こんにちは、石橋です。
いよいよ年の瀬が近づいてきました。実は私、不覚にもコロナに罹患してしまいまして関係各所にご迷惑をおかけしました。
皆さまはどうぞご自愛ください。

今年の環境ビジネスや太陽光発電、蓄電池などの界隈を振り返ると、やはり目立ったのがメガソーラーへの風当たりです。メガソーラーが登場した頃は夢のエネルギー、みたいなイメージのほうが強かったものが、この数年で一気にそのイメージが逆転。最近では「メガソーラー=悪」みたいなイメージがのほうが強くなってしまっています。
その理由は、明白です。各地で景観を損ねるようなメガソーラー計画が立ち上がったり、無茶な開発をしたせいで災害を誘発したりと、一部の悪質な業者による乱開発が大々的に報道され、SNSで拡散され、一気にイメージが悪くなりました。
私は当コラムでもそうですし、常に同じことを発信しています。メガソーラーそのものが悪いのではなく、メガソーラーを金儲けの材料にしてモラル、コンプラ無視の開発をしている連中が悪いのです。「中国製の太陽光パネルを使って中国を利するだけ」といった意見も拡散していますが、それがどんどんエスカレートして「メガソーラーを開発する業者は中国の手先」みたいな論調もありますね。
確かに私も中国については言いたいことが山ほどありますが、中国の大量生産能力によって太陽光パネルの価格が下がり、メガソーラーでの発電コストが以前よりも安くなっていることは事実です。中国製のパネルであってもそこで生み出された電力を使うのは日本です。日本のために役立つものであれば、積極的に活用するほうがジャパンファーストではないかと思います。
さて、話をメガソーラー規制に戻しましょう。保守的な色合いの強い高市内閣ですから、メガソーラー規制に動き出すこと自体は自然なことですし、主旨には私も賛成の立場です。政府がまとめた対策パッケージの内容を見ると「湿原など環境保全を図るための国立公園の区域拡張」といった文言があります。これはもう、釧路湿原でのメガソーラー問題がモロに教訓になっていることが分かりますね。森林については開発許可の規律強化も盛り込まれているので、やはり山間部に野放図にメガソーラーが乱立する状況を食い止めたいとの意図が読み取れます。
規制強化によって乱開発にメスを入れること自体はいいのですが、これが問題の根本的な解決になるかというと、ちょっと微妙かなと思います。というのも、メガソーラーが問題を起こす本質の大半は、説明不足や理解不足、コミュニケーション不足です。メガソーラーの開発計画が立ち上がると、場所によっては地元の反発を受けます。景観が損なわれる、農業への影響がある、環境の変化による未知の問題への不安・・・などなど。そして開発業者は必ず、同じことを言います。「法律上の問題はない」と。確かに法的な部分をクリアしているかもしれませんが(これすらクリアしていない業者もチラホラ)、じゃあ問題ないと地元が納得してくれることはないでしょう。
全国各地にはすでにたくさんの太陽光発電所がありますが、そのほとんどは特に問題を起こさずせっせと発電をしています。ごくまれに問題を起こすケースが出て来て、その大半は地元とのコミュニケーション不足で問題が大きくなっています。
農業の担い手がいなくなって遊休地に太陽光パネルを設置している風景は、今や当たり前のようになりました。こうした施設で何か問題が起きたという話は、ほとんど聞いたことがありません。「森林」というちょっと見えにくい用途がある土地をわざわざ切り開こうとするから、問題になるのです。一度は何かの用途に使っていたものの、すでに活用する選択肢が少なくなってしまった土地を活用するのであれば、文句を言われることはほとんどありません。
メガソーラーの規制が強化されるのは、森林を伐採して作るような性質の案件です。法律によって歯止めがかかるのであればいいですが、もし私が事業者なら「規制が施行される前にやってしまおう」となるかもしれません。そうなると急ぐあまりにもっと雑な開発が進められてしまう恐れもあります。
規制の強化だけではなく、安易な補助金などの支援システムを見直してマトモな資金計画も立てられていないような案件が入り込めないようにすることも重要でしょう。国の対策パッケージにも記載されていますが、私が言うような遊休地の活用やソーラーシェアリングといったデメリットの少ない案件に優先して支援の枠組みを作るといった取り組みも効果があると思います。
その他にも、近年ではメガソーラー運用による利益を地元にも還元して合意形成をするスキームも広がっています。
太陽光発電はうまく活用すれば、脱炭素エネルギーの大本命になり得る可能性を秘めています。とにかく普及を進めて発電量を拡大するというフェイズはすでに終わっているので、今後は同じ太陽光発電でもその「質」が問われるようになると思います。
単に発電するだけでなく、近年では系統用蓄電池など蓄電能力も高まりつつあります。過渡期にあったこれらの技術が成熟してくることによって、再生可能エネルギーはもっと社会に役立つ存在になれるのです。

