架台は太陽光パネルを支える重要な設備ですが、錆(サビ)によって劣化してしまうこともあります。さらに錆を放置していると、太陽光パネルの破損や設備全体のダメージにつながります。
そこで今回は、錆の原因や太陽光発電の架台における防錆対策について詳しくご紹介します。太陽光発電の維持管理方法について調べている方や架台が錆びやすく悩んでいる方などは、参考にしてみてください。
太陽光発電の架台は錆びやすいのか?
架台とは、太陽光パネルなどの設備を取り付けるための構造物のことです。太陽光発電は長期にわたり使用する設備であり、太陽光パネルを設置する架台の耐久性も大変重要となります。
太陽光発電の架台として使用される素材は、アルミニウム、スチール、ステンレスなどの金属でできていることから、錆についても考慮する必要があるでしょう。
設置する地域の環境や状況にもよりますが、一般的に太陽光発電の架台の耐久性は20年以上と言われています。
また太陽光発電の設備には周辺機器保証があり、架台の保証期間は10〜15年となっています。
架台が短期間で使用できなくなるとは考えにくいですが、設置する環境や状況によっては、架台が錆や腐食を起こして太陽光パネルの設置に歪みなどが生じることがあります。すると発電量への影響やパネルの破損にも繋がるおそれがあるため、架台選びは大変重要となります。
太陽光発電の架台が錆びてしまう原因
太陽光発電の架台に使用される素材は金属です。金属でできた架台は錆が発生することがありますが、どのような場合に生じてしまうのか、その原因について詳しく紹介します。
経年劣化
太陽光発電は屋外に設置するため、太陽光パネルを取り付ける架台も雨・風・雪などに常にさらされています。
日々の気温や湿度の変化、太陽光や紫外線などにより繰り返し疲労を受け続けると、年月が経つにつれて少しずつ素材自体の品質が下がっていき、架台に錆が生じることがあります。
塩害地域に設置している
塩害地域とは、塩分を含んだ風や雨の影響を受けやすい海に近い地域のことを言います。
太陽光発電を設置する架台は、鉄などの金属でできています。金属は表面に水分が付着すると空気中の酸素と水により化学反応が起こり、錆が生じます。
また塩には水を集める性質や電気の流れを助ける性質があることから、錆の発生を早める原因になります。そのため海が近い塩害地域では、潮風などの影響により他の地域よりも架台が錆びやすくなるのです。
金属腐食
腐食とは、化学的作用などによって機能や外観が損なわれることを言います。金属にも発生する現象で、周囲の環境と大きく関係しています。ちなみに、錆も金属の腐食の現象に含まれます。
金属は、表面が酸化による皮膜で覆われています。この膜が破壊されると、そこから腐食が始まり内部にまで影響を与えるようになります。日常に見られる金属腐食の原因の多くは、雨や大気中の水分などによる電気化学反応です。
また異なる金属同士が接触することでも腐食が起こることがあります。金属はそれぞれ標準の電位が決まっており、水などの電解質溶液が付着すると電位の高い方から低い方へと電子が移動し、電気化学反応が起こるためです。接触している金属の電位差が大きくなるほど、電位の低い金属の腐食が急速に進む傾向にあります。
そのため架台を設置する際に、アルミの素材をステンレス製のネジで固定するなど種類の異なる金属を使用した場合、腐食が発生する可能性があります。
下地の調整作業などに不備がある
金属は水分や空気との接触、異なる種類の金属と接触で腐食し錆びが発生するため、腐食が起きないように塗装作業などを行います。塗装による十分な効果を発揮するには、金属の表面に付着している汚れや錆を取り除くなどの下地の調整作業が重要になります。
下地の調整作業が的確に行われていない場合などには、塗装の効果が最大限に発揮できず、短期間で錆びが発生するおそれがあります。
架台の防錆対策
太陽光発電の設備は重量があり、パネルを設置するための架台の耐久性は大変重要です。最大限に太陽光発電を行うには、的確かつ安全に太陽光パネルが設置され、架台が錆などで劣化しないようにする必要があります。
架台の防錆対策として、具体的な対策方法を紹介します。
異なる種類の金属をなるべく接触させない
前述のとおり、種類が異なる金属が接触している部分に水分が付着すると、「電気化学的腐蝕(電蝕)」が起こり、錆が発生することがあります。
そのため架台を組む際には、違う種類の金属同士の接触を避けるようにすることが防錆対策となります。
重塩害地域での太陽光発電投資を避ける
海が近い地域では、海水が触れたり塩分を含んだ風や雨が影響したりして、金属でできた架台やモジュールの配線などに錆が発生する塩害が起こりやすくなります。
塩害の影響は、海からの距離が近ければ近いほど高まります。
太陽光発電の設置においては、海岸からの距離が200〜500mの地域を「重塩害地域」、海岸からの距離が2km以内の地域を「塩害地域」と設定しています。メーカーにより対応は異なりますが、「重塩害地域」には設置ができないことがあります。
設置が可能な場合でも、塩害対応のシステム機器の使用が必要であったり、設置自体は可能だが保証は対象外であったりするなど、条件付きとなるでしょう。
そのため、「重塩害地域」にある太陽光発電への投資は避けることをおすすめします。
錆に特化した塗料を使用する
金属は、表面に水分が付着すると空気中の酸素と水により化学反応が起こり、錆が生じます。付着する水分に塩分が含まれている場合には、この塩分が電気の流れを助けることから、錆の発生をより早めてしまうことがあります。
つまり、金属が空気中の酸素や水、塩と直接触れないような対策ができれば、金属の劣化や腐食を防止することができるのです。
太陽光の架台の素材となる金属は複数あり、それぞれの特性に合わせた錆に特化した塗料を塗装することで、錆の発生を抑えることが可能となります。
架台の耐久性を長く保つためには、設置している地域の環境や状況も考慮し、的確な塗料を使用することが重要です。
太陽光発電の保守点検に特化したサービスと契約
錆などにより、架台の金属が表面だけでなく内部まで腐食すると、金属の強度が低下して、重量のある太陽光パネルなどを安全に固定することができなくなります。太陽光パネルに歪みが生じた場合、発電量の低下に繋がるおそれもあります。
架台の強度が低下すると、台風などによる激しい雨や強風に耐えることができなくなり、太陽光パネルが落下して破損したり、パネルなどの部品が飛んで近隣の建物や設備に被害を及ぼしたりする可能性もあります。
このような事態になると回収修理や賠償が必要となり、高額な費用がかかりかねません。そうならないためには、定期的に架台の状態を確認し、防錆対策などのメンテナンスを行うことが大切です。
的確な定期的メンテナンスは、太陽光発電の保守点検に特化した会社と契約すると安心です。
架台の材質に注目
太陽光発電を長期にわたり良好な状態で使用するには、パネルを設置するための架台の材質と耐久性が大切です。
太陽光の架台に使用される金属には、主に下記の3つがあります。
- ステンレス
- スチール
- アルミニウム
それぞれの材質の特徴をご紹介します。
ステンレス製
価格:高い
施工性:強度はあるが重いため施工しにくい
錆びやすさ:錆びにくい
スチール製
価格:安い
施工性:強度はあるが重いため施工しにくい
錆びやすさ:錆びやすい・メッキ加工を施す必要がある
アルミニウム製
価格:他の金属と比べると安い
施工性:軽いため施工しやすい
錆びやすさ:錆びにくい
初期費用を抑えるために価格の安い素材を選ぶと、かえってメンテナンスに手間や費用がかかるケースもあります。太陽光発電を設置する地域や環境・状況を考慮して、最適な素材を選択しましょう。
太陽光発電の架台から錆が発生している時はO&Mサービスへ相談!
太陽光発電は20年、30年と長期にわたり使用する設備です。長く良好な状態で太陽光発電を行うためには、太陽光パネルなどの重量のある設備をしっかりと設置するための架台がとても重要となります。
架台も雨・風・雪などの自然に常にさらされる屋外設置です。
金属でできている架台は、日々の気温や湿度の変化、太陽光や紫外線など、繰り返し疲労を受け続け、年月が経つにつれて少しずつ劣化していきます。
さらに腐食や錆びが生じると架台の耐久性が失われ、発電量の低下や設備の破損・落下などに繋がるおそれがあるのです。
そのような最悪の事態が起きないよう、太陽光発電の保守点検に特化したサービスと契約することをおすすめします。
今回の記事を読み、架台の錆びが気になった方、特定のメンテナンスサービスを受けていない方は、O&Mサービスへ相談してみましょう。
弊社、和上ホールディングスの「とくとくサービス」は日本全国・全メーカーに対応するO&M(オペレーション&メンテナンス)サービスを行っております。創業30年、太陽光発電業界では歴史のある会社であり、15000件以上の実績をベースに太陽光設備の維持管理を安心してお任せいただけます。
メンテナンスサービスだけではなく、災害発生後の復旧方法や防災対策まで幅広くサポートを行っています。太陽光発電のメンテナンスにお悩みの方は、ぜひお気軽にメールやお電話にてご相談ください。