投資案件として注目されがちな系統用蓄電池を「社会貢献」の視点で解説

石橋大右

2025.11.4 アイデアエネルギー問題

投資案件として注目されがちな系統用蓄電池を「社会貢献」の視点で解説

こんにちは、石橋です。
投資案件と注目が集まり、私が代表を務める和上ホールディングスにも多くのお問い合わせやご相談をいただいている系統用蓄電池ですが、これってエネルギー問題や環境問題の解決につながる素晴らしい技術でもあるんです。
とかく「儲かるから」という視点で語られがちな系統用蓄電池を、本来の精神でもある社会貢献の視点で語ってみたいと思います。

社会貢献の視点で系統用蓄電池をざっくりと表現すると、「電力ネットワーク上の変動を吸収して安定供給に貢献してくれる設備」となります。
何となくニュアンスは伝わったかなと思いますが、もうちょっと掘り下げていきましょう。
系統用蓄電池は文字通り、系統つまり電力網に接続して使用します。これが、一般的な蓄電池との大きな違いです。この系統には、発電所と電力需要家の両方が接続していて、発電所からの電力を送電網で届け、消費します。

近年では太陽光発電の普及が進んでいるので、電力会社が運用している大規模な発電所以外にも、小規模な発電所がたくさんあります。これも系統に接続されていて、太陽光発電所から送られてきた電力も系統を介して需要家に届けられています。このように電源が多様化していることはエネルギーシステムの進化といえますが、それと同時に問題も生じました。
その問題とは、再生可能エネルギーの供給が不安定であることです。太陽光発電は太陽光の量によって発電量が変動しますし、風力発電は風の量によって変動します。再生可能エネルギーの多くは、このように自然のご機嫌次第で発電量が大きく変動します。
だからといって、「今日は再エネがあんまり発電しないので電力はこれくらいしかありません」というわけにはいきませんよね。最近の大口需要家にはデータセンターとか大量の電力を24時間絶え間なく使用するところも多いので、需要家のサービス品質に関わります。
そんな時にクッションとなって、こうした再生可能エネルギーの気まぐれを吸収して安定供給に一役買ってくれるのが、系統用蓄電池です。つまり、系統用蓄電池は再生可能エネルギーのさらなる普及に欠かせない存在なんです。太陽光発電に長らく関わってきた者として、この視点はとてもとても重要です。自然のご機嫌次第で経済活動が影響を受けてはならない、ならどうする?という最適解のひとつが系統用蓄電池です。
AI系のサービスがどんどん普及して国際競争が激しくなってくるなか、大量の電力需要にどうやって安定供給で応えるか。これは日本の国際競争力にも関わる問題です。

もうひとつ、これも私が系統用蓄電池に期待している大きな役割が、電力網のレジリエンス強化です。レジリエンスとは、電力網の強さ、回復力みたいな意味合いでしょうか。災害時や非常時に電力網がダメージを受けた場合、いかに早く復旧できるかは社会全体の多大な影響を与えます。そのことは、阪神淡路大震災や東日本大震災といった大規模災害のたびに、痛感させられてきましたね。
系統用蓄電池は、非常用のバックアップ電源としても活躍します。系統用蓄電池が接続されていれば、平時に貯めておいた電力を停電時に放電できます。発電所からの供給が回復するまでの間、系統用蓄電池でバックアップをすることができれば、それで助かる命もあるはずです。特に医療分野での停電は人命に関わるため、現在でも大きな病院には非常用の蓄電池が設置されています。しかし、その電力が尽きても停電が解消しなければ・・・?そんな時に系統用蓄電池がバックアップの寿命を延ばしてくれるわけです。投資案件として人気が高まっていることで、今後も続々と導入が進んでいくでしょう。それに伴って、電力網のレジリエンスが強化されていくわけです。いいですね。

この仕組みを応用すると、太陽光発電が目指してきたマイクログリッドも現実味を帯びてきます。マイクログリッドとは、離島や過疎地など主要な電力系統と接続するのが難しいところで独立した電力網を作ることです。
離島の送電、今は最寄りの主要な電力網から海底ケーブルをつなぐなどの方法でまかなっていますが、これってコストやメンテナンスの手間がものすごくかかるんです。
例えば離島であれば、そこに太陽光発電所や風力発電所を設置します。そこで作られた電力を系統用蓄電池に流して、必要に応じて供給する。これで、その離島におけるマイクログリッドが完成します。実際にはバックアップ電源を用意するなどさらに安定性を確保する必要がありますが、理論的にはこういう仕組みで日本全国の離島や過疎地などの電源を確保しやすくなります。電力会社による送電網の維持コストが下がれば、電気代も下げられるでしょう。

いかがですか?
投資案件として人気が高まっている系統用蓄電池ですが、実はとても賢くて偉いんです。私たちの生活をより豊かに、安全にしてくれるインフラとして注目されるという視点が、もっと広がるといいなと思います。

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