こんにちは、石橋です。
私は太陽光発電や再生可能エネルギー、蓄電池といったエネルギーに関連する事業に身を置いている関係上、エネルギーや資源、電力などに関わる話題に敏感にならざるを得ません。

イランで戦争が起きたことによって、ホルムズ海峡が一躍注目を集めることとなりました。それまで多くの日本人が地名すら知らなかった、中東の要衝です。
私は以前から中東に過度に依存しすぎる日本のエネルギー事情について疑問を呈したり警鐘を鳴らしたりしてきた一人ですが、その危惧が現実になってしまいました。なんと90%以上の原油を中東からの輸入に頼っているのは、いくらなんでも偏りすぎです。そこで何か起きたらたちまち重大なことになってしまうのは、誰にでも分かることです。
しかしそこは日本の底力といいますか粘り腰といいますか、備蓄石油を活用したり代替の調達先を探したりと、ここに来て地力を発揮しているようにも見えます。しっかり備えていたのは事実なので、これについては別のコラムで触れています。
イランの陰に隠れてしまってあまり大きく取り上げられることがなくなってきましたが、日本にはもうひとつ、資源の問題があります。それは、レアアースなどの重要鉱物の安定的な調達です。
これについては日本だけでなく、先日もG7で供給網を強化することで一致したというニュースが流れていました。このニュース以外にも、日本の高市総理が外国の首脳と会談をするたびに、「重要鉱物の供給網強化で一致」という項目が含まれていますね。それだけ世界各国は重要鉱物をいかに安定的に調達するかに危機感を持っているということです。
重要鉱物の中でもレアアースは中国のシェアが高く、中国からの供給が途絶えるとたちまち物資不足になってしまうのはリスクが高いと言われ続けていましたが、今はそれが現実になっている格好です。
中国はそれを分かっているので、何か揉め事が起きた相手国に対して難癖をつけてレアアースを供給しないという嫌がらせをします。これも中東に依存し過ぎている原油と事情は同じで、脆弱ですよね。
レアアースについては南鳥島の海底に膨大な資源が眠っていることが分かり、これを採掘できるようになると海外への依存度を下げられるだけでなく、日本が資源国になる可能性を秘めています。レアアースの採掘や精錬は環境負荷が高いため、そこは日本の高い環境技術を活用して成功させてほしいと願います。
とはいえ、これが成功するとしても本格的に採掘ができるようになるのは5年後、10年後といった時間軸でしょう。今すぐ目の前の問題を解決できるわけではありません。
こうした問題の根っこにあるのは、日本が資源のない国である一方で経済大国でもあるため、膨大な量の資源を海外から輸入しなければならない構造です。逆に考えると、こんなに不安定な環境の中で日本はこれまで経済発展を遂げてきたものだと思ってしまいます。
これまでは何とかなってきたかもしれませんが、これからも同じであるとは限りません。こんなにも世界が不安定かつ不透明な時代なのですから、これからはこうした問題に抜本的な解決策を見出すべきでしょう。
原油の調達先を多様化したり、レアアースの調達に主要国と連携を取ったり、こうした対策にもちろん効果はあるでしょう。日本には世界中に友好国があるのですから、そのネットワークをフル活用できるのは日本の強みです。
それに加えて取り組んでほしいのが、エネルギーや資源の自給率向上です。エネルギーの自給率を高めるために今すぐできるのは、原子力の活用促進や太陽光発電などの再生可能エネルギーのさらなる普及でしょう。
日本は核兵器を保有していませんが、非核保有国の中ではトップクラスの核燃料保有国です。核燃料サイクルを実現して原子力をエネルギーの中核に据えるためにこれだけの核燃料を保有しているわけですが、原発事故の影響もあって中々思うように進んでいません。
私は再生可能エネルギー推進派ですが、それだけで今後ますます増大する電力需要を賄えるわけではないことも理解しています。それなら保有資源量が豊富で世界的にもトップクラスの安全性を実現している原子力をもっと活用するのが得策でしょう。
そして、太陽光発電や蓄電池の普及による自然由来のエネルギーを安定供給するスキームの確立です。こちらは私の専門領域なので事業を通じて普及に貢献していきたいと思っていますが、ようやく系統用蓄電池が普及することによって「晴れている昼間にしか発電できない」という太陽光発電の弱点が補われ、本格的に利用できる電源としての地位を獲得しようとしています。これは静かに進むエネルギーの革命ともいえることで、自給率100%の太陽光エネルギーをもっと活用して海外の事情に振り回されない仕組みを作ろうではありませんか。
法令やモラルを無視したようなメガソーラー開発によって太陽光発電に白い目が向けられている今だからこそ、本当の意味での重要性を今後も発信していきたいと思います。