太陽光発電システムとAIの活用事例を紹介!

太陽光発電システムとAIの活用事例を紹介!

近年、急速に発展しているAI関連技術は、太陽光発電関連でも用いられつつあり要注目です。またAIサービスの活用は、太陽光発電の維持管理におけるコストや手間を省略したり迅速な対応につながったりします。

そこで今回は、太陽光発電におけるAI関連サービスやシステムについて詳しく解説します。太陽光発電事業の負担を軽減したい方などは、参考にしてみてください。

AIと太陽光発電を連携させたサービスとは?

近年、AI技術と太陽光発電、蓄電池を連携させたサービスが展開されています。しかし、どのような特徴を持っているのか、よくわからない方も多いかと思います。

まずは、AIと太陽光発電、蓄電池を連携させたサービスの概要や特徴について見ていきましょう。

AIで太陽光発電所の遠隔監視や分析を行う

AIを活用したサービスの中には、太陽光発電所の遠隔監視や設備状況の分析を自動で行ってもらえるサービスもあります。

これまで設備状態の監視や異常の早期発見は、センサーや専用のシステムに加えてエンジニアの経験で対応していました。しかし、太陽光パネルに関しては大量に設置・運用されていることもあり、故障や異常発生後に修理交換する傾向があり、その間は一時的に発電量が低下してしまいます。

AIを活用すれば常時自動で監視することができるので、太陽光パネルを含めた各種機器の異常や劣化などを早めに知ることが可能になります。

AIで電力データの分析および発電量を予測する

遠隔監視以外には、電力データの分析や発電量予測および制御にAIが用いられているケースもあり、効率的な発電・自家消費に役立ちます。

従来の場合は、ツールや人の手で自社の電気使用量と発電量、自家消費率などを確認・分析し、効率的な運用方法を模索する流れが一般的でした。

一方、AIによる予測サービスは、深層学習などで過去の発電量や気象情報を学習し、発電量を予測します。つまり、気象状況に応じて何kWhの発電量を確保できるか事前に情報を取得でき、予測情報からどの程度自家消費・売電できるかの計算が可能になるということです。

人の手では難しい予測や高精度な分析を担ってくれるのが、AIサービスの強みです。また、電力の安定供給や効率的な運用にも役立つため、多くの企業にとってメリットがあると言えます。

AIによって蓄電池の制御を最適化する

蓄電池とAIを組み合わせたAI関連技術も存在しています。

太陽光発電と蓄電池で効率的に自家消費するには、自社の電力需要に合わせて蓄電池をあらかじめ充電したりスピーディに放電したりしなければいけません。

AIを搭載した産業用蓄電池の場合は、蓄電池の使用頻度や充放電のパターン、消費電力量などから電力需要を予測し、予測パターンに合わせて自動で充放電してくれます。さらに、インターネットと蓄電池を接続しておけば、気象警報の情報を自動取得し、停電に備えて充電を自動で開始してくれます。

なお家庭用の場合では、AI付き蓄電池の価格は一般的な蓄電池と大きく変わりません。

経済産業省によると家庭用蓄電池の費用相場は、1kWhあたり18.7万円程度です。例えば、AI搭載型のスマートスターLは蓄電容量9.8kWhで190万円程度なので、平均的な費用相場18.7万円×9.8kWh=約183万円に近い価格帯と言えます。

出典:経済産業省ウェブサイト

太陽光発電とAIを組み合わせたサービス例

続いては、太陽光発電や蓄電池とAIを組み合わせたサービス事例をいくつか紹介します。

Looopでんきの発電量予測システム

新電力会社のLooopでんきでは、太陽光発電所の発電量をAIで予測するシステムを開発しました。

ディープラーニング(LSTM)モデルの場合は、気象情報から発電量の計算と予測をするシステムです。太陽光発電所の設備容量を追加した場合は、更新データが必要なものの再学習は不要で、高精度な予測を期待できます。

状態空間モデル(カルマンフィルタ)は、太陽光発電所の設備容量に変動が生じてもデータ更新せずに予測可能な特徴を持っています。また、日々の気象情報や発電量などから学習を積み重ね、予測精度が向上します。

スマートエナジーのAI警備システム

スマートエナジーのAI警備システムは、太陽光発電所内の防犯に重点を置いたAIサービスです。

太陽光パネルや銅線などは盗難されやすく、カメラやフェンスなどで防犯対策を進める必要があります。しかし、人が常時監視するには負担がかかります。

AI警備システムの場合、人の動きを検知することで敷地内への不法侵入などを早期に把握し、対処できます。また監視システムは24時間365日稼働しており、異常を検知すると即座に太陽光発電を所有している企業や警備会社などへ通知される仕組みです。

住友電工の電力データ分析

住友電工の電力データ分析は、AIによって太陽光発電の発電量に関する異常を検知するシステムです。

太陽光発電で高い発電効率を保つには、発電量の低下に対して早めに対処するのが大切です。しかし季節や時間帯、気象状況などによって発電量が変動するため、一定水準での異常検知では正確性に欠けてしまいます。

住友電工の電力データ分析サービスは、自動計測された電力値をAIで分析し、異常が起きているのかだけでなく、その原因まで探ってくれます。また、重大な異常は赤色、軽微な異常は黄色といった色で識別されます。忙しい状況でも画面を見れば一目で異常発生個所と状況がわかるのは、ユーザーに配慮された仕様と言えます。

さらに計測はストリング単位なので、全ての太陽光パネルを調べずに済みます。ストリングは、太陽光モジュールを直列に繋げた状態を指します。

SOLAR CheckのAI解析

SOLAR Checkは、サーモグラフィ付きドローンとAIを組み合わせた新しい点検サービスです。

従来の点検方法は、人の目で目視点検を行い、人の手で電気点検をはじめとしたさまざまなチェックが行われていました。しかし、人による点検作業には時間と手間、負担がかかります。

SOLAR Checkでは、サーモグラフィ付きドローンで上空から太陽光パネルの異常を調査したり撮影したりします。また、ドローンはあらかじめ定められたルートに沿って自動で飛行するため、人による操作が不要です。

さらに撮影された画像をAIが自動解析し、ホットスポットなどの異常を検知してくれます。

なぜAIによる太陽光発電所の管理が求められているのか

AIを活用したサービスは増えていますが、なぜ太陽光発電の管理運用に求められているのかわからない方も多いかと思います。それでは、AIによる太陽光発電所の管理が求められている主な理由を紹介します。

人の手では点検に時間がかかる

人の手による保守点検作業には時間と負担がかかり、非効率的な側面もありました。

冒頭でも解説したように、太陽光発電の点検には知識だけでなく作業員の経験も必要とされるため、すぐに作業員を増やしにくい状況です。

AIによる太陽光発電の点検・分析サービスを導入すれば、大量の太陽光パネルやパワーコンディショナを短時間で点検できますし、作業員の負担軽減につながります。

担当者が現地へ行かなければいけない

太陽光発電所に何か問題などが発生した場合、担当者が現地へ向かわなければいけません。

遠隔地や山間部など、往復に時間のかかる場所で設備を運用していると、すぐに現地へ向かえませんし、早期に異常を確認することもできません。また、保守点検を担うO&Mサービスにとっても、遠隔地への往復は移動コストがかかります。

AIとカメラ、ドローンなどを活用すれば24時間365日監視できるだけでなく、異常の原因まで特定してもらうことが可能になります。

電力データによる発電量低下の判断が難しい

太陽光発電の電力データから発電量の低下および異常を検知するには、季節や太陽光パネルの角度、設備の状態、気象状況などを含めなければならないため、早めに対処するのが難しいと言えます。

また、太陽光発電は火力発電や原子力発電と異なり、常に一定の発電量を保つことができません。一定の発電量を下回ると異常を検知するといった単純なシステムでは、気象状況の変化による変動なのか、太陽光発電の異常による変動なのか判断の付きにくいところです。

そこでAIによる解析・発電量予測ツールを導入すれば、発電量の急な変動に対してその原因を分析し、至急の点検や対処が必要な状況なのか判断してくれます。

AIで太陽光発電の管理を行うには?

続いては、AIを用いた太陽光発電の管理を行う方法について紹介します。

太陽光発電向けAIシステムを導入

前半で紹介したようなAIサービスやシステムを導入すれば、自社でシステム開発することなく太陽光発電の管理の一部をAIに任せることが可能になります。

ただし、太陽光発電所の保守点検や修理交換作業はAIのみでは対応できないため、O&Mサービスへ管理を依頼する必要があります。

AIに対応しているO&Mサービスを利用する

AIを用いた管理に対応しているO&Mサービスがあれば、AIによる管理サービスとO&Mサービスへそれぞれ個別に依頼せずとも効率的な管理運用を進めてもらえます。

なお、FIT認定とは関係なしに出力50kW以上の太陽光発電を運用している場合は、保守点検に関する法的な義務が発生します。

しかし、無資格者による太陽光発電所の点検作業は認められていないため、専門業者へ相談する必要があります。太陽光発電のO&Mサービスは、監視作業や定期点検、異常発生時の修理交換といった保守管理を専門とした業者です。

AIサービスの導入にかかわらずO&Mは太陽光発電事業者に必要なサービスなので、これから設置する方は早めに検討し、また既に契約していてサービス品質に悩んでいる方であれば、見直してみましょう。

太陽光発電所のO&Mを選ぶ時のポイント

O&Mサービスを選ぶ・見直す際は、AIサービスの有無以外にもチェックすべきポイントがあります。

最後は、太陽光発電のO&Mサービスを選ぶ上でAI関連サービス以外に押さえておくべきポイントを解説します。

保守運用について総合的にサポートしてくれるか確認

O&Mサービスを比較検討する際は、保守運用に関して総合的にサポートしてもらえるかどうか、見積りや問い合わせの段階で確認しておくのが大切です。

O&Mサービスの役割は、大きく分けて2点です。ひとつは運転管理、もうひとつは保守点検作業です。

通常時は、遠隔監視システムなどで太陽光発電所の設備状況や発電量を常時監視してもらう必要があります。故障した場合は、O&Mサービスのスタッフによって修理や交換を行ってもらいます。

また、定期点検や敷地内管理もO&Mサービスに求められる作業で、目視点検や電気点検、そのほかにも錆びや破損のチェック、敷地内や設備の洗浄、ゴミ拾いや除草作業などを行ってもらえます。

O&Mサービスを選ぶ際は、このような運転管理と定期点検・修理交換までサポートしてもらえるのかを確認するようにしましょう。

駆けつけサービスの有無

O&Mサービスを比較検討する際は、緊急時の駆けつけサービスが付帯されているか確認しておくのも重要なポイントです。

太陽光発電所は、さまざまな要素で突然の発電量低下や不具合を起こす場合があります。一般的なO&Mサービスは、遠隔監視システムなどで異常を検知するとすぐに現地へ駆けつけて、敷地内のチェックや点検作業を始めてくれます。

そのため、駆けつけサービスは発電停止や事故を防ぐ上で重要な作業項目です。

また、なるべく早く対処してもらうためにも、太陽光発電所とO&Mサービスの営業所の距離が近いサービスを選ぶようにしましょう。異常検知までの対応は迅速でも、現地へ駆けつけるまでに時間がかかってしまうと、故障範囲の拡大などといったリスクにつながりかねません。

料金体系が高すぎず安すぎないか要注目

O&Mサービスの料金体系を比較する際は、高すぎず安すぎないプランから検討してみましょう。

安すぎるプランは、サポート内容やサービス品質が十分ではないかもしれません。一方、相場より高いプランは、維持管理費用の増加につながりコスト面でデメリットと言えます。

そのため、複数のO&Mサービスから見積りを受け取った場合は、平均に近い料金体系でなおかつ料金に見合ったサービス項目か比較しながら検討する必要があります。

防災や復旧作業を行ってくれるサービスを選ぶ

日本は地震や台風といった災害の多い環境なので、なるべく防災や災害復旧に関するサポート対応も行ってくれるO&Mサービスを選びましょう。

例えば防災対策に対応しているサービスでは、太陽光発電所周辺の水路や水害リスクについての調査や対策もしてくれます。また、地震や台風などでケーブルが破損し、火災につながらないよう日頃から漏電チェックなども行ってもらえます。

さらに、積雪や落雷による太陽光パネルの破損、豪雨や台風で土砂災害および設備全体の破損した場合、破損した機器や部品の撤去から新しい設備の設置までサポートしてもらえるため、別途業者を呼ばなくとも復旧することが可能です。

太陽光発電所の管理や発電量予測はAIで対応可能!

近年では、AIによる太陽光発電所の遠隔監視といった管理サービスが出てきています。また、発電量の予測や太陽光パネルの異常検知と原因分析などといったAIサービスもあり、効率的に太陽光発電所を管理運用できるのがメリットのひとつです。

太陽光発電所の設置に向けて準備を進めている方や、太陽光発電のより効率的な運用を求めている方は、AIを活用したサービスの導入やサポートの充実したO&Mサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

弊社とくとくサービスでは、低圧から高圧の太陽光発電まで幅広くサポートしています。遠隔監視システムによる常時監視のほか、異常発生時の駆けつけサービス、目視点検や電気点検を含む定期点検、太陽光パネルの防汚コーティング、高圧洗浄や敷地内清掃などに対応しているのが特徴です。

さらに火災や水害、土砂災害に関する対策のほか、災害で破損した機器の撤去や新品の太陽光パネル・パワーコンディショナなどの設置対応までカバーします。

O&Mサービスについて検討している方は、お気軽にお電話やメールからぜひご相談ください。

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