SDGs融資とは?太陽光発電へ活用できるか解説

SDGs融資とは?太陽光発電へ活用できるか解説

近年、テレビやインターネット、SNSなどでも目にするSDGsは、再生可能エネルギー事業を検討・展開している企業にも関連しています。SDGs融資は、SDGsに取り組む企業向けの融資枠で、太陽光発電など特定の事業であれば融資を受けられるのが特徴です。しかし、新しい制度ということもあり、具体的な条件や事例について把握しきれていない企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、SDGs融資の概要や特徴、事例について分かりやすくご紹介します。太陽光発電事業のために資金調達を行いたい方やSDGs融資という制度に関心を持っている方などは、参考にしてみてください。

SDGs融資とは?

まずは、SDGs融資の仕組みや特徴について1つずつ確認していきます。

SDGs事業に取り組む場合に受けられる融資

SDGs融資とは、SDGsに取り組んでいる企業が受けられる融資のことです。

海外の企業は、環境や社会に問題のあるとみなされる事業に取り組んでいると、金融機関から融資を止められているケースもあります。一方、再生可能エネルギーなどSDGsに関する事業を展開していると、SDGs融資という融資を受けられるケースが増えています。

国内でも大手金融機関がSDGs融資を取り扱い始めていて、融資や私募債などの発行を行っています。(私募債:一般的な融資と異なり少数の投資家が引き受けている社債)

太陽光発電投資をはじめとしたSDGs関連事業を展開している法人や個人事業主は、SDGs融資の申請を行うことが可能です。

一般的な融資より金利が低い傾向

SDGs融資の主な特徴は、SDGs関連事業を対象にした融資という点に加えて、低金利という点も挙げられます。

SDGs融資は、金利は通常の事業用融資から1.0%~2.0%程度引き下げられています。たとえば、仙台銀行のみやぎ環境応援ローンは、「環境関連分野の外部認証を取得している事業所等」や「地球環境保全につながる投資を行う事業所等」に該当している企業が受けられる融資で、通常の事業用融資から金利1.0%引き下げられています。

太陽光発電やメガソーラーを設置している企業は、SDGs融資の強みを活かしながら資金調達を検討してみるのも大切です。

金融機関や自治体でそれぞれ独自に制度を確立

国内でSDGs融資や私募債を発行しているのは、メガバンクや地方銀行、信用金庫、自治体などです。

さらに各金融機関や自治体で取り扱っているSDGs融資は、それぞれ独自に設計・販売されているのが大きな特徴です。そのため、以下のような項目が、SDGs融資によって異なります。

  • 融資期間
  • 金利の引き下げ率
  • 融資の対象事業
  • 事業歴
  • 融資の上限額

これからSDGs融資の比較検討を行う時は、融資期間や上限額などの項目を1つずつ確認し、自社に合っているか、申請しやすいかどうか判断するのも大切です。

SDGs融資へ申し込むには

ここからは、SDGs融資の申し込み方法や流れについて確認していきます。今回は、江戸川区のSDGs融資を例に説明します。

SDGs融資枠を設定している金融機関へ相談

金融機関や自治体で取り扱っているSDGs融資を比較検討し、融資を受けたい商品が決まった場合は、取扱い元の金融機関へ相談を行ったり内容を確認したりしておきます。

たとえば、東京都江戸川区のSDGs活動企業支援融資では、同区の中小企業相談室で必要書類のチェックや相談を受け付けています。また、融資の対象者は、法人と個人、NPO法人の3種類です。

SDGs融資によって対象事業者は異なるので、申請可能かどうか確認しておくのも重要です。

必要書類の提出

SDGs融資の申請が可能な場合は、申請書類に必要事項を記入し、金融機関もしくは自治体へ提出します。

江戸川区で実施しているSDGs活動企業支援融資では、事業形態に関わらずSDGs活動宣言書とSDGs活動企業に関する評価書という書類の準備が求められています。同書類は、江戸川区のHPからダウンロードできます。

その他必要書類は、法人や個人によって異なる点に注意が必要です。

法人の場合は、江戸川区中小企業振興事業資金融資申込書や利子補給金申請等委任状、法人税納税証明書、法人都民税納税証明書などといった書類の準備と必要事項の記入が求められます。

なお、一般的には、印鑑証明書や法人税納税証明書など、通常の融資で必要とされる書類を用意します。

審査に通過できれば資金調達可能

SDGs融資の申請に必要な書類を提出したあとは、融資元の金融機関もしくは自治体で内容を確認し、審査手続きを進めてもらいます。

SDGs融資の審査に通過できた場合は、指定の金額を資金調達できる仕組みです。

資金の交付時期については、各SDGs融資によって異なります。

なお、江戸川区のSDGs活動企業支援融資は、区のSDGs推進センターや担当者による書類チェックや審査が行われます。また、内容によっては、区の担当者によるヒアリングや事業所への訪問が行われる場合もあるようです。

申請の際は、ヒアリングや事業所訪問に備えて、想定される質問や疑問点に対してスムーズに回答できるよう内容をまとめておくのもおすすめです。

一般的にSDGs関連事業の取り組みについて報告やHPでの公開

SDGs融資によって資金調達できた時は、一般的に資金の使い方やSDGsの取り組み状況などを定期的に融資元へ報告する必要があります。

江戸川区のSDGs活動企業支援融資を利用する場合は、融資実行後1年に1回、決算終了後にSDGsに関する取り組みについて江戸川区へ報告する必要があります。さらに報告した内容は、江戸川区のHPへ公開されます。

SDGs融資を行う時は、融資実行後の報告義務やHPへの内容公開についても理解した上で判断するのが重要です。

SDGs融資の注意点

SDGs融資の流れを把握したあとは、注意点について確認しておきます。

SDGs融資は、通常の事業用融資より低金利という点や長期間の融資を望める点など、いくつかのメリットがあります。しかし、いくつか注意点もあるため、慎重に見極める必要があります。

それでは、SDGs融資の注意点について確認していきます。

必ずしも0金利ではない

SDGs融資は、一般の融資より金利が引き下げられているものの、原則0金利というわけではありません。また、融資なので返済する必要があります。

たとえば、江戸川区実施のSDGs活動企業支援融資制度は、融資上限額2,500万円、年利2.0%以内という内容です。さらに利子補給があるので、金利の事業者負担を0.5%に抑えてもらえます。

利子補給とは、金利負担を金融機関や自治体側で負担してもらえる制度のことです。内容によっては、実質無利子としてもらえるケースもあります。

SDGs融資の内容を確認するときは、返済計画を立てることと金利負担や利子補給の有無について把握しておくのも注意点の1つです。

一般的な融資と同様に審査あり

SDGs融資は、一般的な融資と同じく審査期間および審査が設けられています。

SDGs融資を実施している金融機関や自治体は、事業者が本当にSDGsに関する事業や取り組みを行っているか、融資の必要な状況か、要件に該当しているかといった点を1つずつ確認しています。そのため、一定の審査期間が設けられていますし、結果の通知や連絡をもらうまで待つ必要があります。

SDGs融資の事例

最後は、SDGs融資の主な事例について紹介します。

三井住友銀行のSDGs融資

三井住友銀行では、「ポジティブ・インパクト金融原則適合型ESG/SDGs評価資金調達」などのSDGs融資に関する商品を提供しています。

「ポジティブ・インパクト金融原則適合型ESG/SDGs評価資金調達」は融資商品の1つで、三井住友銀行と株式会社日本総合研究所によるSDGs関連事業の分析、アドバイスを受けられるのが特徴です。

他には「SDGsグリーン/ソーシャル/サステナビリティローン」という環境および社会課題に対するローンがあります。主な特徴は、資金用途が環境や社会課題に関する事業に特化していて、国際資本市場協会(ICMA)の指標に沿って融資の審査を受けます。

それぞれの融資限度額や融資期間などについては、HPにて明記されていません。

三井住友銀行は法人向けのSDGs融資商品を複数取り扱っているので、太陽光発電事業を展開している企業にとっても検討しがいのある金融機関です。

りそなホールディングスのSDGs融資

りそなホールディングスの子会社、関西みらいフィナンシャルグループのみなと銀行では、「タッグ(SDGs版)」というSDGs融資の取り扱いを始めています。

以下3点を満たした事業者は、「タッグ(SDGs版)」の対象事業者として定められています。

  • SDGs目標を設定している事業者
  • 兵庫県信用保証協会の保証承諾を得ている
  • みらい銀行が「タッグ(SDGs版)」の利用を認めた事業者

資金の用途は、SDGs達成に向けた取り組みに関する運転資金もしくは設備資金のみに限られています。融資に関する基本情報については、融資期間最長15年間で、元金均等分割返済方式と定められています。

「タッグ(SDGs版)」のメリットは、通常の融資商品「タッグ」より保証料率平均20%割り、特約金利の設定などといった点です。特約金利は、SDGsの目標達成の際に適用してもらえます。

横浜市で提供しているSDGs融資

横浜市では、脱炭素社会に関連する事業向け融資、「SDGsよこはま資金」という制度を提供しています。

「SDGsよこはま資金」は、以下5点のうちいずれか1つに該当していれば申請できるのが特徴です。

  • 再生可能エネルギーシステムの設置や省エネルギー改修・機器の導入など
  • 「地球温暖化対策計画書制度」に沿って横浜市に提出した計画の達成に必要な設備投資を行う事業者
  • 九都県市指定低公害車の新車を購入する
  • ISO14000シリーズ、エコアクション21、エコステージ、KESもしくはグリーン経営認証取得済み、これから取得する方
  • 水道メーターの口径が縮径となる給水装置工事を行う事業者

融資上限額は2億8,000万円で、組合であれば4億8,000万円です。金利は融資期間によって変わります。たとえば、15年を超え20年以内であれば年利2.0%ですし、1年以内の場合は0.9%以内とされています。

太陽光発電事業に取り組む法人は、「SDGsよこはま資金」を太陽光発電設備の導入費用へ充てることが可能です。横浜市で太陽光発電事業を展開したい・している法人は、横浜市の中小企業融資制度を検討してみてはいかがでしょうか。

太陽光発電事業へ取り組む場合はSDGs融資を利用可能な場合もある!

SDGs融資は、SDGsに含まれるもしくは関連している事業や社会活動を対象にした融資商品・融資制度です。太陽光発電を事業として展開している法人は、太陽光発電所の設備や設置、改修に必要な資金をSDGs融資で調達できます。

太陽光発電事業の資金調達方法を調べている方や低金利でかつ太陽光発電にも活用可能な融資商品を探している方は、今回の記事を参考にSDGs融資を検討してみてはいかがでしょうか。

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