自家消費型太陽光発電をマンションに設置しよう!メリットとデメリットを解説

自家消費型太陽光発電をマンションに設置しよう!メリットとデメリットを解説

太陽光発電で発電した電気をさまざまな設備へ供給可能な自家消費型は、マンションオーナーにとっても注目の運用方法です。しかし、マンションへ設置する場合のメリットやデメリットは、野立て太陽光発電や住宅用太陽光発電と少し異なる部分もあるため、よく分からないという方も多いかと思います。

そこで今回は、マンションへ自家消費型太陽光発電を設置する方法やメリットやデメリットについて分かりやすくご紹介します。太陽光発電に魅力を感じているものの強みが分からない方やマンションへ太陽光発電設置する場合の注意点を知りたい方は、参考にしてみてください。

自家消費型太陽光発電でマンションのどこへ電力供給できる?

マンションへ自家消費型太陽光発電を設置するにあたって疑問を抱きやすいポイントが、発電した電気をどこに供給できるのかという点です。

住宅で太陽光発電の自家消費を行う場合は、自宅のコンセントや照明設備などへ供給できます。しかし、マンションの場合は、専有部分やエレベーター、エントランスなど、住宅と異なる部分も多数あります。

そこでまずは、自家消費型太陽光発電で発電した電気をマンションのどこへ供給できるのか分かりやすく紹介します。

廊下やエントランスの照明などといった共用部分

自家消費型太陽光発電で発電した電気は、各階の廊下や階段に設置されている照明やエントランスの照明、自動ドアといった共用部分の設備へ供給することが可能です。

共用部分の各種設備の電気代は、マンションオーナー側で負担しなければいけません。共用部分の電気代を節約する際、照明の明るさを暗くしたりタイマーで照明設備の電源を切り替えたりといった方法が考えられます。しかし、節電にも限界がありますし、各設備の動作を抑えてしまうと入居者の負担につながります。

自家消費型太陽光発電を設置できれば、普段の節電に加えて電力の自家消費で照明設備や自動ドアなどの買電量を抑えられます。

各入居者の専有部分

各入居者からの理解や切り替え工事を行えれば、自家消費型太陽光発電で発電した電気を専有部分へ供給することが可能です。

多くのマンションでは、基本的に共用部分への自家消費のみで、専有部分への供給が行われていませんでした。しかし、共用部分の照明設備は夜間に使用されるものですし、自動ドアは常時稼働している訳ではないため、太陽光発電を活かしきれない側面もあります。

そこで太陽光発電の施工業者などでは、専有部分への電力供給も可能な回路設計および施工サービスを行っています。

専有部分を含めた自家消費には、共用部分と同じく太陽光発電から発電された電気を引き込むための配線工事や消費量を計測するためのメーター設置などが必要です。

マンションの立体駐車場や貯水タンクのポンプなど

予算やマンションの状況によっては、立体駐車場や貯水タンクのポンプなどにも太陽光発電で発電した電気を供給できます。

太陽光発電の出力が、ポンプや立体駐車場などを同時に稼働させられる水準であれば、照明以外の設備も自家消費でまかなえます。

また、蓄電池を設置していれば、自家消費しながら電気を貯めておけます。災害などで停電した場合は、非常用電源としてすぐに活用することが可能です。

自家消費型太陽光発電をマンションへ設置した場合は、さまざまな場面で役立ちます。

分譲マンションのベランダへ太陽光発電を設置しても大丈夫?

分譲マンションに住んでいる方の中には、ベランダへ小規模な太陽光発電を設置したいという方もいるのではないでしょうか?続いては、分譲マンションのベランダへ自家消費型太陽光発電を設置可能かどうかについて確認していきます。

入居者が設置する場合は許可を取らなければいけない

分譲マンションに住んでいる方は、事前に管理組合やオーナーに許可や確認を取らなければいけません。

ベランダへ太陽光発電を設置したとしても、十分な発電量を確保できない可能性があります。また、ベランダは屋上や住宅の屋根と異なり設置スペースが狭く、設置の難しい環境でもあります。

分譲マンションに住んでいて家計負担を抑えたいといった場合は、中古太陽光発電で得た売電収入を毎月の水道光熱費に充てたり貯金に回したりするのがおすすめです。中古太陽光発電は屋外の広い土地に設置されていて、ベランダ設置よりも多くの発電量を得られます。

避難経路の妨げになってはいけない

ベランダへ太陽光発電を設置する際は、避難経路の妨げにならないかなど、安全性の問題をクリアしておく必要があります。

マンションのベランダには、いざという時の避難設備およびはしごが設置されています。避難設備の上に太陽光発電設備を設置してしまうと、いざという時に避難できません。

分譲マンションに住んでいる方は、マンションの安全面という点でも野立て太陽光発電や中古太陽光発電といった広い土地への設置方式を検討するのがおすすめです。

マンションへ自家消費型太陽光発電を設置するメリット

マンションオーナーにとって自家消費型太陽光発電の設置は、さまざまな点でメリットのある運用方式です。続いては、マンションへの自家消費型太陽光発電設置によるメリットを紹介します。

屋上の有効活用

屋上の有効活用につながるのが、自家消費型太陽光発電の設置メリットです。一般的にマンションの屋上は、安全上の理由から開放できません。しかし、一定の広さがある屋上を活用できないということは、オーナーにとって損失といえます。

周辺に遮蔽物の少ない状態であればマンションの屋上は、日当たりのいいスペースです。自家消費型太陽光発電を設置すれば、発電量を増やすことが可能です。さらに最上階の断熱効果や屋上の劣化を抑えられます。

環境価値をアピールできる

入居希望者などに対して環境価値をアピールできるのは、自家消費型太陽光発電ならではの強みです。

昨今、さまざまな業界で脱炭素化、環境へ配慮された事業活動、環境問題の解決につながる製品やサービスの開発などが求められています。

テレビやインターネットなどでも頻繁にSDGsや二酸化炭素排出量削減などといった情報を見ている消費者の中には、少しでも環境問題に取り組むサービスや商品を利用しようと考える方もいます。

マンションに自家消費型太陽光発電を設置することは、このような昨今の時流に乗った不動産経営といえます。また、分譲マンションの比較検討を行っている方に対して、環境価値のアピールを行うことができ、なおかつ入居率向上につながる可能性もあります。

共用部分の電気料金削減につながる

太陽光発電で発電した電気を共用部分で使用すれば、電気代の削減につながります。

節電もしくは消費電力量の少ない設備へ切り替えることで、電気代を削減できるものの限界があります。

太陽光発電を設置した場合は、年間の電気代を数10%程度削減することも可能です。また、削減によって浮いた予算は、マンションの修繕費用などへ活用できます。

自家消費型太陽光発電は、節電方法に悩むオーナーだけでなく修繕費用不足に悩んでいるオーナーにもおすすめの発電設備です。

非常用電源として活用できる

自家消費型太陽光発電は、いざという時の非常用電源として活用することが可能です。防災や減災対策として電源確保の方法について検討しているオーナーには、特にメリットの多い設備といえます。

一般的な非常用発電機は燃料を使用したタイプなので、燃料が切れてしまうと発電もストップしてしまいます。

太陽光発電は、停電の際に自立運転モードへ切り替わり、共用部分などあらかじめ接続しておいた設備へ電力を供給できます。また、日中は発電できるため、継続的に電気を使用することが可能です。さらに蓄電池を併用すれば、夜間も電気を使用できるようになります。

設置時期によっては設置費用の負担を軽減できる

自家消費型太陽光発電の設置時期や設置状況によっては、中小企業経営強化税制を受けられる場合があります。

中小企業経営強化税制は個人事業主や中小企業向けのサポート制度で、自家消費型太陽光発電の設置も制度の対象です。

申請が受理された場合は、以下2種類のうち1つのサポートを受けられます。

  • 即時償却(設備導入年にまとめて減価償却できる)
  • 取得価格に対して最大10%の税額控除

受付期間は2023年3月31日までとされています。2022年中の太陽光発電設置を考えている方は、早めに申請準備を進めておくのが大切です。

マンションへ自家消費型太陽光発電を設置するデメリット

ここからは、マンションの屋上に自家消費型太陽光発電を設置するデメリットについて確認していきます。

数100万円以上の初期費用がかかる

太陽光発電の設置には、数100万円以上の初期費用負担がかかります。現状、100万円以上の予算を確保できない、ローンの返済負担を避けなければいけない場合は、慎重に検討したり保留にしたりするのも大切です。

自家消費型を含む太陽光発電の初期費用は、本体価格と設置費用の2種類から構成されています。本体価格は、太陽光パネルやパワーコンディショナ、接続部品や架台、接続箱といった機器類の製品価格を指します。一方、設置費用は、太陽光発電の組み立て・設置に伴う工事費を指しているのが特徴です。

一般的には、太陽光発電の購入時にローンを組むため、10年程度の返済期間が生じます。

太陽光発電の設置を検討する際は、施工業者と収支バランスのシミュレーションなどを行いながら慎重に判断するのが大切です。

定期的な点検が必要

点検費用の負担や維持管理の手間という点では、導入デメリットといえます。自家消費型を含む太陽光発電は、メンテナンスフリーではありません。また、FIT法の改正によって指定された項目に沿ってメンテナンスを行う必要があります。(メンテナンスの義務化)

なお、実際の保守点検作業や部品交換、修理工事などは、専門業者で対応してもらえます。

マンションのオーナーは、メンテナンス費用の確保を行ったり保険へ加入したりなど、費用面での負担が発生します。

入居者からの理解が必要

マンションの屋上へ自家消費型太陽光発電を設置したい場合は、入居者や管理組合からの理解と許可を得る必要があります。

マンションオーナーは、太陽光発電の設置をはじめとしたマンションに関する設備の追加などについて独断で決められない立場です。設置工事を進めたい時は、各入居者へ設置メリットや安全性について説明し、納得してもらうことから始めなければいけません。

専有部分まで電力供給できない場合がある

自家消費型太陽光発電の出力や消費電力量によっては、マンションの共用部分や全ての専有部分へ電力を供給できない可能性があります。

専有部分の自家消費も行いたい場合は、マンション全体の消費電力量を上回る発電量を確保しなければいけません。しかし、太陽光パネルの設置枚数は屋上の面積によって決まるため、発電量に限界があります。

緊急避難経路などの確認が必要

分譲マンションの入居者が、ベランダやバルコニーに太陽光発電を設置する場合、緊急避難経路の妨げにならないか確認しておくのも重要です。

ベランダやバルコニーには緊急時の避難設備が設置されているので、いざという時速やかに避難できるよう太陽光発電の設置場所や設置方法に注意する必要もあります。

なお、入居者の場合は、ベランダやバルコニーへの設置より野立て太陽光発電を検討してみるのがおすすめです。

マンションオーナーは自家消費型太陽光発電を検討してみるのもおすすめ!

マンションのオーナーにとって自家消費型太陽光発電は、メリットの多い設備です。デッドスペースといえる屋上の活用につながるだけでなく、共用部分の電気代削減効果を期待できます。また、環境価値を入居希望者へアピールできるため、入居率向上につながる可能性があります。

共用部分の電気代負担に悩むマンションオーナーや非常用電源など防災対策を行い始めた方は、今回の記事を参考にマンションへの自家消費型太陽光発電設置を検討してみてはいかがでしょうか?

なお、分譲マンションへ入居していて太陽光発電投資に興味を持っている方や屋上設置が難しい状況で悩んでいるオーナーは、中古太陽光発電を検討してみるのがおすすめです。中古太陽光発電は、土地と設備をセットで購入でき、なおかつ過去の発電量や売電収入を確認した上で進められるのが魅力です。

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