系統用蓄電池がアツい!電力事業の最前線で起きていること

石橋大右

2025.7.5 エネルギー問題

系統用蓄電池がアツい!電力事業の最前線で起きていること

こんにちは、石橋です。
私が代表を務める和上ホールディングスは太陽光発電などの再生エネルギーを手がける会社であるのと同時に、電力事業の会社でもあります。日々電力事業の最前線と向き合っているわけですが、そんな最前線でとても興味深いことが起きています。
それは、系統用蓄電池です。系統用蓄電池の引き合いがとても多くなっており、一大市場に成長するのではないかと感じています。お問い合わせやご相談をいただくのはもちろん、事業性、収益が目的です。そうです、系統用蓄電池は儲かるんです。これまで電力事業への投資を考えたことがなかったような方も注目している系統用蓄電池とは一体何なのか、ここで紹介したいと思います。

蓄電池は、いわば大きなバッテリーです。電力を多く消費する企業などが自社で蓄電池を設置して太陽光発電と組み合わせて自家消費に利用したり、災害などの非常時の電源として利用するといった用途で導入が進んでいます。しかしこれは自社内で使うための蓄電池であって、自社以外のところでその電力を使うことはありません。
これに対して、系統用蓄電池は私たちが日々利用している電力網に接続する蓄電池です。系統に接続されているので、電力会社から流れてくる電力を蓄電池に貯めることができます。そして、系統に接続されていることをいかして一般の送電網に電力を流します。
こちらは新聞からの引用ですが、おおむねこうした形、大きさです。

出典:日本経済新聞

これだけで何が儲かるのか、不思議に感じたかもしれません。ここで重要になるのが、同じ電力であっても時間帯によって単価が異なる点です。全国各地にあるどの電力会社であっても共通して、夜間は電力が安くなります。そして深夜は、もっと安くなります。この安い電力をいかして、深夜のうちにお湯を沸かして貯めておく給湯器もありますね。オール電化住宅で普及が進んでいるエコキュートも、安い深夜電力を活用することで電気代をコストダウンできます。

これと同じ要領で、深夜に安い電力を系統用蓄電池に貯めておいて、電気代が高くなる昼間に放電(供給)するわけです。安い時間帯に仕入れて高い時間帯に売る、このシンプルなビジネスモデルが成り立つのは、蓄電池が系統に接続されているからです。これって誰もが思いつく分かりやすいビジネスモデルだと思いますが、それができるようになったのは2022年12月に電気事業法が改正されて系統用蓄電池の事業家が認められたからです。今ではJPEXと呼ばれる卸電力市場があるので、このJPEXに電力を売るだけで事業が成立します。電力の需要がなくなることはなく、むしろ増えています。とても確実性が高いですし、将来性もあるということで、敏感な企業や投資家が早くも動いているわけです。
系統用蓄電池で利益を上げる方法は、実はこれだけではありません。太陽光発電を併設して電力の仕入れコストをさらに低くして売電をすることもできますし、電力の需給調整市場に売電する方法などもあります。系統用蓄電池については今後しばらく多く語っていこうと思っていますので、これらの収益モデルについては追々お話をしていきたいと思います。

しかし系統用蓄電池を設置するとなると、そんなに簡単なことではありません。鉄道の貨物車くらいの大きさになる蓄電池を設置する場所が必要ですし、規模によってはそれを何台も設置することになります。また、系統と接続するための手続きなども多岐にわたります。すでに設置・稼働している系統用蓄電池を購入するのが一番手っ取り早いですが、何せ人気が高まっているだけに有望な物件はすぐに売れてしまいます。そうなると新規に土地を取得して蓄電池を設置できるように造成して・・・といった工程が必要になるため、専門的な知見や技術が欠かせません。

和上ホールディングスは土地の選定や仕入れから設計、施工、稼働に必要な各種手続き、そして稼働開始後のメンテナンスなど、オールインワンパッケージを用意しています。そのためさまざまな業種の企業や投資家の方々からとても多くの引き合いをいただいています。海外の状況を見ると日本でも系統用蓄電池の市場が今後拡大するとは思っていましたが、その予想を超える「激アツ」ぶりです。

太陽光発電は過疎地など安い土地を有効活用できるビジネスとして人気ですが、系統用蓄電池にも同じことが言えます。そのため郊外などに遊休地を所有している方、相続で遠隔地にある土地を取得した方などに、土地の有効活用方法としても提案しやすいビジネスです。
電力の有効活用や安定供給に貢献しますし、太陽光発電など再生可能エネルギーと絡めると収益性がさらに高まることや環境負荷を下げられることなど、メリットは計り知れません。もっともっとこの系統用蓄電池のビジネスが拡大していくことに期待しつつ、日々多く寄せられている引き合いにしっかりお応えしていきたいと思います。

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