こんにちは、石橋です。
先日、知人が青森県の六ケ所村を訪ねたという話を聞きました。その訪問先には、現在建設が進んでいる核燃料サイクル施設の現場や、それを解説する資料館も含まれていたとか。
その話を聞くにつけ、このプロジェクトの重要性を改めて感じたのでここでお話をしたいと思います。
再生可能エネルギーである太陽光発電を主事業とする和上ホールディングスですが、代表である私は原子力の重要性も常に発信し続けてきました。その立場から、核燃料サイクルが日本にとっていかに重要であるか、技術的な進歩がここまで来ているといった部分をお伝えしたいと思いました。
核燃料サイクル技術について難しい話をするとキリがないので、敢えてざっくりと表現すると「使用済み核燃料の一部を再利用する技術」です。あまり知られていないのですが、核燃料は一度使ってもウランやプルトニウムといった核物質の9割以上が残っています。それでもこれだけの莫大なエネルギーを発するのですから、原子力の威力がいかに凄まじいかを思い知らされるわけですが、大半の核物質が残ったままの使用済み核燃料を廃棄処理してしまうのはもったいないことです。
日本はエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っており、ウランやプルトニウムについても例外ではありません。。そこで、かねてから世界で研究が進められてきた核燃料の再利用をできないかという話になったわけです。
使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出し、それを別のある物質と混合したものに加工します。ここで生成されたリサイクル核燃料はMOX燃料と呼ばれますが、この名前を聞いたことがある方は多いかもしれません。
これによって得られるメリットは、核燃料の再利用だけではありません。使用済み核燃料からは高レベル放射性廃棄物といって、いわゆる「核のゴミ」が生まれます。核燃料サイクルをすることによって高レベル放射性廃棄物を大幅に少なくできるので、最終処分施設の負担が軽くなります。この高レベル放射性廃棄物については放射線レベルが安全なレベルになるまでに10万年ほどかかるといわれていますが、核燃料サイクルによってそれが8千年ほどに短くなるそうです。ただ、これについてはどちらにしても今の人類が追いきれない時間なので、私はあまり大きなメリットだとは思いません。
この核燃料サイクル施設が、青森県の六ケ所村に建設されています。世界に数か所しかなく、これまでフランスが世界に先行してきた技術を日本も本格的に運用し、持続可能性の高い原子力発電に役立てようとしているわけです。高レベル放射性廃棄物はもちろん危険な物質なので放射能の恐怖があるわけですが、どうも社会全体でここばかりがクローズアップされて「危険な核施設」のレッテルを貼ってしまっているように思えます。そのせいで日本の電力バランスが不安定になったり、電力の需給がひっ迫して夏に熱中症で亡くなる人が出てくることのほうが目の前にある脅威です。
もちろん何事にも100%はありませんが、六ケ所村の核燃料サイクル施設は万全の安全対策が施されています。これは日本全国にある「震災後」の原発も同じです。放射線のこと、核燃料のことをよく分かっていない人が情報操作によって恐怖をあおられ、原子力エネルギーを有効利用できないことは日本全体の損失にもつながりますし、その実害はすでに発生しています。
現地を見た人の話や現地の写真を見ると、六ケ所村にはこの施設以外にも風力発電のための風車は太陽光パネルが膨大に設置されています。写真はその本人が撮影したもので、ここに掲載するために貰いました。思うに、六ケ所村は原子力だけに捉われず発電を村の産業とする戦略をとっているのでしょう。その地域にできることをするのが地域創生の基本だと思いますが、これもひとつの答えではないでしょうか。
もちろん賛否はあると思いますが、エネルギー問題を正面から考えた時に、今の六ケ所村で進められていることは決して間違いではないと思っています。