レギュラーガソリンが1リットル200円になったら?

石橋大右

2011.10.22 エネルギー問題

レギュラーガソリンが1リットル200円になったら?

2年ほど前に、ガソリンが史上最高の高値を記録したことがありました。

理由は色々と考えられるのですが、コレといったものはありませんでした。

何となく、ムードで「原油が高くなる」という噂が流れ、市場にあった投機マネーが一気に原油先物に流れたのです。

こうなるとマネーがマネーを呼ぶというのが経済の基本。

後は倍々ゲームのように石油が高くなっていきました。私もクルマに乗るので、ハイオクガソリンが200円という表記になっているガソリンスタンドを見るとクルマに乗るのが嫌になるような思いでした。

ちょうどその時に、今は与党となっている民主党が野党時代に「暫定税率の廃止」を求めてガソリンを25円安くするという運動を展開していました。

これも与党となった今では全く忘れ去られた感があります。

もともと、あてにしている財源なのでそんな簡単な理由だけで税率を下げるわけにはいかないのでしょう。

さて、そんなガソリンの価格がまたジリジリと上がってきていることにお気づきでしょうか。

私が20代の、クルマに頻繁に乗っていた頃というのは、レギュラーガソリンが1リットルあたり100円程度で、ハイオクでも120円くらいでした。

それが今では、レギュラーが140円程度で、ハイオクが150円ちょっとくらいです。

やっぱり高いですね。

しかも、その高値で定着してしまっている気がします。

その理由として経済学者が挙げているものを並べてみましょう。

・将来的に原油枯渇の懸念がある

・リビアをはじめとする中東産油国に政情不安(供給不安)がある

・中国やインドなど新興国の経済発展で需要が増す

このあたりでしょうか。

どれも正論で、これだけを見ると確かに石油の価格はどんどん上がっていくことが確定しているように見えます。

世界中の投資家も、それを見越して今のうちから原油先物を買っておいて大儲けを考えているのでしょう。

これって、不動産バブルに踊った80年代の日本とよく似ています。

土地というのは限りあるもので、日本経済が今後もどんどん成長していけば、オフィスなどの需要はさらに高まる。

しかし、土地の広さには限度がある。

だからこそ、土地を買えば値上がりするので有望な投資先…

いかがでしょうか。

上記の文面の「土地」を「石油」に置き換えるとそっくりそのまま成立しそうです。

だとすると、この原油高騰というのはバブルなのでしょうか。

ある考え方では正解、別の考え方では不正解です。

確かに石油というのは限られた資源なので、いつかは枯渇します。

今のままのペースでどんどん使っていけば、100年以内にはなくなると言われています。

ただ、石油採掘の技術はどんどん進化しており、これまでであれば使い物にならなかったオイルサンドと呼ばれる砂が混じったものであっても精製する技術が確立していますので、石油を利用する効率も、かつてとは比べ物にならないレベルになっています。

石油が限りある資源であることは、全人類に共通する認識です。

石油のような燃料のことを化石燃料といって、大昔の生き物が分解され、長い年月を経て石油になります。

石油が出来上がるまでの経緯を考えると、大昔の生き物が無限にいるわけではないので、やはり石油は限りある資源です。

だからこそ将来的には石油がどんどん高くなるという予測は、正解です。

次に、先ほど述べた「別の意味では不正解」ということにも触れておきましょう。

石油の希少価値が高まるにつれて、価格がどんどん上がる。

これは間違いないでしょう。

しかし、人類がその影響を受けるかというと、そこには疑問もあります。

なぜなら、すでに人類は石油資源から次世代のエネルギーにシフトしつつあるからです。

現在道路を走っているクルマを見てみましょう。

今もなお、ほとんどのクルマはガソリンで走っています。

しかし、その中に電気自動車やハイブリッドカーの姿を見かけることも多くなりました。

これ以外にも、燃費性能が格段に良くなっているエコカーはたくさんあります。こうしたエコカーを含めるとかなりの比率になるのではないでしょうか。

クルマの世界では、本格的な脱石油が始まっているのです。

次に家庭でのエネルギーを見てみましょう。

こちらでも太陽光発電の普及が進み、電力の自給という考え方が珍しいものではなくなっています。

もちろん全ての家に太陽光発電が普及するということはないでしょうし、本格的な普及にもまだ時間がかかります。

電力会社からの電力には、まだまだお世話になることでしょう。

しかし、その電力会社から送られてくる電気がどうやって作られているかご存知でしょうか。

多くの方は現在話題の中心でもある原子力を思い浮かべると思います。

今は多くの原子炉が稼働できない状態にあるので比率は下がっていますが、正常に稼動していると約40%が原子力発電です。

残りについては水力と火力が主力になるわけですが、水力は自然エネルギー、火力についても現在主力は天然ガスに移行しつつあります。なぜなら天然ガスのほうが資源量が圧倒的に多く、価格も安いからです。

いかがでしょう?

すでに日本の社会は脱石油を本格的に進めつつあるのです。

この傾向はますます今後も加速するでしょう。

いつか、石油がなくても困らない社会が誕生することも現実味を帯びています。

将来の原油不足による高騰というのは正解かも知れませんが、それで困るかというと、不正解かも知れないのです。

現実に、それに向けた技術革新はどんどん進んでいるのです。

少なくとも技術の国ニッポンは、その先陣を切って欲しいと思います。

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