太陽光発電の事業計画とは?申請の流れや審査項目を分かりやすく解説

太陽光発電の事業計画とは?申請の流れや審査項目を分かりやすく解説

太陽光発電で発電した電気を電力会社へ売るには、事前に事業計画認定の申請およびFIT認定を受ける必要があります。しかし、初めて太陽光発電事業を行う法人や個人の中には、事業計画策定ガイドラインの内容、申請方法についてよく分からず悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、太陽光発電の事業計画に関する内容や流れ、改正されたポイントについて分かりやすくご紹介します。太陽光発電事業に関心を持ち始めた方や太陽光発電投資で売電収入を得たい方などは、参考にしてみてください。

太陽光発電の事業計画とはどのようなもの?

太陽光発電の事業計画とはどのようなもの?

FIT制度の認定受けるには、太陽光発電設備の設置に関する申請手続きに加えて、事業計画の策定と申請を行う必要があります。新規設備や中古太陽光発電で売電事業を行う際は必要な手続きなので、事前に把握しておくのも大切です。

それでは、太陽光発電の事業計画について概要を確認していきます。

国からFIT制度を活用した売電を認めてもらう手続き

太陽光発電における事業計画は、国および経済産業省からFIT制度に沿った売電を認めてもらうための手続きです。

FIT制度(Feed-in Tariff)とは、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーで発電された電気の固定買取に関する公的な制度のことです。たとえば、2022年度中に出力10kW以上50kW未満の太陽光発電でFIT制度の認定を受けた場合、1kWhにつき11円の固定単価で20年間売電し続けることができます。

そして、FIT制度の活用には経済産業省からの認定が必要で、さまざまな要件(条件)をクリアしなければいけません。事業計画認定に沿った申請手続きは認定に必要なもので、複数の基準を満たしておく必要があります。

2017年と2020年に法改正された

事業計画を認定基準とする現在のFIT制度は、2017年と2020年の法改正によって定められました。2012年に定められたFIT制度の認定基準は、太陽光発電設備の発電性能や効率、指定の要件を満たした設備状態かどうかによって決められていました。

しかし、太陽発電設備の設置数および電力の買取額が急増したため、再生可能エネルギー賦課金も増加していきました。電力会社は、FIT制度によって定められた電力の買取義務があり、買取にかかるコストの一部を再生可能エネルギー賦課金として国民の電気料金へ上乗せしています。

太陽光発電の設置数急増は、国民の電気料金負担増加につながってしまいます。

そこで国では、2017年に法改正を行い、太陽光発電のFIT認定に関する審査基準を厳しくしました。審査基準の厳格化によって定められた要件が、事業計画の策定と申請です。

さらに2020年の法改正では、出力10kW以上50kW未満の認定に関して地域活用要件という項目が追加されました。それぞれのポイントについては、後半で詳しく紹介します。

電子申請サイトから手続きを進められる

事業計画認定の申請手続きは、資源エネルギー庁の再生可能エネルギー電子申請サイトから進めることが可能です。

再生可能エネルギー電子申請サイトは、FIT制度の認定申請手続きや変更手続き、設備の廃止や事業譲渡などといった手続きに対応しています。

これから太陽光発電の売電事業を行う方は、設備の購入・設置工事に関する流れだけでなく申請手続きに必要な再生可能エネルギー電子申請サイトの使い方についても把握しておくのが大切です。

太陽光発電の事業計画に関する流れ

太陽光発電の事業計画に関する流れ

FIT制度を活用した太陽光発電の売電事業を行うには、事業計画の認定申請が必要です。続いては、太陽光発電の事業計画に関する流れを紹介します。

電子申請サイトから新規登録手続き

事業計画の手続きを始めるには、まず再生可能エネルギー電子申請サイトへアクセスし、新規登録手続きを行う必要があります。

再生可能エネルギー電子申請サイトへアクセスしたあとは、新規登録ボタンを押して、個人や法人どちらか選択したのち、必要事項を入力していく流れです。

個人の場合は、主に以下の情報を入力します。

  • 氏名
  • 住所
  • 電話番号
  • メールアドレス

法人の場合は、代表者の氏名などを入力していきます。

  • 代表者名
  • 代表の電話番号
  • 担当者の指名
  • 担当者の連絡先
  • メールアドレス

仮登録手続きが完了した場合は、登録メールアドレス宛てに登録確認メールが届きます。あとは、メール内に貼られたリンクURLへアクセスし、パスワードの変更・登録を行うことで本登録完了です。

電子申請サイトから必要事項の入力

新規登録完了後は、ログインしたのち新規申請手続きを始めます。新規申請画面では、再生可能エネルギー設備の種類や出力を選択します。また、個人での申請か法人なのか選択する必要があります。

必要事項に記載されている主な内容は以下の通りです。

  • 事業者の住所
  • 法人であれば法人番号
  • 設備の出力
  • 事業区域の面積
  • 太陽光発電の設置状況(屋根設置、地上設置)
  • 太陽光発電の設置形態(これから設置するのか、既に設置されているかなど)
  • 太陽光パネルの型式番号
  • 太陽光パネル1枚あたりの出力
  • 配線方法
  • 蓄電池の有無
  • 電気供給量の計測方法
  • 接続契約の締結日

必要事項の入力内容は、出力10kW未満、出力10kW以上50kW未満、出力50kW以上で異なる部分もあります。手続きの際は、再生可能エネルギー電子申請サイトのPDFマニュアルで、各出力の必要事項を確認するのが大切です。

必要書類のデータをアップロード

必要事項の入力後は、添付書類のアップロードもしくは郵送を行います。

出力10kW未満の太陽光発電を所有している場合は、申請に伴い以下の書類を提出します。

  • 土地の取得を証明する書類(登記簿謄本などの書類)
  • 建物の取得を証明する書類(登記簿謄本などの書類)
  • 太陽光発電の構造図
  • 太陽光発電の配線図
  • 接続の同意を証明する書類

また、地上設置型の太陽光発電では、柵塀の誓約書も必要です。

出力10kW以上50kW未満と出力50kW以上の太陽光発電の太陽光発電では、出力10kW未満で必要な書類に加えて、パワーコンディショナーの仕様書、戸籍抄本、事業実施体制図などの書類も求められています。

代行申請サービスを利用している時は、事業者の委任状や印鑑証明書も提出する必要があります。

必要書類を用意したあとは、書類を撮影したのち電子申請サイトへアップロードします。

なお、出力50kW以上の太陽光発電で認定を受ける場合は、必要事項を入力したページを印刷し、管轄の経済産業局へ郵送にて提出する必要があります。

出力によって必要事項や必要書類、提出方法に違いがあるので、事前にマニュアルを確認しておくのも重要です。

承諾コードの入力

入力手続きの次は、承諾コードの入力を行う必要があります。

必要事項の入力や必要書類のアップロードを行った場合は、登録メールアドレス宛てにメールが送付されます。メールには、ログインIDや申請ID、承諾コードなどが記載されています。

あとは、再生可能エネルギー電子申請サイトから申請IDを入力し、申請内容を確認したのち、問題がなければ承諾コードを入力して手続き完了です。

申請手続きから認定までは、一般的に3か月程度かかります。また、認定を受けてから3年以内に運転を開始しないと認定を取り消されるので、早めに設備の設置を行っておくのが大切です。

太陽光発電の事業計画策定ガイドラインには何がある?

太陽光発電の事業計画策定ガイドラインには何がある?

ここからは、太陽光発電の事業計画で求められる項目について紹介します。

設備に関する審査項目

太陽光発電の事業計画で定められている主な審査項目は、以下の通りです。

保証やメンテナンス体制を確保した上での発電 固定買取期間中、太陽光発電の保証サービスを受けたりメンテナンスサポートを利用したりしていること
売電量の適切な計測環境 法令に沿った売電メーターを設置し、適切に計測できる環境であること
発電設備の仕様を特定できている 太陽光パネルやパワーコンディショナー、架台、接続部品、配線類などのメーカーや型番を特定できていること
変換効率 太陽電池の種類によって定められた変換効率以上の太陽光パネルを設置していること

事業計画の認定基準では、基準以上の変換効率を持つ太陽光パネルの設置や各種機器類の型番やメーカーを把握していること、保守点検環境の確立など、さまざまな点からチェックされます。

2017年の改正FIT法で追加された項目

2017年の法改正で追加された事業計画に関する認定基準や認定後に求められる取り組みや考え方ついては、以下の通りです。

固定買取期間中の発電計画 事業計画の申請時は、固定買取期間中の発電計画について明確に定めておく必要があります
太陽光発電設備の維持に必要なメンテナンスや維持管理に関する取り組み 太陽光発電設備を正常に稼働させるため、定期的なメンテナンスや維持管理に関する取り組みが求められます
地域住民に分かりやすい標識の設置 太陽光発電の設置場所および事業内容を地域住民にも理解してもらえるよう、事業者名などが記載された標識の設置を行うこと
廃棄計画について定める 事業計画認定では、太陽光発電設備の廃棄計画についても明確に定めおく必要があります
FIT認定取得から3年以内の運転開始 FIT認定を受けたあとは、認定取得から3年以内に太陽光発電を稼働させる必要があります
太陽光発電に関する法令遵守 太陽光発電事業を行うにあたって、条例や関係法令の規定を遵守することが求められます
事業計画認定時点で接続契約の同意 法改正以降、事業計画の認定を受ける時点で電力会社との接続契約同意を済ませておかなければいけません

事業計画認定の審査基準で重視されているポイントは、長期的な事業計画の作成と設備の適切な管理方法、地域住民への丁寧な対応(標識設置など)、廃棄計画の作成といったところです。

つまり、太陽光発電をどのように活用していくのか明確に示す必要があります。

2020年の法改正で地域活用要件が追加された

2020年の法改正では、出力10kW以上50kW未満の太陽光発電に対して、地域活用要件という認定要件が追加されました。

地域活用要件で示されているポイントは、自家消費の割合と自立運転機能の搭載です。

地域活用要件に該当する太陽光発電でFIT認定を受けるには、発電した電気のうち自家消費できる電気を全体の30%以上確保しておく必要があります。つまり、出力10kW以上50kW未満の太陽光発電を設置した場合の買取方式は、余剰買取です。

また、自立運転機能を導入しておかなければいけないため、自立運転機能付きパワーコンディショナーの導入が、FIT認定において必要です。

出力10kW以上50kW未満の太陽光発電を設置する方は、事業計画に関する要件だけでなく地域活用要件と買取方式のルール変更について把握しておくことをおすすめします。

太陽光発電の事業計画に関する注意点

太陽光発電の事業計画に関する注意点

最後は、太陽光発電の事業計画を策定したり申請手続きを行ったりする上で気を付けておくべきポイントを紹介します。

認定取得前に電力会社との接続契約が必要

FIT認定で注意すべきポイントの1つは、電力会社との接続契約同意です。法改正後の要件には、FIT認定の申請を行う段階で接続契約の同意も必要とされています。

電力会社へ売電したり電気を購入したりするには、接続契約の同意を行っておく必要があります。

法改正前の認定要件では、認定申請時点での接続契約について定められていませんでした。しかし、法改正後は、申請時点で接続契約済みでなければいけないため、改正前と要件に大きな違いがあります。

FIT認定を受ける予定のある方は、接続契約を早めに進めておくのが大切です。

認定までに時間がかかる

事業計画認定には、通常3か月程度かかります。また、出力数100kW以上の太陽光発電では、認定までに1年かかることもあるようです。

太陽光発電事業を始める時は、早めに電力会社と接続契約したり申請に必要な書類の用意を済ませておいたりするのが大切です。

さらにFIT認定を受けたからといって、のんびりと設備の設置工事を進めないよう注意が必要です。

事業計画認定の要件には、FIT認定取得から3年以内に太陽光発電の運転を開始しなければいけないというルールも定められているからです。万が一、FIT認定取得から運転開始まで3年を超えてしまった場合は、認定を取り消されてしまいます。

太陽光発電に関するトラブルを少しでも抑えるには、早めの準備と太陽光発電設置を意識しておくべきです。

太陽光発電事業を展開するには事業計画の認定が必要!

太陽光発電事業を展開するには事業計画の認定が必要!

FIT制度を活用しながら太陽光発電事業を始めるには、事業計画の認定を受ける必要があります。事業計画の申請手続きは、再生可能エネルギー電子申請サイトで進められます。また、申請にあたっては、必要事項の入力だけでなく土地や建物の登記謄本などといった書類の画像アップロードもしくは写しの郵送が必要です。

太陽光発電事業に重要な事業計画認定について分からない方や太陽光発電で売電収入を得たい方は、今回の記事を参考に事業計画認定について確認と準備を進めてみてはいかがでしょうか。

弊社とくとくファームは、中古太陽光発電所の売買仲介をはじめ、保守点検サービスや無料の税務処理サービスを提供しています。中古太陽光発電所は、新規設置と異なり所有権や名義人の変更手続きで、所有権を取得できます。また、過去に稼働されているので、既にFIT認定取得済みです。

中古太陽光発電所は、FIT認定にかかる手間を省きたい方にも導入しやすい設備ですし、高い固定買取単価を期待できます。太陽光発電事業をスピーディに進めたい方は、弊社Webフォームよりぜひ1度ご相談ください。

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