カーボンプライシングとは何?仕組みや目的を紹介

カーボンプライシングとは何?仕組みや目的を紹介

企業にとって脱炭素経営やSDGsなどの新しい概念や取り組みを導入することは、事業拡大や企業価値アップに重要なポイントです。中でもカーボンプライシングは、今後日本でも議論が深まったり、企業に求められたりする可能性のある枠組みです。しかし、日本では認知度の低い用語でもあるため、よく分からないという事業者も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、カーボンプライシングの意味や仕組み、目的や日本とのかかわりについて分かりやすくご紹介します。カーボンプライシングについて調べ始めたもののよく分からず悩んでいる方や企業に影響のある環境関連制度を把握しておきたい方は、参考にしてみてください。

カーボンプライシングとは?

二酸化炭素の排出量に価格をつける仕組みのことです。まずは、カーボンプライシングの概要について解説します。

二酸化炭素の排出量に応じた費用負担を課す制度

カーボンプライシングは、温室効果ガスの排出削減に向けた政策で、二酸化炭素が気候変動の大きな要因となっていることから、二酸化炭素炭素の排出量に価格をつける制度となります。

二酸化炭素の排出量に価格をつけることで、排出している企業や家庭に対して課税することや、補助金や税制優遇措置を行って、規制や管理を行います。

世界ではカーボンプライシング制度が導入されている

世界では、64の国と地域(世界銀行調べ、2021年4月現在)でカーボンプライシングが導入されており、後に解説する炭素税が35、排出量取引制度が29、それぞれの国と地域で導入しています。炭素税や取引量排出制度は、どちらか一方を制度として導入するわけではないため、両方を導入している国もあります。

炭素税は、1990年にフィンランドやポーランドで導入されたのが最初であり、ヨーロッパを中心に導入が拡大していきました。しかし、先進国以外では導入が進んでいないのが現状です。

カーボンプライシングの種類

カーボンプライシングには、明示的カーボンプライシングと暗示的プライシングの2種類があるため、それぞれ解説します。

明示的カーボンプライシング

手法としては、炭素税と排出量取引があります。どちらも明示的に価格をつけることで、炭素の排出量に応じた負担をさせるものとなります。

カーボンプライシングと一般的に言われているものは、明示的なものを指すことが多いです。

暗示的カーボンプライシング

手法としては、エネルギー課税や補助金・税制優遇、固定価格買取制度があります。間接的に温室効果ガス排出の課税をする制度です。

エネルギー課税は、石油などの化石燃料に対して課税します。補助金・税制優遇では、特定の排出削減する製品や設備などに経済的インセンティブを与えるもので、再生エネルギー補助金が代表的な補助金です。

固定価格買取制度は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーを普及させることを目的としており、電力会社が一定期間、一定価格で買い取ります。

日本のカーボンプライシング制度はいつから?

世界的にカーボンプライシング制度が導入されている中、日本でも少しずつ同様の動きが見られます。ここからは、カーボンプライシングに関する国内の状況について解説します。

2021年8月に環境省と経済産業省から提案

日本では、カーボンプライシングの導入について、経済産業省と環境省それぞれに研究会や委員会を設けて議論が行われています。2021年8月に発表された提案は、中間整理されたものです。

経済産業省では、排出量取引やクレジット取引に関する内容を中心としたもので、環境省は、政府主体の炭素税や排出量取引の必要性を言及しています。

経済産業省と環境省双方で中間整理が発表されており、政府として足並みが揃っていない状況となっています。

カーボンプライシングに近い取り組みは始まっている

政府としてカーボンプライシングの制度化が議論されている中、近い取り組みとして、炭素税の一種となる地球温暖化対策税が2012年に導入されています。

地球温暖化対策税は、二酸化炭素の排出量1トンあたり289円の徴税となっており、諸外国と比べると低い課税になります。また東京都や埼玉県では、排出量取引制度を導入しています。

日本版カーボンプライシングの種類や価格

日本のカーボンプライシングの具体的な要素として、4種類あります。

炭素税

炭素税とは、二酸化炭素を排出した企業などに対して、排出量に応じて課税する税金のことです。炭素税の徴税によって環境に資する政策などを推進することができるため、新たな制度を作る財源の確保につながります。

規制に対するコスト

企業からみれば、二酸化炭素の排出量に応じて課税されるため、コストが明確になるものの、費用負担しなければならないため、国際競争力の低下につながる可能性もあります。

クレジット取引

クレジット取引とは、二酸化炭素の排出量を削減することで「クレジット」として付加価値を付与し、それを取引するものです。国際的には、クレジット売買市場の動きが加速しており、日本でもクレジット取引のニーズが高まる可能性があります。

例として、非化石証書取引であれば、FIT証明書や、非FIT非化石証書などの種類で証書取引市場を実施しています。FITは、一般家庭や企業において再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取ることを、政府が約束する制度になります。

インターナルカーボンプライシング

インターナルカーボンプライシングとは、企業独自で二酸化炭素の排出に価格をつけることです。価格設定することで、企業自身が定量的に排出を把握することになり、また脱炭素に関する投資を行う基準にもなります。

世界的にインターナルカーボンプライシングの導入をする企業が増えている状況です。

カーボンプライシングのメリット

カーボンプライシングの特徴や国内の状況について理解できたあとは、カーボンプライシングのメリットについて確認していきます。

環境問題への貢献による企業価値アップ

カーボンプライシングを企業に導入することで、二酸化炭素の排出量を減らす取り組みが積極的に行われることになり、また排出量をどのくらい減少させたのかを見ることができます。

排出量の数値化によって、環境問題に貢献している企業として、イメージアップや投資にもつながります。また、消費者からのイメージアップにもつながるので、自社サービスや製品の売上アップにつなげられる可能性があります。

経済成長を見込める

脱炭素に向けた取り組みを行うことになるため、新たな技術革新を生む可能性があります。省エネルギー設備や技術といった環境に資する先進的な技術によって、経済成長にもつながります。

カーボンプライシングのデメリット

ここからは、カーボンプライシング導入によって考えられるデメリットを紹介します。

エネルギーコストの上昇

カーボンプライシングの導入によって、エネルギーコストの高い日本においては、さらにコストが上昇してしまいます。元々エネルギー資源に乏しいため、さまざまな産業において影響が出ることは避けられません。

国際的競争力低下リスク

二酸化炭素の排出について規制がかかることや、エネルギーコストの上昇から国際競争力が低下するリスクがあります。ただし、世界的にカーボンプライシングを導入しているため、規制される条件は同じとも言えます。

日本ではカーボンプライシングの導入に関する議論が行われている状況

すでに解説してきたとおり、日本では経済産業省と環境省でカーボンプライシングの議論が行われていて、制度化するまでにはまだ時間がかかる状況です。しかし、地球温暖化に対しても国際的な意識は高まっていることを受け、国内でも大手企業を中心に温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みが行われています。

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