系統用蓄電池の「なかなか接続できない問題」をどう解決するか

石橋大右

2025.8.16 エネルギー問題

系統用蓄電池の「なかなか接続できない問題」をどう解決するか

こんにちは、石橋です。
今回もお問い合わせやご相談がとても多い、系統用蓄電池についてのお話をしたいと思います。今回は、とても魅力ある系統用蓄電池ではあるものの、いざ導入しようとしてもなかなか系統との接続ができない問題についてです。
投資案件としての魅力的であるがゆえに系統用蓄電池への関心はどんどん高まっていますが、その一方で投資運用を始めようと思ってもなかなか系統と接続できないことが足かせになっています。なぜそんなことが起きるのか、どうすればこの問題を解消できるのかについて専門家として分かりやすくお伝えできればと思います。

系統用蓄電池は文字通り、系統に接続されている蓄電池です。系統とはいわゆる送電網のことで、私たちが日常的に利用している電力はこの系統から供給されています。系統からの電力をいつでも使うことができるのは、発電所から系統を通じて安定的に電力が供給されているからです。この、系統から需要家に電力が流れることを順調流といいます。
順調流があるということは、逆潮流があります。逆潮流とは発電所や蓄電池から系統に電力を流すことで、電力が流れる方向が逆です。系統を通じて、この順調流と逆潮流の2つがあることをまず念頭に置いておいてください。

系統用蓄電池にとって、充電は順調流です。なぜなら、蓄電池内に電力を貯めるために系統からの電力を内部に流すからです。逆に、蓄電池に貯められている電力を放電して系統に流す時は逆潮流となります。
新たに系統用蓄電池を設置する場合、これまでなかった需要家が誕生することになります。蓄電池が充電する際には系統からの電力を使うため、需要家となります。逆に放電もするので単純に電力を消費するだけではありませんが、充電時に系統電力を使うことに変わりはありません。
現在、系統用蓄電池の新規設置が難しくなっているのは、充電時の順調流が主な原因です。大規模な系統用蓄電池を設置するとなると、系統は新たな需要家のために容量を増強するなどの対応が必要になることがあります。それをいちいちやっていたのでは手続きや工事が追いつかず、系統用蓄電池の設置許可が遅れることになります。現在、日本全国の各地で系統用蓄電池の設置許可が待たされているのは、この順調流による影響がかなり大きいです。系統用蓄電池が登場した黎明期にはあまり意識されていなかった問題なんですが、注目が集まる⇒設置申請が増える⇒対応が追いつかないという構図になっています。

では、どうするか?
最も手っ取り早い解決法としては、ノンファーム型の系統接続が挙げられます。系統用蓄電池にはファーム型とノンファーム型があって、前者のファーム型はあらかじめ系統の容量を確保する接続方式です。それに対してノンファーム型は容量を確保せず、系統電力に余剰がある場合に限って接続する方式です。
ちょっと分かりにくいですね、もう少し平たい言い方にしましょう。ノンファーム型は系統電力に余裕がある場合に限って充電を認める接続方式であり、系統電力の需給がひっ迫している時にさらに充電をすることで需給のバランスを脅かすことがなく系統電力に空きがある時に充電をします。これなら系統電力への影響を最小限に抑えることができるため、新たな設置許可を取りやすくなります。

ノンファーム型の系統用蓄電池は設置しやすいということで人気ですが、条件が付いていることを忘れてはなりません。系統電力に空きがある時に限って充電をするという制御を自主的に行う必要があります。これができなければ約束を反故にしたことになってしまうため、とても重要です。機器の誤作動によって需要がひっ迫している時間帯に充電をしてしまうといったチョンボを防ぐための設計を確立する必要があり、それがないと設置許可は実質的に不可です。ちなみに、こうした設計のことを「フールプルーフ」といいます。
このフールプルーフをいかに確実なものにするかは、系統用蓄電池の販売業者や設置業者の力量が出る部分もあるので、新規に設置を検討している方はこの点も比較検討の材料にするのが良いのではないかと思います。

こうした概念は、時間帯によって電力需要にばらつきがあることで成り立っています。エアコンや調理機器などを使うことが多い夕方から夜にかけての時間帯は需要がひっ迫しやすくなります。こうした時間帯には充電を行わず、深夜など需要が低くなる時間帯を選ぶのがミソです。
このように時間帯によって電力の使い方を制御する考え方は、これまでにもありました。家庭用の蓄電池はもちろんですが、深夜の電力を使って効率良くお湯を沸かすエコキュートなどの給湯器も該当します。
ガソリンなどのエネルギーと違って、電力には供給量と消費量のバランスを保たなくてはならない特性があります。時間帯によって消費量が変動するため、それに合わせた運用が必要になるわけです。
私が代表を務める和上ホールディングスは、太陽光発電やオール電化が登場した時期から長らくこうした機器や技術と向き合ってきました。そのノウハウがあるからこそ、系統用蓄電池においても多くの引き合いをいただいています。
和上ホールディングスは、全国の電力会社管轄エリアにおいて土地権利のみの販売から、開発・設計・施工まで一貫して対応することが可能です。いずれの形態にも対応可能な案件を多数取り揃えております。少しでも気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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