の時点で売却の優位性が高くなります。
和上ホールディングスの「とくとくファーム」では、既存の太陽光発電所売買案件を取り扱っており、主に投資家の方々のマッチングを行っています。太陽光発電所を売りたい方、買いたい方はぜひ一度チェックしてみてください。
買ってはいけない太陽光発電所の3大特徴
太陽光発電のセカンダリー市場が拡大を続けています。すでに実績が確認できる発電所だけに投資家にとっての安心感も大きく、発電所売買をあっせんするサービスも続々と登場しています。
これまで環境ビジネスや太陽光発電の投資案件を売買、所有したことがない方にとって、発電所の選び方は重要な問題です。太陽光発電はそもそもイメージが良いため、何を買っても良いといった印象を持っている方も多いのですが、実際のところ、そうとも言えない部分があります。
そこで今回は、「買ってはいけない太陽光発電所」の特徴を3つに分けて解説します。
太陽光発電所が理想的な再生可能エネルギーであることに疑いはないのですが、その存在が周辺環境とうまく折り合っていないケースがあります。特に近年各地でトラブルを起こしているのが、反射光の問題です。
太陽光パネルに直射日光が当たり、それが反射して近隣の住宅に当たってしまったりすることで住民から苦情が出ており、太陽光発電所そのものが迷惑施設になってしまっている場合があります。
その他にも雑草が生い茂ってしまい、それが原因で近隣にまで雑草や害虫などが発生する原因になっているのも、農村部では問題になりがちです。反射光とちがってメンテナンスによって解決できる問題ですが、やはり避けたほうが無難でしょう。
2つめに注意したいのは、発電所が設置されている地盤の問題です。最近、水害時に太陽光発電所が被害を受けている映像を見ることが多くなりました。それだけ各地に太陽光発電所が増えたことの表れでもあるのですが、地盤が脆弱であったり不安定な傾斜地に太陽光パネルを設置している場合、さらには造成工事に手抜きがあったり技術不足でしっかりと造成されていない場合など、こうした発電所はそもそも存在が危ういので、絶対的に避ける必要があります。
こうした問題は事前の下見や、信頼できるセカンダリー市場を選ぶなどによって回避できますが、素人だけの判断では分からない部分もあるので、必ず専門家に介在してもらうようにしましょう。
そして3つめは、FITの残存期間です。売りに出されている発電所には必ずFITの買取単価が表示されています。この単価が高いほど売電収入は多くなりますが、買取価格は年々下落しているため、単価が高いほど古い発電所(つまりFITの残存期間が短い)ことになります。せっかく高単価で高い利回りが実現したとしても、それが数年で終わってしまっては意味がありません。
安易に買取価格が高いことだけで発電所を選ばず、トータルの収入と照らし合わせて検討することが重要です。
このように発電所選びについて3つのポイントを解説しました。「とくとくファーム」ではもちろん、こうした問題のある発電所を取り扱うことはありませんし、自社によるチェック体制を充実させることによって安心してお取引をいただけるように努めています。
購入を検討している発電所についての診断やサポートも行っていますので、優良な発電所選びにお役立てください。