太陽光パネルが故障したらどうなる?事例や原因について解説

太陽光パネルが故障したらどうなる?事例や原因について解説

メガソーラーや出力100kW以上の太陽光発電事業となると、管理しなければいけない太陽光パネルの数も膨大です。また、10年、15年と運用していると、太陽光パネルが故障してしまうこともあります。しかし太陽光パネルの故障に遭遇したことがない方にとって、故障後の設備状態や故障の原因についてはわかりにくい部分かと思います。

そこで今回は、太陽光パネルの故障原因や故障後の対処法について詳しくご紹介します。初めて大規模な太陽光発電事業を行っている方や、太陽光パネルの故障についてよく知らないために不安を覚えている方などは、参考にしてみてください。

太陽光パネルの故障によってどうなる?

太陽光パネルの故障によってどうなる?

太陽光パネルが故障することによって、発電設備にどのような影響が現れるでしょうか。

1枚の故障で1列がすべて発電不可能になる場合もある

太陽光パネルは乾電池と同じように、直列と並列の組み合わせで接続されている直流電源です。直列に接続されている一列の太陽光パネルは、途中の1枚が故障し発電が停止すると、その列すべてが発電不可能となり、大きな出力低下を招く可能性があります。

発電量低下

故障した太陽光パネルは、発電量が規定値より減少するか、ゼロになってしまいます。

全体の出力量が小規模の施設であれば、発電量の減少で早期に気付く可能性が高めです。しかし、発電規模の大きいメガソーラーなどでは一時的な減少を早期に発見できず、気が付いた時には相当量の故障パネルを抱え、発電の機会損失につながるリスクもあります。

ホットスポットの発生による火災リスク

「ホットスポット」とは、太陽光パネルの一部が部分的に発熱して高温になる現象です。ホットスポットが発生している箇所は100℃を超える高温となり、パネル自体が発火し、焼損するおそれがあります。

パネルの発火を免れたとしても、ホットスポットに溜まった枯葉やゴミ等が接触すると、着火して火災を招く可能性もあり、最悪の場合は施設全体の火災を招きかねない大変危険な状況となります。

ホットスポットが発生するのは、次のようなメカニズムによります。

  1. 何らかの要因でセルの電気抵抗が局所的に大きくなる
  2. 電気抵抗が大きくなったセルに周辺のセルから電流が流れようとする
  3. 発電しないセルに電流が流れ込むと熱エネルギーに変わり発熱する

鳥のフンや落ち葉などでパネルに局所的に影が出来ている状態を長期間継続することや、ひび割れなどによるセルの発電不良が、ホットスポットを発生させる要因になります。

クラスタ故障

「クラスタ故障」は、不具合によって出力が低下したセルが生じた結果、バイパスダイオードが働いて、パネルの部分的なセルの組(クラスタ)が丸ごと発電を停止している状態です。

先述のホットスポットと同様に、発電量が落ちるだけでなく発熱を招く要因となりますので、モニタリングと定期的な点検によりチェックすることが大切です。

故障した太陽光パネルはまるごと交換

故障した太陽光パネルはまるごと交換

故障した太陽光パネルは、故障個所の発電セル単位で分解交換することは不可能です。原則として、パネル1枚単位でまるごと交換することになります。

故障した太陽光パネルの交換費用

故障の場合のパネル交換費用は、設置時の1枚単価より割高になります。これは、初回設置はまとまった枚数での発注による割引が効くのに対して、交換メンテナンス時には発注単位が少量となり、輸送コスト等が割高になってしまうことが理由です。

また、太陽光パネルは競争が激しい業界であるため、パネルも毎年のように仕様変更されており、メンテナンス用のパネルは小ロットでの受注生産扱いになってしまうことも要因として挙げられます。

太陽光パネルの故障原因

太陽光パネルの故障原因

太陽光パネルの故障原因としては、飛来物などの外的要因による損傷のほか、システムの故障や経年劣化による内的要因、施工不良や部品輸送時のトラブルなどの要因があります。

飛来物との衝突などによる割れ

外的要因による太陽光パネルの故障原因で最も考えられるのは、飛来物による太陽光パネルの破損です。

太陽光パネルの表面は強化ガラスで覆われています。強化ガラスは面全体で押される荷重には強いですが、点での瞬間的な荷重には弱い傾向があります。

野鳥が石を落としたり、台風などの強風時に飛ばされてくる小石や木の枝で損傷したりするケースがあるため、定期的な外観の目視チェックが必要です。

野立ての太陽光発電設備の場合は、太陽光パネルの裏側から破損することもあります。

地面から樹木、竹などが育ちやすく、裏側から太陽光パネルを突き破ってしまう場合があるほか、雑草を放置することでツル系の植物が繁茂し、パネル自体を覆ってしまうことも考えられます。

そのため、定期的な下草刈りは欠かせません。

汚れやフンなどによる影の発生と抵抗率上昇

太陽光パネルの汚れにより発電量が低下し、さらにはホットスポットを発生させて故障するケースがあります。

鳥のフンによる汚れ落としやハチの巣の駆除などの定期清掃をすることによって、発電量も安定し故障を防げるでしょう。

経年劣化による故障

太陽光発電設備を構成するシステムの経年変化による故障の要因としては、以下のものが挙げられます。

  • 太陽光パネルにホットスポットが発生することによる発電量低下
  • パワーコンディショナーのフィルタ目詰まりによる冷却不良、過熱による基盤故障
  • 鉄骨架台のサビによる強度低下、損傷

施工不良や輸送時のトラブルによる性能低下

太陽光パネル設置時の輸送トラブルや施工不良による性能の低下も可能性があり、次のような事例が挙げられます。

  • パネル輸送時の衝撃による破損、積み上げ時のたわみによる品質劣化
  • ボルトの締め付け不足によるパネルのぐらつき、落下
  • 太陽光パネル設置時の端子台の破損
  • 架台組み立て時の金具取り付けミス

メガソーラーの場合は地盤沈下とパネルのたわみ

適切な整地をしないまま建てられたため雨で土砂が流れてメガソーラーが倒壊し、下流の集落にも甚大な被害をもたらした大規模太陽光発電所(メガソーラー)関連の事件が世間を賑わせました。

これは極端な例としても、山林を切り開いて設置した大規模な太陽光発電設備の中には、ずさんな施工計画とモラルの欠如した作業による品質不良の事例が多数報告されているのも事実です。

適切な造成や整地、地盤補強対策がなされていないなどの場合では、地盤沈下が発生し、架台の不動沈下により太陽光パネルにたわみが発生しているケースがあります。

地盤沈下が進むとパネルにヒビが入り、故障の原因となります。最悪の場合には漏電による火災を引き起こしてしまいます。

太陽光パネルの故障を見つける方法

太陽光パネルの故障を見つける方法

太陽光パネルの故障を早期に見つけるためには、下記の対策が有効です。

  • 毎日の発電量をモニタリングチェックし、発電量の低下を早期に発見する
  • 雑草処理や清掃をこまめに行い、外観に異常が無いかを目視チェックする
  • ドローンによる赤外線サーモグラフィーで発熱部分を探し、異常個所を特定する

定期点検パックに入る

太陽光発電設備は、一般的に郊外の遠隔地に立地することが多いため、所有者が自ら監理するには限界があります。専門の保守サービス業者に依頼することが最も確実でしょう。

保守サービス契約は、発電量のモニタリングだけでなく、現地の定期点検で異常を早期にチェックしてくれる利点があります。

台風などの自然災害時の緊急駆け付けサービスに対応する業者もありますので、各社比較のうえで、発電設備の特徴に合った保守サービス会社を選定しましょう。

ドローンを活用した赤外線カメラによる点検も行う

ドローンを活用した太陽光発電のメンテナンスも実用化されています。

これは、赤外線カメラを搭載したドローンで太陽光発電パネルを撮影し、異常箇所を特定するものです。

ホットスポットやクラスタ異常、パワーコンディショナーのフィルタの目詰まりなどが発生すると太陽光パネルに温度異常が発生しますので、赤外線カメラの画像解析により位置を特定できます。

先述の保守サービス業者の中には、このドローンによる点検を売りにしているところもありますので問い合わせてみましょう。

太陽光パネルが故障したら迅速に点検と交換!

太陽光パネルが故障したら迅速に点検と交換!

ここまで、太陽光パネルの故障の種類と原因、その対策などについて解説してきました。

太陽光発電設備の設置は発電所を運営することでもあり、故障箇所を放置すると発熱や漏電による火災を引き起こし、周辺に甚大な被害を与える可能性もあります。

太陽光パネルの安定した発電と安全な運用を継続して行くためには、日々の発電量をモニタリングして異常を早期に検知することと、定期的な設備点検とメンテナンスをしっかりと実施する必要があります。野立ての太陽光パネルの場合は、地味な作業ですが草刈りとパネル清掃も欠かせません。

和上ホールディングスの「とくとくサービス」は日本全国・全メーカーに対応するO&M(オペレーション&メンテナンス)サービスです。

創業30年、15,000棟以上の太陽光発電施工実績をベースに、お客様の大切な財産である太陽光設備の維持管理を安心してお任せ頂けます。

定期点検メニューでは目視により劣化・腐食・ちぎれ・外れ・ゆるみ・汚れなどを点検します。草刈り対応はもちろん、パネル表面ガラスの高圧洗浄、もしくは特殊な水を使用しスクイージで仕上げる作業で、お客様のモジュールの発電量を守ります。

落雷による発電停止、何らかの異常による著しい発電低下、パネルの破損、いたずらや盗難、大規模災害の後など、定期点検以外でも緊急時には駆けつけ対応しております。

24時間365日対応のフルーダイヤルも用意しておりますので、太陽光のメンテナンス・サービスに関する情報など、お気軽にお問い合わせください。

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