経済産業省は、2022年2月にGXリーグという新たな制度設立について発表しました。GXは、カーボンニュートラルに関する取り組みの発展形で、太陽光発電事業をてがける企業にも関連性のある分野です。しかし、新しい用語および取り組みのため、まだよく分からず対応していないという再生可能エネルギー関連企業も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、GXリーグの意味や概要、企業との関連性について分かりやすくご紹介します。自社の太陽光発電事業を発展させたい企業やカーボンニュートラルなどに関心を持つ企業などは、参考にしてみてください。
GXとは何?
GXはグリーントランスフォーメーションの略称で、経済社会システム全体の変革を目的とした成長戦略および取り組みを指しています。以前は、カーボンニュートラル・トップリーグという仮称でした。
日本は、2050年までに温室効果ガス0を目標としていて、脱炭素化やカーボンニュートラルを含む経済社会システム全体の変革を目指しています。(カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出量と同等の除去量を実現した状態)
温室効果ガス0を実現するには、非化石燃料や脱炭素ガスを活用した新しい産業構造の構築を行う必要があります。
そこで経済産業省では経済成長と環境保護の両立=経済社会システム全体の変革を実現するために、GXという成長戦略を提唱しました。GXは、政府だけでなく民間企業にとっても関連性の高い取り組みなので、太陽光発電事業を検討している法人や太陽光発電を活用したビジネスを検討している法人にも注目です。
GXリーグとは?
GXの基本的な意味を把握したあとは、GXの実践的な場となるGXリーグという構想について確認していきます。GXリーグは、2022年2月に経済産業省から提唱されたもので、GXに関する具体的な取り組みや目標について明記されているのが特徴です。
続いては、GXリーグに明記されている取り組みや目標、特徴について分かりやすく解説していきます。
経済社会システムの変革を行うための制度
2022年2月に経済産業省から提唱されたGXリーグは、GXの目的「経済社会システムの変革」を実現および国際的な競争力を高めるための具体的な構想を指します。
GXリーグへ参画する企業は、産官学と共に経済社会システムの変革を行うための議論や実践などを行うことができます。(産官学:大学などの研究機関、自治体、政府の総称)
太陽光発電所を運用している企業は、新たな太陽光発電関連事業の創出や太陽光発電市場の成長へ向けた取り組みや議論なども可能ということです。
なお、GXリーグを設立した経済産業省は、義務的な制度ではなく企業自らが積極的に参画してくれる制度作りを意識しています。そのため、企業は、GXリーグへ必ず参画しなければいけないというルールや義務もありません。
企業だけでなく生活者の行動変容も検討されている
GXリーグには、企業だけでなく生活者の行動・意識変容および循環についても明記されています。
分かりやすく説明すると、GXリーグへ参画した企業の行動や意識によって生活者(消費者)のライフスタイル、環境や社会に対する意識も変わり、循環型社会の構築につながるという考え方が、GXリーグに定められています。
また、産官学は、生活者の行動・意識変容につながる教育や情報発信、環境へ配慮された行動に対する価値の提供などといったサポートを行っていくようです。
生活者の行動変容や意識変容は、太陽光発電事業を展開している企業にとってもメリットのある考え方です。今後、太陽光発電由来のエネルギー需要が高まれば、太陽光発電市場の成長を期待することができますし、新たな太陽光発電関連事業の創出につながります。
GXリーグでは3つの取り組みを発表
GXリーグは、参画企業や産官学を集めたのち3つの取り組みを行う予定です。
- 未来社会像対話の場
- 市場ルール形成の場
- 自主的な排出量取引の場
「440社の「GXリーグ賛同企業」と共に、カーボンニュートラルに向けた社会変革と新たな市場創造の取組を進めます!」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220401001/20220401001.html)を加工して作成
未来社会像対話の場とは、2050年のカーボンニュートラルおよびサスティナブル(持続可能)実現に向けた議論や創造の場という意味のことです。つまり、持続可能な社会やカーボンニュートラルな産業を創るための議論、テストの場が、GXリーグに設けられます。
市場ルール形成の場は、GX市場のルール作りに関する議論の場が設けられるということです。カーボンニュートラルや脱炭素化に関する市場は発展途上で、適切な規制やルール作りなどが行われていません。そこで今後は、GXリーグ内で作成される予定です。
自主的な排出量取引の場は、参画企業の掲げた二酸化炭素排出削減目標を達成するための排出量取引を行う場を指します。排出量取引とは、非FIT型太陽光発電などで取引されているJ-クレジットなどのことで、カーボン・クレジット市場で取引される予定です。非化石燃料で作られたエネルギーを示す証明書発行は、再生可能エネルギーの活用促進およびカーボンニュートラルにつながります。
太陽光発電事業を展開している企業にとっては、売電だけでなく排出量取引によっても利益を得られるのがメリットです。
GXリーグにおける参画企業群とは
GXリーグの参画企業群は3種類に分かれていて、それぞれ役割が異なります。
以下に3種類の役割を紹介します。
GX実践企業 | ・2050年のカーボンニュートラルに向けた活動の実施 ・GX推進金融へ活動の情報発信 ・イノベーション創出企業へ優先的にエネルギーなどの調達 |
GX推進金融 | ・GXを推進企業、イノベーション創出企業へ投資 |
イノベーション創出企業 | ・2050年のカーボンニュートラルにつながるイノベーション創出 ・GX推進金融へ情報開示など ・GX推進企業へ技術提供 |
カーボンニュートラルを実現するには、参画企業同士で連携・協力しながら社会システムの変革へ向けた動きを続ける必要があります。そこでGXリーグは、GX参画企業同士で連携できるような構想も考えられています。
太陽光発電事業は脱炭素化やカーボンニュートラルにつながるため、GX推進企業に当てはまります。
GXリーグの賛同企業
2022年4月1日時点で440社が、GXリーグへ賛同および表明しています。業種はさまざまで、電力やガスといったエネルギー企業も含まれており、賛同企業の一覧は、GXリーグ設立準備公式WEBサイトより公開されています。
今後は、賛同企業や産官学でGXリーグの本格的な稼働へ向けた議論が進む予定です。GXリーグの本格稼働は2023年度に始まります。
GXリーグ基本構想の募集は、2022年3月31日に締め切られました。また、2022年4月時点で追加募集の発表などはありません。追加募集される際は、経済産業省のHPより公開されるようです。
GXリーグ参画した場合に求められるもの
GXリーグへ参画した場合は、主に3つの取り組みについて求められます。それでは、GXリーグへ参画した場合に求められる取り組みを確認していきます。
エネルギー排出削減
GX参画企業は、温室効果ガスの削減および2050年のカーボンニュートラルに賛同し、削減目標の設定と達成に向けた計画を立てる必要があります。また、削減目標の進捗状況は毎年公表した上で、カーボンニュートラル実現に向けた努力を継続していくという必須項目が定められています。
太陽光発電を導入している企業や太陽光発電事業を展開している企業は、発電効率アップや太陽光パネルの設置枚数増加などで対応可能な取り組みです。
サプライチェーン全体のカーボンニュートラルに向けた取り組み
GX参画企業は、サプライチェーンの上流事業者と下流の消費者や生活者(需要家)に対して、さまざまな取り組みや付加価値の提供が必要です。
サプライチェーンの上流事業者に対しては、2050年のカーボンニュートラルに向けた取り組みの支援を行うよう定められています。一方、下流の需要家や生活者(消費者)に対しては、自社製品やサービスのCFP表示やその他環境へ配慮された取り組みを伝えて、環境や脱炭素などの意識向上へつなげていきます。
太陽光発電を設置している企業の場合は、取引先や消費者に対して太陽光発電の設置状況や発電した電気の活用方法を伝える方法も考えられます。
自社の製品やサービスを通じて市場のグリーン化を目指す
GX参画企業は、生活者や教育機関などとの対話を自社の経営に活かしたりイノベーション創出へ向けた取り組みを継続したりといった行動も求められています。また、イノベーション創出を通じたグリーン市場の拡大を図ることが、必須要件として定められています。
太陽光発電を設置運用している企業は、単に発電や売電を行うだけでなく、地域住民や教育機関との対話や連携、イノベーション創出へつながる取り組みも大切です。
太陽光発電事業に取り組む場合はGXリーグへの理解や参画も重要
GXリーグは、脱炭素化やカーボンニュートラルを含む経済社会システム全体の変革の取り組みに関する基本構想です。さまざまな要件が定められていて、2023年度の本格稼働を目指した準備なども進められています。
太陽光発電はGXリーグと相性のよいエネルギーで、太陽光発電市場の成長につながる可能性もあります。
太陽光発電の設置を検討している企業やGXなどの新たな制度や考え方に沿った経営を考えている方は、今回の記事を参考にGXリーグについて調べたり太陽光発電の事業展開を検討したりしてみてはいかがでしょうか。
弊社とくとくファームは、中古太陽光発電所の売買仲介やアフターフォローサービスまで対応しています。無料の個別セミナーは、太陽光発電物件や太陽光発電市場などに関するあらゆる疑問や相談にお応えしています。
GXリーグとの相性が良い太陽光発電の運用を検討している時は、ぜひ1度お問い合わせください。