中国製太陽光発電システムから不審な通信機器が見つかった件について

石橋大右

2025.6.18 石橋の考え

中国製太陽光発電システムから不審な通信機器が見つかった件について

こんにちは、石橋です。
私が代表を務める和上ホールディングスは、太陽光発電に関連する電気設備や環境ビジネスを手がける企業です。太陽光発電の最前線に身を置く者として、気になるニュースがあったので、今回はそれを取り上げたいと思います。

2025年5月に、中国製の太陽光発電システムから不審な通信機器が見つかったとの報道がありました。事の発端は、アメリカです。アメリカも日本と同様に、中国製の太陽光発電システムを大量に輸入しています。その機器から不審な通信機器が見つかり、しかもそれは仕様書にはない謎の部品でした。これは怪しいということで調べると、太陽光発電システムを遠隔操作できる機器であり、中国がその気になれば遠隔操作で太陽光発電を一斉に止め、大規模停電を引き起こすことも不可能ではないということです。
折しもアメリカはトランプ政権が中国と貿易戦争の真っ只中。しかもアメリカは安全保障上の理由から中国製のサイバー機器を中心に禁輸にしており、国の機関などに中国製の機器を導入しない方針をとっています。

これについて、想像も含みますが私なりにその思惑や背景を考えてみました。中国は共産党一党独裁の全体主義国家であり、企業はたくさんありますが、基本的に共産党に逆らうことはできない国です。つまり、中国のメーカーが作った製品には必ず中国政府の何らかの許可や意向が反映されます。今回見つかった不審な通信機器についても、国に内緒でメーカーが勝手に取り付けたというのはあり得ないでしょう。ということは、逆にメーカーが国の意向を汲んで通信機器を取り付けたと考えるのが自然です。
では、何のために?さすがに遠隔操作で一斉に太陽光発電を止めるというのは技術的に可能であっても、それを実行するにはハードルがあまりにも高いでしょう。それをやったら実質的に宣戦布告に近いようなサイバー攻撃ですし、その発信元なんてすぐに分かってしまうでしょう。そこまでのリスクを冒してまでサイバー攻撃に利用する時は、すでに誰が見ても戦争状態にあるような情勢になっているはずです。これはつまり、「いつでも大規模停電を起こせる」というカードを持っておくのが目的であると推測します。

仕様書にない通信機器がバレたということでアメリカをはじめ西側諸国は警戒心を露わにしているわけですが、もしかしてこれってわざとバレるように仕向けた?とも思ってしまいます。「その気になれば、いつでもサイバー攻撃を仕掛けられるんだぞ」という裏メッセージですね。中国はこうした手を、色々なところで使っています。かつて日本と尖閣諸島の件で対立した際には、レアアースの輸出規制をしました。レアアースはハイテク機器の製造に欠かせない材料だけに、これがないと困るだろうと嫌がらせをしたわけです。しかしその結果どうなったかというと、日本の技術革新が一気に進んでレアアースのリサイクルやレアアースの代替物質が開発されるなど、中国からの供給に頼らなくてもいいサプライチェーンを構築しました。さすが、ニッポン。今はアメリカに対してレアアース輸出規制をして貿易戦争のカードにしているようですが、これについては日本が協力を申し出ているようで、結局日本の存在感を高めているだけ、そしてアメリカなど西側諸国の警戒心を高めただけになっているように感じます。福島原発の処理水問題で日本の水産物を禁輸にしたら、それ以外の国から引く手あまたになって中国に売る必要がない状況を作ったのも、さすがニッポンです。

話を太陽光発電システムに戻しましょう。今や世界の太陽光発電システムは大半が中国製です。これは中国でのサプライチェーンが世界で最も発達していることもあって、目を背けてはいけない現実です。それをチャンスと考えて、遠隔操作できる仕組みを作って世界を牛耳ってやろうと思ったのかもしれませんが、何とも浅はかですよね。技術には技術で対抗するのが筋ということで、今後はこうした通信機器が悪さをできない仕組みが実装されていき、「いつでも遠隔操作できるんだぞ」という状況は解消していくと思われます。すでにファイアーウォールを設置して用途外の通信をさせない仕組みも開発されており、こうした仕組みが普及していくことでしょう。
さらに、業界を見渡していると、長州産業のように純国産を前面に打ち出しているメーカーもあります。品質や技術力に加えて、安心という差別化を図る上でも、今後は日本製、純国産の太陽光発電システムが強みを持つようになっていくかもしれません。

現在、中国では景気減速や過剰生産によって太陽光パネルメーカーも苦境に陥っています。赤字になるメーカーが続出し、苦し紛れにダンピングをする可能性は大いにあります。安いからといって飛びつくのではなく、なぜその製品が安いのかをしっかりと見極める力が、太陽光発電システムに限らず、あらゆるものに求められる時代となりました。
高関税でアメリカに輸出しにくくなった製品が日本に向かうとの指摘もある昨今、安いからといって中国製のスマートフォン端末を購入すると招かれざる「オマケ」が入っているかもしれないご時世です。以前、実際に中国製のスマートフォン端末にバックドアといって遠隔操作ができるマルウェア(悪意のあるソフト、アプリ)が仕掛けられていたことがありました。スマートフォンについては情報のかたまりだけに、特に厳格なセキュリティ意識が求められます。物事を見極める力、本質を見抜く力が、ますます求められる時代に、自分の身は自分で守るという姿勢が大切ですね。

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