こんにちは、石橋です。
世の中は参院選挙真っ盛りで、街のあちこちで街宣車の声や、主要ターミナルなどではどこかの政党が街頭演説をしている風景を目にします。
毎回そうですが、国政選挙にはある意味今の政権の信任投票の意味合いが含まれています。今回の選挙では、見事なまでに石破政権への不信任が示されそうな情勢ですね。

参議院で過半数を維持するためには、今回の改選議席のうち50議席を獲得する必要があるんですが、自民党内からも「30議席台ではないか」との声まで出る有様です。もし35議席程度に留まってしまったら、すでに過半数割れしている衆議院に続いて参議院でも過半数割れをして、与党とは呼べない勢力になってしまいます。どの法案を通すにも野党に協力を仰がなくてはならず、そのためには野党の政策をある程度受け入れる必要があるでしょう。しかもこれまで野党の政策を受け入れるといって反故にしてきた経緯があるだけに、もう信用してもらえないでしょう。
幸い、今は現実路線の野党がいくつかあります。日本維新の会や国民民主党などです。事実、予算審議では自民+公明+維新で予算を通した経緯もありました。石破内閣と組んだことで維新が一定の票を失ったのは否めないと思いますが、現実路線ではない左派の政党と組むよりはマシだったと思います。
このまま自民党が大敗したら、おそらく石破内閣はもたないでしょう。自民党内では秋に衆院解散があるのではとの声も出ているそうです。あるネットニュースでは、自民党の候補者が石破総理の顔の上に自分の写真を貼って「石破隠し」をしているという報道までありました。仲間内からも無理と思われている総理総裁って何なんでしょうね。
今回の選挙情勢では、国民民主党と参政党の躍進が繰り返し報道されています。選挙なので実際にやってみないと分かりませんが、SNSやネット空間では特に参政党の躍進が目立ちます。一説によると、10議席を超える議席数を獲得するのではないかとの噂も。
左派の政党と比べると私の思想信条に近いので悪いことだとは思いませんが、いわゆる極端な政党が躍進するのは、ちょっと不気味なことでもあると思います。参政党の政策の中には日米同盟破棄というのも含まれていますが、これって戦前の「対米開戦やむなし」みたいに聞こえてしまいます。実際にはそこまで極端な政策をとらないとは思いますが、こうした極端な政党が支持を集めるところに、今の日本の閉塞感を感じてしまいます。物価は上がる一方なのに給料は上がらない、コメの価格まで高くなったのですから、そりゃあ国民は怒りますよね。だからといって極端な政党が躍進しても、すぐに大きく変わることはないでしょう。
そもそも、現在進行している物価高はインフレによるものです。インフレになると貨幣の価値が下がるため、相対的に物価が高くなります。モノの量がそれほど変わっていなくても通貨が増えすぎるとインフレになって、物価が高くなってしまいます。今のインフレは、まさにそれです。そしてこのインフレの引き金を引いたのは、コロナ禍です。
コロナ禍になる前、日本は長期的なデフレに苦しんでいました。貨幣の価値が高いせいで物価が相対的に安くなり、そのせいで給料も下がるため、人々はとにかく安いものを求めました。マクドナルドや吉野家などのファストフードが200円台、300円台で買えたのはまさにデフレ経済そのものです。
その後、デフレ脱却のためにアベノミクスが始まり、「黒田バズーカ」と呼ばれる異次元の金融緩和によって通貨を供給し、デフレは収まりました。ここでバランスが取れていれば良かったんですが、突然やってきたコロナ禍のせいで政府は円を大量に発行して10万円給付などの財源にしました。もちろんこれは日本だけがやったことではなく、世界中の主要国が同じことをしました。そのため、主要国の通貨レートはそれほど大きく変わっていません。日本は円の供給量を5倍にしましたが、アメリカも同じくらい増やしました。もしこれが日本だけの動きであれば、今頃ドル円相場は500円台、600円台になっているはずです。
こうした構造的なインフレを政治で抑えようと言っているのが、今回の参院選です。これは私の持論ですが、経済という巨大な化け物を政治で、しかも日本一国の政治でコントロールすることなど不可能なんです。2万円給付?そんなものお金をもらった月の家計がちょっと潤うだけで終わりです。
その意味では、社会保険料の引下げ(維新の会)や減税による手取り収入のアップ(国民民主党)を掲げているのは、有効性があって健全だと思います。どちらも有耶無耶な形でステルス増税のようにして国民からお金を取っているのですから、本来の制度設計通りに戻しましょう、そしてその分で実質的な減税効果を出しましょうというのは、理路整然としています。しかしこれがどこまで伝わっているのかというと、残念ながらもっと目先の話にばかり終始しているように感じてなりません。
いずれにしても、今回の選挙で自民党は歴史的な敗北を喫するでしょう。自公政権という枠組みにも大きな変化が生まれるかもしれません。日本の今後を大きく変える転機になる可能性を秘めた今回の選挙、ぜひ投票に行って一票を投じましょう。政党の合従連衡もあり得るので、できれば候補者名での投票をすることをおすすめしたいと思います。

