少々軽視されすぎているように感じる、マイクロプラスチックの環境汚染問題

石橋大右

2025.6.30 環境問題

少々軽視されすぎているように感じる、マイクロプラスチックの環境汚染問題

こんにちは、石橋です。
私のブログでは環境問題やエネルギー問題を中心に思ったこと、感じたことを書き綴っています。私が代表を務める和上ホールディングスが太陽光発電を事業としていることもあって太陽光発電に関するお話が多いのですが、今回は前から気になっていた別の環境問題について語ってみたいと思います。
その問題とは、マイクロプラスチックやナノプラスチックと呼ばれる微細なプラスチックによる環境汚染が自然だけでなく動物や人間に深刻な問題を引き起こしている件です。最近ではプラごみ(プラスチックごみ)に関する取り組みや問題提起がなされることが多いため、何となくプラスチックごみが環境汚染につながる、という認識は広く浸透しているのではないかと思います。
この問題が、実が私たち人間にとって最近急増している病気や障害に関わっていることが分かってきました。たくさんあるのですが、特に私が気になるのは癌や認知症です。

プラスチックは、自然界で分解されにくい物質です。それゆえに用途が広く、私たちの身の回りにはたくさんのプラスチック製品があります。陶器やガラスと違ってプラスチック容器は割れにくいですし、仮に割れても怪我をするリスクが低いですし、安価で買えることもメリットです。その他にもプラスチック製品があるからこそ生活が便利になっている場面は計り知れません。これだけの恩恵がある一方で、プラスチックの自然界で分解されにくいという特性が、今になって深刻な問題を引き起こしています。

自然界で分解されにくいプラスチックは、どんどん細く砕かれていきます。直系が5ミリメートル未満のプラスチックごみはマイクロプラスチックと呼ばれ、さらに細かいプラスチック片はナノプラスチックと呼ばれています。これだけ細かくなると海の生き物は知らない間に体内に取り込んでしまいますが、如何せん分解されない物質だけに体内に蓄積していってしまいます。体内にプラスチックを溜め込んだ魚を食べれば、その捕食者の体内にもマイクロプラスチックが溜まります。そしてこれは、人間にも起きています。
マイクロプラスチックであれば目に見える大きさのものもありますが、ナノプラスチックになると肉眼ではほとんど見えず、知らない間に人間が体内に取り込んでも気づきません。そしてそれが体内に蓄積し、ある部位では癌を引き起こし、脳内に溜まると脳卒中や認知症のリスクを高めることが分かってきました。

なぜ、こんなことが起きているのか?理由は簡単です。世界中が便利なプラスチックを多用し、それを大量に捨てているからです。よく海岸に行くとペットボトルやカップ麺の容器などが打ち上げられているのを見かけますよね、あれもどこかで捨てたプラスチックごみが分解されず海を漂った結果、日本の海岸に打ち上げられたものです。よく見ると日本だけでなく、外国語が印刷されたごみを見かけることもあります。おそさく中国大陸や朝鮮半島などから流れきたものでしょう。それだけ海の上で長旅をしても分解されずに日本まで到達するのですから、いかにプラスチックが自然界にとっては厄介者であるかが分かります。

分解されることなく、ただ細かくなったプラスチックが人体に入ると、血液中に含まれた状態で体内をめぐることになります。ナノプラスチックほど小さなプラスチック片になると毛細血管の中を通ることも可能なので、文字通り体の隅々までプラスチックが行き渡ってしまう可能性があるわけです。もともと体内にプラスチックが蓄積されるというのは、進化の過程で想定されていません。つまり、長い人類の歴史の中でもプラスチックは異物なのです。
まだ完全な因果関係が証明されるほど事例があるわけではありませんが、すでに心臓病や脳卒中のリスクを高めることや、胎児に障害が生じるリスクを高めることなどが続々と分かってきています。先ほど述べた認知症も、具体的なエヴィデンスがなくても、何となく関係がありそうだと感じてしまいますよね。
世界中の国々がプラスチックを大量消費して捨てることにより、地球上のマイプロプラスチック、ナノプラスチックの量は急増を続けています。このままいくと今よりも深刻な生態系への影響、人体への影響が懸念されます。

何となくプラスチックごみを出してはいけない、という論調は日本でも一般的になっていますが、なぜプラスチックごみが問題なのか、どの程度深刻な問題なのか、というところまではあまり論じられていないように感じます。今回の参議院選挙でもこの問題を争点や政策にしているところはほとんどないようですから、おそらく有権者の関心も低いと各党は感じているのでしょう。
便利なプラスチック製品を今すぐやめて、プラスチックがなかった時代に戻れとはいいません。そんなことは非現実的です。しかし、私たちが使ったプラスチックごみを適切な形で処理すれば、自然界への影響は抑えられます。以前に当ブログでペットボトルの捨て方について述べたことがありましたが、こうした心がけひとつでできる貢献はたくさんあります。まずはプラスチックごみの問題に関心を持ち、自分に何ができるかを少し調べてみるだけでも未来は大きく変わると思います。

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