原油の採掘コストがジワジワと上昇、安いエネルギーではなくなる日がやって来る

石橋大右

2026.1.22 エネルギー問題

原油の採掘コストがジワジワと上昇、安いエネルギーではなくなる日がやって来る

こんにちは、石橋です。
今回は、私の事業領域でもあるエネルギー問題で以前から気になってたことを紹介し、論じてみたいと思います。
とても深刻な問題だと感じるのですが、あまり世の中では関心がないのか、このことに警鐘を鳴らす言説をあまり見かけません。

その問題とは、原油の採掘コストです。
言うまでもなく私たちは日々石油のお世話になりっぱなしで、石油がなくなったら1日として生活を維持できないでしょう。燃料としてはもちろん、私たちの身の回りにはプラスチックやビニールなど、石油由来の化学製品があふれています。石油がなくなってしまったら、これらの製品も作れなくなります。簡単にいえば、江戸時代くらいの生活に逆戻りです。そんな生活、今さら無理ですよね。
それだけ重要すぎる資源である石油の埋蔵量には、限りがあります。日本ではほとんど産出されないので産油国からの輸入に依存しているわけですが、これが円安やインフレによってコスト増となり、日本国内であらゆるものの値段が上がってしまっているのもご存じのとおりです。
こうした外的要因によって石油の調達コストが高くなるだけで、これだけ物価に跳ね返ってしまうのですから、石油そのものの値段が上がってきたらさらに物価は高くなります。

政治に対して物価対策を求める声は多いですが、実際に政治にできることは限られています。政府が頑張ったところで日本国内で大きな油田が開発されるわけでもありませんし。
1月に解散された衆議院の選挙では物価対策も争点になっていますが、高市内閣であっても、最近できた謎の政党であっても、物価高対策としてできることは似ているでしょう。そもそも政治で経済をコントロールするなどおこがましく、規模感がまるで違うのですから。国が数兆円の予算を用意したとしても、何百兆円、何千兆円という規模で動いている市場経済においては焼け石に水でしかありません。

そんな脆弱な世界で、実は石油の採掘コストがジワジワと上昇していることをご存じでしょうか。人類が石油を使い始めた頃は産油国の土壌から「染み出してくる」状態で、スポンジを搾るような作業で石油を採掘できました。産業革命から先進国の高度成長期はこうした安い石油をジャブジャブ使えたため、それが経済や産業の発展に大きく貢献しました。
しかし、こうした採掘しやすい石油をどんどん掘り尽くした次には、地中深いところや海底、あとは硬い岩盤層などからも採掘するようになりました。
これだけを見ても、以前ほど石油が安く手に入らなくなっていることが分かりますね。その後、石油の採掘に関する技術革新が起き、シェール層と呼ばれる地中深くから石油や天然ガスを比較的安く採掘できるようになりました。これを、「シェール革命」といいます。この技術によって、アメリカが世界最大の産油国となりました。第2次トランプ政権発足時に「石油を掘って、掘って、掘りまくる」と発言したのは、こうした背景があるからです。自国で産出される安価な石油よってアメリカ経済をより成長させる!というわけです。

アメリカと石油の関わりで言えば、世界最大の埋蔵量といわれるベネズエラにアメリカ軍が攻撃をしてマドゥ―ロ大統領を拘束した、という事件がありました。この事件の時に「アメリカはベネズエラの石油が欲しいだけだ」という批判がありましが、これは正解ではありません。すでに述べたようにアメリカはシェール革命もあって世界最大の産油国となっており、他国の資源など必要ないからです。しかもベネズエラの石油は超重質油といって、そのままでは使えないドロドロの状態です。アメリカのサラサラした石油と混ぜて精製することでようやく使えるようになる厄介な石油を、わざわざ他国を侵略してまで欲しがっているとは思えません。
ベネズエラの石油産業がアメリカ主導で再生したら原油価格は安くなる、という言説もありますが、上記の事情を考えると、それほど簡単な話ではないことが分かると思います。石油が埋蔵されているだけでは使えず、しかも採掘コストが高くなってくると石油価格に転嫁されていくのです。世界各国では、だんだん石油はあるのに採掘しにくくなってきているのです。そう考えると、石油を前提とした今の繁栄も、いつまで続くか分かったもんじゃないと思えてきませんか?

話は変わりますが、南鳥島の近海でレアアースを採掘するプロジェクトが始まっています。これまで中国など外国に依存してきたレアアースを国内で採掘しよう、というわけです。これについても、実は日本に資源がなかったわけではありません。あることは分かっていたものの、それを採掘するには莫大なお金がかかるため、採算が合わなかったのです。中国では安くレアアースを採掘して製品化できるため、それを輸入したほうが有利だったわけです。しかし、昨今の中国による経済的な嫌がらせでレアアースの輸出を止める動きが起きています。この対立が長期化すれば中国のレアアースは期待できなくなり、高い国産のレアアースか、それ以外の国からの調達を考えなければなりません。資源はこうしていつ高くなるか分からないのです。石油やウランなど、エネルギー資源も同様です。こんな脆弱な状態を放置しておくのは正しくない、というのが私の主張です。

では、どうするか。私はかねてより、太陽光発電を国産の重要なエネルギーと捉えています。資源が乏しい日本ですが、太陽光だけは平等に降り注ぎます。それを電力化して使うことは、日本のエネルギー事情を考えると理にかなっています。エコであることなど他のメリットもありますが、日本にとって最大のメリットは国産であることです。
もちろん、太陽光発電がもたらす弊害は承知しています。一部のいい加減な業者がメガソーラーを乱開発したことにより、メガソーラーの開発に規制が入りそうであることも。こうした不届き者によって太陽光発電のイメージが悪くなってしまっていますが、これからのエネルギー安全保障を考えると、太陽光発電を避けて通れないというのが私の意見です。

太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーだけで日本の莫大な電力需要をまかなえる、とは思っていません。エネルギー効率の良い原子力発電の積極的な活用はもちろん、自然の気まぐれによって供給が不安定になりがちな再生可能エネルギーに対して系統用蓄電池による安定化を図るなど、日本にできることはまだまだたくさんあります。

いつどうなるか分からない外国産のエネルギー資源への依存度を下げて、日本国内で手に入るエネルギーを積極的に活用する。「将来」「そのうちに」ではなく、今からこうした方向性で進むべきであると思います。特に選挙シーズンになるとエネルギー問題が争点になりやすいので、私の考えをこのタイミングで発信させていただきました。

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